これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「スカイゲートテクノロジズ・代表取締役社長」を取材しました。
社会を変えるイノベーション
米シリコンバレーやメディアで注目されていたIT起業家に憧れ、テクノロジーで世の中をより良くしたいと考えた。大学在学中にはライブストリーミング配信のスタートアップを立ち上げたが、しばらくして東日本大震災が発生。被災地でボランティア活動に取り組む中、インフラが絶たれた極限の状況下でも人命救助に尽力する自衛隊の姿に心を打たれ、入隊を決意した。
自衛隊では通信・サイバー分野を担当したが、海外との共同訓練で強い衝撃を受けた。相手方がインターネットサービスを使って作戦を共有する中、自衛隊は紙とペン。事情は理解しつつも、アナログな姿を目の当たりにし、「テクノロジーで日本はもっと良くなるはずだ」と感じた。
同時に、「テクノロジーだけで社会を変えるのは難しい」とも痛感した。現場で受け入れられ、国の仕組みの中で認められなければ「イノベーションは生まれない」。国や社会に働きかけるには、事業会社のほうができることが多いと考え、今の会社を起業した。
お守りのような自然な存在
根底にあるのは「社会の安定的な存続」への思いだ。そのためにテクノロジーを活用し、有事にも揺るがない安全保障基盤の構築を二つのアプローチで目指す。
一つは防衛省向けのソリューション開発。自衛隊時代、サイバー能力の強化に取り組む中で、事業者の提案製品が軒並み海外製だったことが悔しかった。さらに、他国に重要なポイントを任せることへの疑問もあり、日本発の防衛用プラットフォーム開発に挑んでいる。
もう一つは、企業向けセキュリティー製品「Cygiene」。「風神」「雷神」のように、「サイバー空間の守り神」のような存在でありたいという思いを込めている。
誠実な行動で信頼を築く
重視しているのは「誠実さ」。経営方針に掲げるファミリーファーストポリシーも、「家族の大切な場面に立ち会える環境」が誠実な仕事につながると信じているからだ。社員からの信頼を積み重ねることで、日本の安全と安心に最大限貢献するチームであり続ける。
プロフィール
粟津昂規
1987年生まれ、岩手県出身。慶應義塾大学で在学中に起業。その後、防衛省・自衛隊に入り、通信・サイバー領域を担当。市ヶ谷・大臣直轄部隊で勤務。退官後、2017年にフリー入社。20年にスカイゲートテクノロジズを創業。
会社紹介
防衛現場における宇宙・サイバー・電磁波領域への全領域統合指揮統制を実現するプラットフォームを開発している。エンタープライズ向けには、AIによるアイデンティティの振る舞い検知で脅威を判別する「Cygiene」を提供する。