これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Kotoba Technologies Japan・小島熙之CEO共同創設者」を取材しました。
AIの開発はワンショット
米国の大学に在籍していた時、AIと向き合った。画像に情報をアノテーションし、膨大なデータセットをつくり上げた。「コンピューターでこんなことができるなんて想像していなかった」。米スタートアップではAIモデルの構築に携わった。「日本でも同じことができる」と確信し、スーパーコンピューター「富岳」を使った国産LLM(大規模言語モデル)の「Fugaku-LLM」のプロジェクトを始動した。
「AIのモデルをつくるときはワンショットに限られる。AIの研究開発は、ロケットの打ち上げに似ている」。元々宇宙工学を学ぶために渡米したが、いつの間にかITの世界に魅了され、起業を志した。
言語の壁を越える
事業を模索する中で、即時の音声処理が求められる時代になると気づいた。特に東アジア圏の言語に対応する技術は発展途上で、優位な事業展開が見込めた。「持っているリソースの中で、一番インパクトを残すことができる」。文字起こしAIをリリースすると、瞬く間に利用が広がった。
AIを活用した同時通訳ツールをスマートグラスなどエッジデバイスへ搭載することで、言語の壁を越える挑戦の真っ最中だ。「世界のど真ん中で貢献したい」。技術力に磨きをかけ、グローバルのテック企業の中心を本気で目指している。
最短距離
経営する上で、技術の進歩と事業成長をいかにかみ合わせるか、「絶妙なバランスを保つ」ことに腐心している。「タレントぞろい」というメンバーへの信頼は厚い。開発サイクルを短くするイテレーション(反復)を意識し、成果を最速で出す最短距離を説いている。
「非常にエキサイティングなことがいっぱいできている」。米国と日本の2拠点を往復する日々で、あらゆる国境を越えて会話ができる社会の実現に向けて休む暇はない。新しい言語体験を創出し、フロンティアを開拓する決意だ。
プロフィール
小島熙之
1996年生まれ、神奈川県出身。米コーネル大学でコンピューターサイエンス博士号取得。2023年に米国でKotoba Technologies(コトバテクノロジーズ)と日本法人を創業。
会社紹介
音声特化の生成AIによる同時通訳技術を開発、提供する。日本語などの東アジア圏の言語処理が強み。ビジネス利用者向けにツールを提供するほか、AIモデルをエンタープライズ企業に展開する。