その他
MSとアップル提携劇 真のグローバルスタンダード確立狙う
1997/08/25 21:12
マイクロソフト(MS)とアップルが8月6日に発表した提携は、パソコン業界だけでなく、全世界の産業界に衝撃を与えた。米国の論評ではこの両社の提携劇を、マイクロソフトによるアップルの救援と見る向きが多い。
しかし、見方を変えれば、アップルが苦境に立たされている現時点が、マイクロソフトとアップルが手を握り、「パソコンの真のグローバルスタンダード」を確立する絶好のチャンスだと、マイクロソフトビルのゲイツ会長は判断したとも考えられる。
大人の産業へ脱皮をはかる
パソコンが家電や自動車に代わるリーディング産業へ成長するためには、パソコン産業はこれまでのようにOSでの対立、インターネットのブラウザソフトでの対立などを抱え込んだままではいけないと、ビル・ゲイツCEOは考えたのではないか。
現実に、グローバルスタンダードのない産業は、継続的発展は望めないというのは歴史の示すところである。その危機感が、ゲイツCEOにあったと推測してもよいだろう。
技術の対立軸は、産業が発展する初期段階では大切であっても、それはカスタマーには関係ない。TVはどのチャネルでも映るし、どの自動車にもハンドルは1つしかないという、常識的なグローバルスタンダードが定着している。
従って、パソコンが今後ともに産業として成長し続け、巨大な人口を抱える発展途上国までを市場として取り込むには、「多くの技術的対立軸をもつ子供の産業」から「グローバルスタンダードをベースとする大人の産業」へ脱皮しなければならないと、ゲイツCEOとアップルの創業者スティーブ・ジョブスは大局的見地から考えたのではないか。
このような背景を考えると、この両社間にひそむ狙いは、次のように推測できる。パソコン産業界に存在するOSなどの技術的対立軸を隠し、アプリケーション・プラットフォームとしてのパソコングローバルスタンダードを確立する。
世界的に見て、パソコンの家庭への普及率は相変わらず低い。これを家庭、学生に人気のあるアップルMacとWindowsアプリケーションを完全融合することで、パソコンの家庭市場を拡大する。
マイクロソフトはアップルと手を握ることによってパソコンの家庭市場を拡大しておき、そのうえでパソコンとデジタル情報家電を融合し、パソコン業界がデジタル融合家電を取り込む基盤を確立する。
ところで、マイクロソフトの悩みは、アップルを窮地に陥らせたことでマイクロソフトの一人勝ちとなり、結果的に判官びいきの気質を強く持つアメリカ人の多くを敵に回してしまったことである。
パソコン初期の王者アップルを、今マイクロソフトが救う姿勢を示せば、多くの大衆の好感を取り戻せるはずだというゲイツCEOの思惑も透けて見える。ただそうであっても、この提携は、パソコンのグローバルスタンダードへ向けた第一歩だと評価したい。
最後の壁はウィンドウズとJavaの対立
ただし、コンピュータ産業には、「Windows対Java」というアプリケーションの大きな対立軸が控えている。Java推進派、オラクルのラリー・エリソンCEOが新しいアップルの取締役として名を連ねた。
サンの提唱する「100%PureJava」とマイクロソフトのWindowsベースのJava「J/Direct」の対立は、これまたカスタマーにとっては歓迎すべき材料ではない。
エリソンCEOが仲介役となって、ゲイツCEOとサンのスコットマクネリーCEOを握手させる。マイクロソフトとサン、IBM、オラクルが連携してJavaのグローバルスタンダードを創り出す――これが実現したとき、パソコンは本当に大人の産業へと脱皮できるのである。
(コンピュータビジネスアナリスト 中野英嗣)
マイクロソフト(MS)とアップルが8月6日に発表した提携は、パソコン業界だけでなく、全世界の産業界に衝撃を与えた。米国の論評ではこの両社の提携劇を、マイクロソフトによるアップルの救援と見る向きが多い。
しかし、見方を変えれば、アップルが苦境に立たされている現時点が、マイクロソフトとアップルが手を握り、「パソコンの真のグローバルスタンダード」を確立する絶好のチャンスだと、マイクロソフトビルのゲイツ会長は判断したとも考えられる。
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