イーアクセスによると、ヤフーBBが不必要と思えるほどの広大なコロケーション場所を確保しているため、後発のADSL事業者は「場所がない」として断られるケースが続出しているという。ADSLの先駆者だった東京メタリック通信は、コロケーション確保に時間を取られ、事業展開のスピードがつかなかったともいわれる。こうした背景を踏まえて作成されたのがこの「指針」といえそうだ。もっとも、本質的にNTT局舎の場所が足りなくなることは見えているだけに、新たな設備投資が行われない限り、今後も大きな問題であり続ける可能性が高い。
「電気通信分野における競争の促進に関する指針」 公取委、総務省まとめ
2 独占禁止法上又は電気通信事業法上問題となる行為
(前号より続く)
6.コロケーション設備に係る電力の利用については、無停電電源装置を介しない一般商用電源の利用が物理的に可能であるにもかかわらず、その利用を認めないこと。
7.コロケーションの条件において自己又は自己の関係事業者と他の電気通信事業者との同等性を確保しないこと。
・コロケーションに関する工事 1.他の電気通信事業者がコロケーションに関して自ら行う工事や保守について、これを認めず、工事業者の選択に制限を加え、又は自らの工事や保守の場合よりも厳しい安全性の基準を課すこと。
2.他の電気通信事業者がコロケーションに関して自ら行う工事や保守について有償で立会いを行う場合を必要最小限の場合に限定せずに行うこと。
3.他の電気通信事業者と競合関係にある業者に対して当該他事業者に関する工事等を発注する場合に、当該他事業者との合意なしに行うこと。
4.他の電気通信事業者と競合関係にある業者に対して当該他事業者に関する工事等を発注する場合に、当該競合関係業者において知り得た情報を目的外に使用することを禁止する措置を施す等の公正競争条件確保のための配慮を行わずに行うこと。
5.他の電気通信事業者のコロケーション設備について工事や保守を請け負う場合に他の電気通信事業者が負担することとなる工事費又は保守費について、低廉な料金設定に資する適正な算定方法によらずこれを設定し、他の電気通信事業者との協議において十分な情報の開示を行わず、又は適正な按分等を行わないことで他の電気通信事業者の間で不公平を生ぜしめること。
6.他の電気通信事業者がコロケーションに関して自ら行う工事や保守に対して、立会いの費用負担を当該他事業者に求める場合に、必要最小限の場合に限定した立会いを前提とした費用算定をせず、作業内容に比べて不相応に高額な額の負担を求め、又は費用の具体的な内容と個別の料金金額の明示を行わずに費用負担を求めること。
7.コロケーションが可能と回答し、その後工事を行う場合に、早急に工事費用の概算を提示しないこと。
・理由付記、立入り等 1.コロケーションが可能と回答する際に、通信用建物内の具体的なコロケーションの場所およびその選定理由を回答しないこと。
2.コロケーションの場所の選定理由が、コロケーション設備の設置の時点で、自己等の電気通信役務の提供を阻害しない範囲で、例えば可能な限り接続点から最短距離にあること等、最も低廉になる条件にあることを基本とするものでないこと。
3.コロケーションを行う通信用建物について、コロケーションの請求への回答に関する確認のために行う他の電気通信事業者の立入りを受け入れないこと。
4.空き場所がないためにコロケーションが不可能と考える通信用建物について、空き場所の有無の確認のために行う他の電気通信事業者の立入りを受け入れないこと。
5.他の電気通信事業者からコロケーションに係る工事や保守の受託を受ける場合に、当該他事業者が行う立会いを認めず、立会いの時間帯を制限し、当該立会いに対する立会いを当該他事業者の合意を得ずに行い、又は当該他事業者が工事や保守の円滑な実施に必要な他の電気通信事業者による助言等の行為を禁止すること。
・その他 ●その他コロケーションの請求、コロケーションに係る通信建物への立入りの請求、他事業者自らがコロケーションに関して行う工事や保守、他の電気通信事業者から受託して行うコロケーションに係る工事や保守に関する業務等について、接続約款所定の手続や様式、標準的期間によらずに業務を行うこと。
・d.その他の事項
(例)
1.実際の接続に当たり、認可を受け、又は届け出た接続約款等に従った技術的条件、接続料を適用しないこと。
2.第一種指定電気通信設備に自己の電気通信設備を接続することとした場合の条件に比して、他の電気通信事業者に対して不利な条件により第一種指定電気通信設備の接続を行うこと。
3.新たな網機能について、電気通信事業法に定める手続に従って技術的条件を決定したなどの合理的な理由なく、著しく接続が困難であり、又は接続するために著しい費用を要するような技術的条件を採用すること。
4.他の電気通信事業者の利用者料金を利用者に請求し、又は回収する場合に、これに関して当該他事業者が負担すべき金額を、能率的な経営の下における適正な原価に照らして公正妥当ではないものとすること、又は自己若しくは自己の関係事業者が負担すべき金額に比して不利なものとすること。
5.利用者が他の電気通信事業者のサービス提供を受けるために行うISDNから電話への移行の手続や、回線名義人の問い合わせの対応に際し、自社の営業等を行うこと、また当該対応のなかで得られた情報を自社の営業等に利用すること。
6.利用者が他の電気通信事業者のサービス提供を受けるために行う申込みに関して必ずしも不可欠でない(注19)にもかかわらず、回線名義人の住所その他の情報の提供を他の電気通信事業者や他の電気通信事業者のサービスの利用者に対して求めること。
(注19)優先接続(マイライン)およびDSLサービスについては、回線名義人の住所の記載は不可欠とは考えられない。
7.優先接続(マイライン)等における電気通信事業者の登録作業において、自己又は自己の関係事業者を選択した利用者を、その他の電気通信事業者を選択した利用者と比較して優先的に登録すること。
8.共用に関して入手した情報を、他サービスの営業等本来の目的以外の目的のために自社内の他部門や自己の関連会社等に提供すること。
9.ブラウザフォンサービスの提供のために設置するアクセスポイントの番号取得のためのダウンロードセンターにおいて、自己のアクセスポイント番号と同一の条件で、競争事業者がブラウザフォンサービス提供のために設置するアクセスポイントの番号を他事業者からの請求に応じて速やかに付与できるように措置しないこと。
10.自己のブラウザフォンサービスにおいて用いられる端末からアクセスできるアクセスポイントを競争事業者が設置し、その端末を用いて、当該ブラウザフォンサービスと同等のサービスを提供することができるのに十分な技術条件を開示しないこと。その他、第一種電気通信事業者が、電気通信設備の接続又は共用について特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いを行いその他接続又は共用について不当な運営を行っていることにより他の電気通信事業者の業務の適正な実施に支障が生じているため、公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは、業務改善命令の対象となる(電気通信事業法第36条第4項)。
イ.接続約款の変更認可申請命令の対象となる場合
第一種指定電気通信設備との接続に係る接続約款について、例えば以下のような場合において、公共の利益の増進に支障があると認めるときは、当該接続約款の変更認可申請命令が発動される(電気通信事業法第36条第2項)。
(例)
1.第一種指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者が接続約款に記載されていない機能を用いて新たなサービスを開始する以前、あるいはほぼ同時期に、当該機能に係る接続条件を接続約款に規定していない場合。
2.標準的接続箇所における技術的条件の設定および変更が、新たな技術動向に対応して早期かつ柔軟に行われない場合。
3.保守区分ごとに接続料を設定する等他の電気通信事業者の要望を可能な限り踏まえた柔軟な接続料の設定を行わない場合。
4.接続約款に定める機能と同機能を利用したサービスを提供する場合において、当該サービスの利用者料金に比較して、当該機能に係る接続料を合理的な理由なく高く設定している場合(ただし、公衆電話サービスおよび番号案内サービスについては、現状ではこれに当たらない)。
(以降略)