今年度の第二次補正予算案としてe-JAPANがらみで3908億円が計上された。管理用光ファイバーなどの整備の推進1395億円、世界最先端の研究施設の整備1101億円、地域のIT化の推進475億円、IT化に対応した公的施設・システムの整備431億円、電子カルテなどの医療の情報化の推進349億円、公立学校における校内LAN等の整備120億円である。「施設」ということばが目立つが、ともあれ資金は流れてきそうだ。
「ITが経済に及ぼす影響に関する分析」総務省・情報通信経済研究会まとめ
第2節 IT化の進展による消費行動の変化
(2)実店舗と電子商取引との間の価格差に伴う消費 インターネットの急速な普及に伴い、我が国における電子商取引市場は拡大を続けており、2005年には13兆3000億円に達するものと予測されている。個人が電子商取引を利用する動機としては、(1)価格要因(インターネット割引や価格比較サイトの利用などにより、実店舗より低い価格で商品やサービスを購入できる)、(2)利便性要因(店舗に出向く必要がなく、時間の節約になる)、(3)希少性要因(インターネット上での限定販売商品など、通常の買い物では手に入れることができない商品を購入することができる)の3つが考えられる。
ここでは、このうち価格要因に着目し、実店舗と電子商取引との間の価格差がどの程度、実質消費に影響を及ぼすかについて分析を行った。なお、実店舗と電子商取引との価格比較はインターネット利用者に固有の行動であることから、インターネット未利用者に対する影響はないものとした。
試算の結果、実店舗と電子商取引との間の価格差は年額2500-4000円程度の実質消費の拡大効果をもたらしているものとの推計を得た。これを利用回線種類別にみると、ブロードバンド利用者と非ブロードバンド利用者の比較では200円程度と有意な差はみられず、常時接続利用者と非常時接続利用者の比較では1100円程度と比較的大きな差がみられた。これは、電子商取引の利用にあたってブロードバンド回線を必要とするコンテンツが現時点では十分には充実していないため、ブロードバンド利用者と非利用者の電子商取引利用行動に差がないことが背景にあるものと考えられる。
なお、電子商取引において価格要因を重視する品目を尋ねたところ、図表32のとおり、損害保険、教養娯楽家電・楽器(例:テレビ、ラジカセ)、家電製品(例:冷蔵庫、エアコン)などが、利便性要因を重視する品目としては書籍、航空運賃、銀行振込・振替などが、また、希少性要因を重視する品目としては自動車、教育費、食料品、酒類などがそれぞれ上位に挙げられている。このことから、消費者は、商品特性にあった電子商取引を行っていることがうかがえる。
(3)電子商取引による衝動的消費 インターネット上では商品・サービスに関する大量の情報が流通しており、また、電子商取引によりその場で消費行動を完結することが可能である。そのため、消費者が自分の関心にあった商品情報などに接した場合、購入のための移動や時間など物理的な制約がある実店舗での消費の場合に比べ、インターネット上では衝動的な消費が生じやすいものと考えられる。
ここでは、電子商取引がどの程度衝動的な消費を生じさせているのかについて分析を行った。なお、衝動的な消費は予定外に追加的な消費を行うものであることから、実質消費ではなく名目消費を拡大させるものと考えられる。なお、電子商取引による衝動的消費はインターネット利用者に固有の行動であることから、インターネット未利用者に対する影響はないものとした。
試算の結果、電子商取引による衝動的消費はインターネット利用者に対し年額2000-3000円程度の名目消費の拡大効果をもたらしているものと推計を得た。
これを利用回線種類別にみると、実店舗と電子商取引との間の価格差に伴う消費の場合と同様に、ブロードバンド利用者と非ブロードバンド利用者の比較では140円程度と有意な差はみられず、常時接続利用者と非常時接続利用者の比較では1200円程度消費が拡大しており、常時接続回線の利用が衝動的な消費を促進していることが認められる。
また、衝動的消費を行ったことがある世帯の割合は約46%に達している(図表33)。