その他
パートナーが富士通を選定 新しいシステム販売のかたち
2002/06/17 15:00
週刊BCN 2002年06月17日vol.945掲載
富士通が開始した「GLOVIA(グロービア)パートナープログラム」は、パートナー企業が富士通を選定するユニークなプログラムだ。富士通では同プログラムの導入により、ERPソリューション「GLOVIA」の拡販を狙う。パートナー企業との協業体制を強化するとともに、パートナー間の連携を取りやすくすることで、顧客企業に最適なソリューションを提供していく。このプログラムは、パートナー企業が特性や戦略に応じて、得意分野のカテゴリに登録。参加するには、社内にGLOVIAの専門スキルをもつ資格取得者を確保しなければならないカテゴリもある。パートナー企業がプログラムに参加する、しないは自由だ。(佐相彰彦●取材/文)
「GLOVIAパートナープログラム」
●競合製品がひしめくなかパートナーの囲い込みが狙い?
富士通が打ち出したこのプログラムには、パートナー企業の特性や戦略に応じて役割を特化する「GLOVIAパートナー」制度が取り入れられている。
パートナー企業は、(1)GLOVIAのライセンス・サービスを販売する「セールスパートナー」、(2)GLOVIAの導入作業・サポートを行う「サービスパートナー」、(3)GLOVIAのコンサルティングを手がける「コンサルティングパートナー」、(4)GLOVIAと連携したソフトウェアを開発・提供する「ファミリーパートナー」の4種類から、得意分野のカテゴリに登録する。
パートナー企業への教育体制として、GLOVIAの資格認定試験を実施。パートナー企業に専門スキルをもった人材の確保を促す。
資格認定としては、(1)「セールスプロフェッショナル」(セールスパートナー向け)、(2)「プロジェクトマネージャー」(サービスパートナー向け)、(3)「アプリケーションコンサルタント」(同)、(4)「テクニカルコンサルタント」(同)、(5)「ディベロップメントコンサルタント」(同)の5種類で、計67コースの教育プログラムを設けている。
富士通のソリューション事業本部GLOVIA開発事業部・渡辺雅彦GLOVIA販売部長は、「現在、当社のパートナー数は700社弱となっているが、すべてがGLOVIAの販売を得意とするわけではない」という。
今回のプログラムは、パートナー企業にGLOVIAを中心とするソリューション販売を強化してもらう目的で開始したという。富士通がアプリケーション系でこうした制度を本格導入するのは初めてだ。
富士通としては、参加パートナーを増やし、「GLOVIA」の拡販を図りたいわけだが、これは逆に「富士通がパートナー企業を選定し始めているのではないか」との見方もある。
これについて、渡辺部長は、「あくまでもパートナーが当社を選定することになる」という。
中堅・中小企業向けに提供しているERPソリューション「GLOVIA-C」の競合製品としては、オービックの「オービック7」やCSKの「スーパーストリーム」など、その数は多い。
実際、顧客企業のニーズに合わせたソリューションを提供するのであれば、富士通以外の競合製品を販売するパートナーも多い。
そのため、富士通がパートナーを“事実上”選定するとなれば、パートナーにとっては、無理に「GLOVIA」を販売する必要もなくなるということになる。
富士通サポート&サービス(Fsas)のネットワークビジネス本部・河村俊介システム統括部長代理兼SI部長は、パートナー企業の立場から「富士通本体としては、自社の体力に応じた製品を販売してよいとパートナーに訴求しているのではないか」と分析する。
また、富士通ビジネスシステム(FJB)の東京システム統括部・楠本隆一東京第二システム部長は、「あまり多く販売していない企業がパートナープログラムに入ったところで、パートナーとしてのメリットが出てくるとは言いにくい。だが、パートナーとしては、富士通がパートナーを選定しているという意識よりも、無理に販売しないと意識するだろう」と話す。
都築電気のERP推進部・三上秀人副部長兼ERP推進課長も、「富士通としては、パートナーの囲い込みという意識もあるかもしれないが、GLOVIAが売れる製品であることが重要だ。良い製品が出てこなければ、参加を取りやめる企業もでてくる」と指摘する。
富士通システムソリューションズ(Fsol)の会計・ERPソリューション本部・小布施仁三第一会計ソリューション部長は、「質が高いソリューションをパートナー企業に提供することが目的であるため、できるだけ多くの参加企業を集めるだろう」としている。
●仕切り率の低下で販売意欲を促進
パートナー企業のメリットとしては、「人材育成を含め、GLOVIA専用サイトに参加する各パートナーの紹介がある。顧客企業がサイトを通じて信頼性のある企業を検索できる。また、パートナー企業にとっても、サイトを通じてパートナー間の連携がとりやすくなった」(渡辺部長)と説明する。
今回のプログラムでは、セールスパートナーに関して、資格取得者を10人確保し、1年間で100システムを販売するパートナーを「ゴールドパートナー」、3人の資格取得者・30システムを販売するパートナーを「シルバーパートナー」と位置づける。
仕切り率は、ゴールドパートナーが通常の製品価格よりも10%、シルバーパートナーが5%下がることになる。ゴールド、シルバー双方とも、資格取得者・システム販売を達成しなければ、この仕切り率は成立しない。
シルバーパートナーで申請した都築電気は、「30システムを達成するのは難しいかもしれないが、販売しなければならない数字」(三上副部長兼ERP推進課長)と拡販に意欲を示す。
ゴールドで申請のFsasでは、「100システムはボリュームがあるが、来年以降に達成のめどをつける」(河村システム統括部長代理兼SI部長)としており、FJBでも「100システムは、必ずやり遂げる。また、資格取得者も今期中には10人を目指す」(楠本東京第二システム部長)と意気込む。
Fsolでは、「今期中に5-6人の資格取得者、導入企業で30-40社の新規顧客を獲得する」と闘志を燃やす。
富士通では、ミドルウェア製品でも今回と同様のプログラムを開始する計画。
パートナー、顧客企業にとってメリットがあるプログラムを実施することで、パートナー企業が販売しやすい環境を整えていく構えだ。
富士通が開始した「GLOVIA(グロービア)パートナープログラム」は、パートナー企業が富士通を選定するユニークなプログラムだ。富士通では同プログラムの導入により、ERPソリューション「GLOVIA」の拡販を狙う。パートナー企業との協業体制を強化するとともに、パートナー間の連携を取りやすくすることで、顧客企業に最適なソリューションを提供していく。このプログラムは、パートナー企業が特性や戦略に応じて、得意分野のカテゴリに登録。参加するには、社内にGLOVIAの専門スキルをもつ資格取得者を確保しなければならないカテゴリもある。パートナー企業がプログラムに参加する、しないは自由だ。(佐相彰彦●取材/文)
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