その他
セキュリティベンダーの企業向け戦略 製品からサービスにシフト
2002/08/05 15:00
週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載
セキュリティベンダーがエンタープライズ戦略にフォーカスし始めた。米シマンテックによるセキュリティフォーカス社をはじめとする3社の買収や、トレンドマイクロが今年6月に発表した「TrendMicro Enterprise Protection Strategy」も、企業向けトータルソリューション提供を狙ったものだ。同時に各社の戦略も製品戦略からサービス戦略へと変化。競合のポイントが新たなフェーズへと移行しつつある。(大河原克行●取材/文)
セキュリティベンダーの企業向け戦略
●次々と新施策を打ち出す
トレンドマイクロは、今年6月に発表したTrendMicro Enterprise Protection Strategy(TM EPS)で、企業向けのセキュリティ事業を加速する考えを示した。
「もともと当社売上高の85%は企業ユーザー」(スティーブ・チャン社長)というが、「TM EPSでは、製品を売るというよりも、サービスを売ることが重要な施策になる。そのためには、直接顧客にリーチしているシステムインテグレータを通じたアプローチが必要」として、パートナー戦略を整備。そのなかでエンタープライズ向けソリューションの加速を図る。
シマンテックは今年7月、セキュリティホールのデータベースと、警告/管理を行うBagTraq、DeepSightで有名なセキュリティフォーカス社を買収。さらに、リコーステクノロジーズ、リプテックの買収も発表し、企業向けソリューションの提供を行える体制をさらに強化した。
米シマンテックの最新四半期の決算では、エンタープライズセキュリティビジネスが35%成長、企業向けセキュリティビジネスが42%にまで拡大してきている。
今回の3社の買収によって、企業向けのセキュリティに関連した製品およびサービスが強化されることになり、とくにサービス事業の拡大が見込まれるところだ。
ネットワークアソシエイツでも、企業向けトータルソリューションの提供に余念がない。
同社の場合、マカフィーで個人ユーザー向けのサービス事業強化を進めている。今年4月には米国で開始したセキュリティセンターを7月から日本でも開始。クライアントのセキュリティ環境の安全度を常にチェックしたり、最新のウイルス情報を提供したり――といったサービスを開始した。
これは同社が提唱しているグリッドセキュリティサービスの第一弾となるもので、今後、さらにサービス事業を拡大していく考えだ。
●いまだ低いセキュリティ意識
米IDCが今年2月に発表した予測によると、セキュリティ管理サービス市場は、2000年の7億2000万ドルから、05年には22億ドルと、3倍規模に増えるとしており、サービス分野の成長率が高いことを示している。
しかし、サービス事業を加速させるためには、日本企業のセキュリティ意識を改善する必要がある。というのも、アンチウイルスソフトやファイアウォールを導入していれば安心という意識が根強く、運用、管理といったサービスに対する意識が低いからだ。
例えば、総務省が今年5月に発表した「情報セキュリティ対策の状況調査」によると、アンチウイルスソフトの導入率は情報セキュリティ先進国の米国をしのぐ95%に達しており、ファイアウォールの導入率でも87%と米国の導入率に匹敵する状況となっている。
だが、不正侵入検知や暗号化といったセキュリティ対策については、はるかに遅れている。
総務省でも、「アンチウイルスとファイアウォールの導入でセキュリティは万全という日本企業の誤った意識が浮き彫りになったと判断している」とコメントする。
セキュリティサービス事業を日本で根付かせるためには、企業の意識改革が必要。情報セキュリティは製品を導入することよりも、運用、管理が大切であることを業界として強く訴えていくべきだろう。
セキュリティベンダーがエンタープライズ戦略にフォーカスし始めた。米シマンテックによるセキュリティフォーカス社をはじめとする3社の買収や、トレンドマイクロが今年6月に発表した「TrendMicro Enterprise Protection Strategy」も、企業向けトータルソリューション提供を狙ったものだ。同時に各社の戦略も製品戦略からサービス戦略へと変化。競合のポイントが新たなフェーズへと移行しつつある。(大河原克行●取材/文)
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