その他
ベンダー各社、CTIソリューションを発表 戦略性高まるコンタクトセンター
2002/08/12 15:00
週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載
企業間の競争環境の変化にともなって、コンタクトセンターの役割が重視されてきている。顧客の声を直接得ることができるコンタクトセンターを、従来のコスト部門から収益を得るための戦略的拠点に位置づける企業も出てきている。同時に、コンタクトセンター向けのソリューション提案が重視され始めており、情報化投資が低迷するなかでも成長を遂げる数少ない分野として、ディーラーのビジネスチャンスの1つになろうとしている。(大河原克行●取材/文)
顧客情報を多面的に活用
●変化する問い合わせ窓口
「プロダクトアウトからカスタマーインへ」、あるいは「製品力の勝負からサービスの戦いに」という言葉で示されるように、企業間競争において、顧客を重視した戦略が不可欠になってきている。
顧客の声をいかに聞き、これをサービスや製品の改善、あるいは新製品開発に反映することができるかが最優先されている。そのなかで重要な役割を果たしているのが、ユーザー問い合わせ窓口である。
従来は、コールセンターと呼ばれてきたものだが、最近では、電話やファクス(FAX)による問い合わせ対応だけでなく、電子メールによる問い合わせやウェブによる自動回答など、多岐にわたる対応が求められるようになった。
それにともない、そこで得た情報をより戦略的に活用しようという動きが出てきており、最近ではコンタクトセンターと呼ばれるようになってきたのである。
ある金融大手では、年間700万件にのぼる顧客問い合わせ窓口のデータを蓄積していたが、今年3月までは、これらのデータを顧客対応窓口向けのFAQデータベースとして活用するだけで、ほとんど「死んだ情報」となっていた。
だが、今年4月に、これらのデータを多面的に活用する戦略的システムを稼働。テキストマイニング技術で185項目にわたる課題を導き出し、わずか1か月で約50項目の改善を行った。
こうした動きは、製造業、流通業などで相次いでいる。
「従来は、コストセンターとしか見られなかったコールセンターが、顧客満足度(CS)を向上させるための戦略的拠点と位置づけられるようになり、利益を生むために必要不可欠な拠点と認知されるようになってきた」(大手ディーラー)というわけだ。
●CTIソリューションの登場相次ぐ
こうした動きを捉えて、IPに完全対応したCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)システムやソリューション提供で、ベンダー各社がしのぎを削り始めている。
沖電気工業は、マイクロソフトとの提携をいち早く発表。国内で高い実績をもつ「CTstage」を「.NET」に対応させ、CTIソリューションの提供に力を注いでいる。
アバイヤも従来からの「DEFINITY」を中心とした大規模コンタクトセンター向けのソリューションに加えて、新たなソリューションの提供を開始。さらに中小規模コンタクトセンター向けプラットフォームとして「INDeX」の販売強化に乗り出しており、INDeXで高い販売実績を持つ岩崎通信機は、コンタクトセンターのワークフォースマネジメントソフト「Prime Time」を標準添付するという戦略的な販売展開を始めるなど、パートナーを取り込んだシェア拡大戦略を打ち出している。
NECインフロンティアは、IPに完全対応したオフィスコミュニケーションゲートウェイ「Aspire(アスパイア)」を8月から出荷。企業のIP化とコンタクトセンターソリューションの提供を視野に入れた展開を開始しているほか、ジェネシス・ジャパンでも、中小規模コンタクトセンターソリューションの「g-Express」を発表するなど、製品の品揃えを強化している。
このようなCTIソリューションベンダー各社の製品強化やマーケティング戦略の強化も、コンタクトセンターの情報武装化を後押ししている。企業における情報化投資を拡大させるための突破口の1つとして注目されている。
企業間の競争環境の変化にともなって、コンタクトセンターの役割が重視されてきている。顧客の声を直接得ることができるコンタクトセンターを、従来のコスト部門から収益を得るための戦略的拠点に位置づける企業も出てきている。同時に、コンタクトセンター向けのソリューション提案が重視され始めており、情報化投資が低迷するなかでも成長を遂げる数少ない分野として、ディーラーのビジネスチャンスの1つになろうとしている。(大河原克行●取材/文)
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