その他
BTOパソコン売れ行き好調 重要喚起の起爆剤に
2002/08/12 15:00
週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載
BTOパソコンの売れ行きが好調だ。BTOの大手メーカー、デルコンピュータをはじめ、BTOを軸にビジネス展開する各社は、売上高の伸びが堅調に推移。これまでターゲットとしていた分野を維持しつつ、新市場に参入することでビジネス拡大を図るBTOメーカーもいる。パソコン市場全体は、企業がIT投資の抑制に走る一方、コンシューマ市場が成熟に向かうなど、低空飛行が続いている。閉塞感の打開に向け、それぞれのニーズに適したパソコンを提供するBTOパソコンが、需要を喚起する可能性は高い。
BTO(Build To Order=注文生産方式)を主流にする各メーカーが堅調に売り上げを伸ばしている。BTOメーカーの巨人、デルコンピュータでは、「今年4-6月におけるパソコン本体の売上高は、前年同期比で2ケタ増。サポートや品質の良さを理解してくれる顧客が多くなったのが売上増加の要因」(クライアント製品マーケティング本部・鈴木祥子部長)と強調する。 個人向けBTOパソコン「マウスコンピュータ」を販売するエムシージェイでは、コア層をターゲットにしたオーダーメイドパソコン「TUNE(チューン)」や、周辺機器「MCP(マウスコンピュータペリフェラル)」などを昨年後半に立ち上げ、「ターゲット層を増やし、安定的な収益構造を確立した」(島勇二社長)と自信をみせる。 パーツショップ・インターネットショップ「ツートップ」を展開するフリーウェイでも、「ネットショップでは、BTOパソコンの売れ行きが良く、1か月平均で1000台の注文がくる」(営業部・鈴木一将e-コマース課長)としており、「初心者層や法人が購入するケースが多くなっている」と話す。 パソコンショップ「パソコン工房」を運営するアロシステムでは、「4-6月は、売上高が前年同期比で15%以上伸びた。上級者層に加え、中級者や初級者なども購入するケースが増えている状況だ」(東京支店北海道・東北・関東ブロック・塩原寿哉部長)という。 プロサイドの椎名堯慶社長は、「4-6月は、売上高が20%増となった。顧客の要求に応え、少量生産でも、迅速かつ柔軟に対応できたことが売上拡大に反映したのではないか」と分析する。 パソコン市場全体の落ち込みをシリ目に、BTOパソコンの売れ行きが好調なのは、法人市場のIT投資抑制、コンシューマ市場の需要低迷の時期こそ、顧客ニーズに沿ったパソコン提供が重要であることの証左かもしれない。加えて、価格が比較的安いというのも、購入意欲を高める要因ともなっている。 そのため、これまでターゲットとしていた分野を維持しつつ、新しい市場に参入することでビジネス拡大を図るBTOメーカーもいる。 デルは、売上高比率が法人市場で8-9割と、法人向けの供給が圧倒的に多い。これを「今後は、コンシューマ市場の拡販も強化する」(鈴木部長)としており、コンシューマ市場を狙いに日本独自のモデル「ディメンション4500C」シリーズ(デスクトップ)を5月22日に発売。8月に入ってからは、ノートパソコンでも日本独自のモデルを発売した。 鈴木部長は、「現在、当社の製品を購入者する層は、上級者から中級者に裾野が広がりつつある。これを、さらに広げていくためにテレビCMなどで広告戦略を行い、一般消費者に『デル』を認知させていく」と意気込む。 エムシージェイでは、このほど法人向けパソコン「Yamato(ヤマト)」ブランドを立ち上げ、法人市場でのビジネス拡大を狙う。プロサイドでは、パソコンショップなどに同社の部材を生かしたオリジナル製品を提供し、「ホワイトボックス」を提案。コンシューマ市場を視野に入れる。 電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、今年4-6月におけるパソコン出荷実績は、前年同期比で法人市場が16%減、コンシューマ市場が9%減という状況だった。 JEITAでは、今後の需要喚起のキーワードに、法人については大・中規模企業のリプレースや中小規模のIT投資意欲の掘り起こし、コンシューマでは買い増し需要の開拓などを挙げる。 購入者にとっては、使用目的に合致した希望通りの製品が購入できれば、無駄な費用を抑えることができる。 BTOパソコンは、需要を喚起し、パソコン市場の低迷を打破する起爆剤になりえそうだ。
BTOパソコンの売れ行きが好調だ。BTOの大手メーカー、デルコンピュータをはじめ、BTOを軸にビジネス展開する各社は、売上高の伸びが堅調に推移。これまでターゲットとしていた分野を維持しつつ、新市場に参入することでビジネス拡大を図るBTOメーカーもいる。パソコン市場全体は、企業がIT投資の抑制に走る一方、コンシューマ市場が成熟に向かうなど、低空飛行が続いている。閉塞感の打開に向け、それぞれのニーズに適したパソコンを提供するBTOパソコンが、需要を喚起する可能性は高い。
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