その他
「もう販社と呼ばないで!」 メーカー系企業の新しい模索
2002/08/26 15:00
週刊BCN 2002年08月26日vol.954掲載
もう、販社と呼ばれたくない」――。最近、こんな発言をする『メーカー系販社』が増えている。これまで各社は、メーカーの売上拡大に寄与するために、販売量の増大を重要な戦略に掲げてきた。しかし、メーカー自身が販売の主体を、ハードからソフト、ソリューションへと転換を急いでいることからも分かる通り、ハードだけを伸ばしても必ずしも利益につながらない。販社は生き残りのために、「ハード以外の売り上げを伸ばし、利益を確保するのが重要」と言及する。そのため、「販社ではない」とアピールし、旧来型ビジネスモデルからの脱却を進める。脱販社宣言をした各社が目指すものとは何か。
メーカー系企業の新しい模索
「かつては、売上高1000億円を超えることが販社生き残りの条件といわれていたが、現在はそういう時代ではないのではないか」――。
今年3月、日本IBMなどが出資する日本オフィス・システム(NOS)の社長に就任した尾嵩氏は、自社の現状をこう分析する。
NOSは、従来行っていた間接販売を縮小し、サービス事業を主軸とした企業へと転換を図っている。間接販売がなくなれば、当然売り上げは少なくなるが、「今は売り上げよりも、利益をあげることが重要」として、同社の決算は減収増益を続けている。
メーカーの資本が入っていない販社は、すでに数年前から「脱販社」を掲げてきたが、NOSのようにメーカー系の資本が入った「直系販社」でも、「脱販社」を標榜するところが増えている。
昨年4月1日付でNEC系列の販社、開発会社など5社が統合して誕生したNECネクサソリューションズは、「ナンバー1eサービスパートナー」というスローガンを掲げる。これは、5社がバラバラにもっていた商品、スキルを統合し、サービス事業を売り上げの柱にすることを狙ったものだ。
中沢征彦取締役常務は、「今後もNECとの連携は強化していく」としながらも、「今の販社に求められているのは、独自でビジネスを展開する力」と話す。独自サービスの販売を徹底していくために、「社内では自らを販社と呼ばなくなった」という。
各社が揃って、「脱販社」を宣言するのは、これまでのような販社機能だけでは企業としての存続が危うくなっているからだ。従来のように、忠実な販社をメーカーが養ってくれる時代は終わり、販社が独自に採算をとれる体制が求められている。販社自身が独自で採算をあげることができる体質へと転換するために、社内外へのアピールを意図して、「脱販社」宣言をしているようだ。
ただ、ソフト、サービスへ事業の重点をシフトしても、必ずしも収益体質が改善するとは限らない。いち早く「脱販社」へとシフトしたものの、思うように売り上げが伸びずに低迷している企業もある。
ある販社は、独自商品を増やしたものの思うように売り上げが伸びず、「メーカーから『独自商品の開発をやめて、営業業務だけに徹しろ』とお達しが出た」ため販社へと逆戻りした。単に「脱販社」を名乗り、独自商品を作っただけでは、厳しい市場環境の中、生き残りが約束されたわけではない。
「脱販社」として、独自商品を作ったうえで、専業のソフトメーカー、サービスプロバイダと競合して勝てるだけの強力な組織が必要だ。「脱販社」が成功した後も、気を緩めず市場に立ち向かう姿勢が求められる。
もう、販社と呼ばれたくない」――。最近、こんな発言をする『メーカー系販社』が増えている。これまで各社は、メーカーの売上拡大に寄与するために、販売量の増大を重要な戦略に掲げてきた。しかし、メーカー自身が販売の主体を、ハードからソフト、ソリューションへと転換を急いでいることからも分かる通り、ハードだけを伸ばしても必ずしも利益につながらない。販社は生き残りのために、「ハード以外の売り上げを伸ばし、利益を確保するのが重要」と言及する。そのため、「販社ではない」とアピールし、旧来型ビジネスモデルからの脱却を進める。脱販社宣言をした各社が目指すものとは何か。
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