その他
Linuxディストリビューション うま味あるビジネスは過去に
2002/09/02 15:00
週刊BCN 2002年09月02日vol.955掲載
Linuxをディストリビューションする企業は大きな転換点を迎えているようだ。Linuxを使った企業向けシステム開発は順調に行われているものの、ディストリビューションビジネスが大きく収益をあげる時代は完全に終わりを告げたことを象徴する買収が発表になった。
ターボリナックスは、今年5月に発表になったカルデラ、コネクティバ、SuSEとともに、統一Linuxである「United Linux」を開発していくことを表明していた。これも、世界各国のLinuxディストリビュータ大手が手を結ぶことで、1社では実現することができない勢力の拡大を狙った提携であった。ターボリナックスでは、SRA買収後もUnited Linuxをディストリビューションの中心としていく計画だというが、この2つの出来事はLinuxディストリビューションビジネスを成功させるためには、強固な経営体質、ワールドワイド規模でのブランド確立が必要になってきたことを示している。 何故、ブランドと経営体質の強化が必要になったのか。その理由は、ここ数年のLinuxの動きを見れば明らかだ。オープンソースのLinuxが脚光を浴びた理由の1つは、ベンダーやユーザーの意向で、自分達が望む仕様に簡単に変えることができる点にあった。マイクロソフトのウィンドウズに対するアンチテーゼとして、Linuxがクローズアップされたわけだが、ブームが去って企業が本格的な導入を始めると、オープンソースならではの問題点も露呈し始めた。 まず、各ディストリビュータがそれぞれのLinuxを作ったことで、「アプリケーションの開発が難しい」という声が目立ち始めた。「別々のディストリビュータが提供しているといっても、元々は同じLinuxであり、アプリケーションの乗せ換えはそう難しくはない」といわれているものの、かつてUNIXが各社から乱立したのと同様、「すべてのLinuxで動作を保証するのは容易ではない」という指摘があるも事実である。乱立したLinuxの中で、「まず、最初に対応するのはこのLinux」と優先順位がついていった。そこで支持されたのは、レッドハットである。間違いなく、いま最もシェアが高いLinuxはレッドハットだ。同社が勝ち組となったことで、レッドハット以外のLinuxディストリビュータは売り上げ的にもかなり厳しい状況に陥っていった。 United Linuxというイニシアチブにおいて、中心的役割を果たしていた米カルデラのCEOが今年6月に交代することになったのも、厳しい環境に対応するためである。元々Linuxは無償で提供されており、ディストリビューションパッケージの市場がどの程度あるのか、危ぶむ声は最初からあった。しかもライバルは、同じLinux陣営ばかりでなく、UNIX、ウィンドウズと数多い。 ディストリビューションだけを行っていても、市場規模から考えて楽なビジネスとはいえない――。今回のターボリナックスジャパンの買収はそうした市場の変化を何よりも明らかにしている。(三浦優子●取材・文)
Linuxをディストリビューションする企業は大きな転換点を迎えているようだ。Linuxを使った企業向けシステム開発は順調に行われているものの、ディストリビューションビジネスが大きく収益をあげる時代は完全に終わりを告げたことを象徴する買収が発表になった。
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