その他
「デジタルディケイド」と「3つの波」 将来のコンピューティング環境
2002/10/28 21:12
週刊BCN 2002年10月28日vol.963掲載
「ここ1-2年に登場する技術や製品が、今後10年のコンピュータの方向を示す基礎となる」――。米マイクロソフトの古川享バイスプレジデントは、今後10年の方向性をこう位置づける。マイクロソフトでは、今年末から来年前半にかけて、新たな技術として、タブレットPC、スマートディスプレイ、eホームなどを用意しているが、いわば、これらの製品/技術が今後10年の基礎になるというわけだ。そのキーワードは、「デジタルディケイド」。マイクロソフトの描く今後の10年を追ってみた。(大河原克行●取材/文)
マイクロソフトが描く次の10年とは
「ハードとソフトが手を取り合う」
マイクロソフトは、「インフォメーション・オン・ユア・フィンガーチップス」に代表されるように、折に触れて、将来のコンピューティング環境の方向性を示してきた。だが、今年になって同社のビル・ゲイツ会長が提示しはじめた「デジタルディケイド」は、これまでの提案以上に、より現実的な利用環境を示しているようだ。
デジタルディケイドは、ひとことでいえば、「ハードとソフトがお互いに手を取り合って実現する世界」を意味する。
米マイクロソフトの古川バイスプレジデントは、「今後10年は、これまでの10年以上にエキサイティングな10年になる」と前置きする。ウィンドウズ95の登場、インターネットの浸透、ブロードバンドの広がりという劇的な進化を遂げた過去10年以上に大きな変化を遂げるというのだ。そして、「このデジタルディケイドを実現するために、10年の間に3つの波が訪れる」とした。
第1の波は、現在訪れている潮流といえ、タブレットPCなどの新たな機器や、スマートディスプレイ(開発コードネーム:ミラ)や、ウィンドウズXPメディアセンターエディションで実現されるeホームなどの新たなデジタルライフスタイルの浸透といった動きを指す。11月7日に発売されるタブレットPCをはじめ、いずれの製品も来年前半には製品化されるもので、この波はすでに訪れているといってもいいだろう。
古川バイスプレジデントは、「これまでとは異なったこれらのデバイスが、目に見える形でわれわれの生活を変えるはず」と言い切る。
ビル・ゲイツ会長も、古川バイスプレジデントも、すでにタブレットPCを愛用している。「ビルは、ほかのパソコンはいらない、タブレットPCさえあればいいといっている。私も、これがなかった時代はどんなパソコンの使い方をしていたのかと思うことさえある」(古川バイスプレジデント)と、自らの体験で訴える。
ソフトが中心の世界に
次に訪れる第2の波は、「これは第1の波とは異なり、ユーザーの目にはつかない変化になる」という。具体的には、ファイルシステムの革新、そして、データ格納方法の変化だという。
現在、データが格納されているのは、あくまでも個人が所有するストレージが中心。だが、数年後、あらゆるデータは社会のデータベースのなかに格納されるという。その際、プライバシー保護や、著作権保護などが確立されるとともに、新たな情報流通の考え方も生まれてくることになるだろう。
そして、第3の波は、開発コードネーム「ロングホーン」や「ユーコン」といった次世代製品によって実現されるものとなる。新たなデバイスと新たなファイルシステムの考え方が進むこと。また、デジタルライツマネジメント(DRM)技術の進展、リアルタイムコミュニケーションや新たなユーザーインターフェイスなどによって、新たな情報流通手法がより現実的なものになるというわけだ。
マイクロソフトにとって重要なのは、これらを実現する中心的存在は、ハードでもネットワークでもなく、ソフトであるという点だ。一日を過ごす上で、人はさまざまなデバイスを利用することになるが、それはソフトによって統合されると定義する。
デジタルディケイドの提唱は、マイクロソフトが、このシナリオに向けてすでに動きを開始した証ともいえる。
「ここ1-2年に登場する技術や製品が、今後10年のコンピュータの方向を示す基礎となる」――。米マイクロソフトの古川享バイスプレジデントは、今後10年の方向性をこう位置づける。マイクロソフトでは、今年末から来年前半にかけて、新たな技術として、タブレットPC、スマートディスプレイ、eホームなどを用意しているが、いわば、これらの製品/技術が今後10年の基礎になるというわけだ。そのキーワードは、「デジタルディケイド」。マイクロソフトの描く今後の10年を追ってみた。(大河原克行●取材/文)
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