その他
NECの新SCM「VCM」稼働 パソコン生産の生命線に
2002/11/25 21:12
週刊BCN 2002年11月25日vol.967掲載
NECは、パソコン事業の新しいSCM(サプライチェーンマネジメント)システムとなる「VCM(バリューチェーンマネジメント)システム」を11月25日から本格的に稼働開始する。(三浦優子●取材・文)
NECは、パソコン事業の新しいSCM(サプライチェーンマネジメント)システムとなる「VCM(バリューチェーンマネジメント)システム」を11月25日から本格的に稼働開始する。VCMは、SAPのERP(基幹業務システム)とi2テクノロジーズ・ジャパンのSCMを組み合わせた。製造を担当するNECカスタムテクニカ、販売を担当するNECカスタマックス、そして部材などを提供するサプライヤー、販売店間をグローバルネットワークで結び、リアルタイムに情報を共有し、市場変動に迅速に対応することを狙う。
第1段階として、販売店から実売データと在庫情報を、販売店とNECを結ぶネットワークPC-SISにより収集する。第2段階では、販売を担当するNECカスタマックスが、実売や流通在庫などの情報に基づいた需要予測と出荷計画をi2のシステムを使って立案し、さらに発注計画の立案を行う。第3段階として、製造を担当するNECカスタムテクニカが、i2のシステムによる供給計画と調達計画を立案し、部材などのサプライヤーとの情報交換を行った上で、サプライヤーから部材などの納期回答を得る。
この納期回答に基づいて、何台の生産が可能で、かつ何台が適切なのかをNECカスタムテクニカが最終的な供給回答として出し、NECカスタマックスを通じて販売店側に提案する。販売店はこの提案に基づいた発注をかけていく。従来は17日間かけて行っていたこのサイクルを新SCMにより7日間短縮し、10日間で販売生産計画、生産・出荷までを行う。NECのパーソナル事業は、昨年度(2002年3月期)300億円の赤字となっている。これを黒字化するための施策の1つがVCMだ。収益悪化の原因となる不良在庫をつくることがないよう、過剰生産を抑制するとともに、昨年の冬商戦のような商品不足による販売機会損失をなくすことが新SCM導入の狙いだ。
SCM導入で成功した企業として、デルコンピュータがあげられる。SAPとi2の組み合わせはNECと同じだ。しかし、NECとデルでは、同じパソコン事業といっても大きな違いがある。まず、販売チャネルが異なる。デルはウェブなどを活用した直販がメインであり、販売パートナーをもたない。対するNECは、個人、企業ともにチャネルを活用した販売を行う。製品についてもその違いははっきりしている。デルは米本社のマイケル・デル会長いわく、「最もユーザーの支持がある製品を提供する」ことがモットー。新しい技術を他社に先駆けて提供していくのではなく、すでに人気がある製品を低価格でユーザーに提供していくビジネスモデルだ。
これに対しNECは、今回のファミリー向け製品「Fシリーズ」のように、他社に先駆け市場の創出を狙った製品提供も積極的に行う。それだけに、NECはデルに比べ不確定要素が多く、需要の予測は容易ではない。NECカスタマックスの片岡洋一社長は、「過去の実績だけを追っていたのでは、正確な予測は難しい。新店舗の開店や、販売店自身がキャンペーンを行うといった突発的要因など、様々な要素を加味しなければならない」と苦笑いしながら話す。しかし、収益を確保しながらシェアを拡大していくためには、SCMは不可欠である。最近、「シェアを伸ばしていく」ことに意欲を見せているNECにとって、VCMは大きな生命線となりそうだ。
NECは、パソコン事業の新しいSCM(サプライチェーンマネジメント)システムとなる「VCM(バリューチェーンマネジメント)システム」を11月25日から本格的に稼働開始する。(三浦優子●取材・文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…