その他
好調な記録型DVD市場
2003/01/13 15:00
週刊BCN 2003年01月13日vol.973掲載
2002年、絶好調だった記録型DVD市場。昨年1年間に、台数ベースで前年比210.8%、金額ベースで同150.9%上回る(ともにBCNランキングデータ)驚異的な伸び率を記録した。今後、記録型DVDを内蔵するパソコンがデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)になるとの見解を示す関係者も多く、まさに記録型DVDの普及元年といってもよい年だっただろう。この市場には、好調さもさることながら、もう1つ注目すべき点がある。熾烈な規格(フォーマット)争いだ。現在市場に登場している規格は、大きく分けて3つあり、ほかの市場では類を見ない激しい争いが繰り広げられているのだ。
ユーザーに“分かり易さ”を
DVDで扱われている規格には、リコーなどが率いる「DVD+R/RW」、パイオニアなどが推進する「DVD-R/RW」、松下電器産業などの「DVD-RAM」の3つがある。昨年全体の規格争いの流れを見てみると、先陣を切ったのは「DVD-RAM」。しかし、春には「DVD+R/RW」が市場を牽引し、約4か月間、シェア50%弱を維持する好調さをみせた。劣勢を強いられていた「DVD-R/RW」も、秋頃には当時では他規格よりも速い転送速度が“売り”の機種を投入し、巻き返しをみせるなど、混沌とした状態が続いた。
それぞれが一歩抜け出せない理由は、「DVD+R/RW」にはAV(音響・映像)機器メーカーが少なく、「DVD-R/RW」にはパソコンメーカーが少ない。「DVD-RAM」の場合は、メディアが「DVD-ROM」ドライブでは読み込めないなどの弱点を抱えていることが挙げられる。どの規格も狙っているのは、AV機器とパソコンの融合だが、規格がAVとパソコンのどちらかに片寄っている感は否めない。こうした流れの中で最近の主流となってきているのが、規格の複合化製品。「DVD-R/RW」と「DVD+R/RW」の複合など、2つの規格を兼ね備えたモデルを続々と商品化してきている。だが、AVとパソコンの実質的な融合が図れているかといえば難しい。
各規格、各メーカーが躍起になってアピールするが、こうした一連の市場動向を見つめるユーザーの中には、購入意欲はあるのに“買えない”ユーザーも多いという。「規格の複雑さに混乱し、知識不足から諦めるユーザーも少なくない」と打ち明けるショップ関係者は多い。「規格に関する知識が徐々には浸透してきているとはいえ、初心者ユーザーが理解するにはまだまだ大変。知識不足から、買いたいのに買えないユーザーも多い」と説明する。また、「パソコンだけで使用しようと考えているユーザーは、ほとんどいない。パソコン、AV機器、ゲーム機などで利用できるものだと思い込んで、互換性が取れていないことに驚いて、購入を見送るケースも多い」という。
市場を大きく成長させるためには、初心者ユーザーの需要掘り起こしが重要なのは言うまでもない。初心者ユーザーの喰いつきが良いのも、DVD市場の特徴だという。03年も昨年同様に順調な売り上げは期待できるだろう。しかし、それと並行して、ユーザーがメーカーの規格争いを見守らなければならなく、その時その時で“勉強”が求められるのも事実だろう。次なる飛躍を遂げるには、ユーザーに“分かり易さ”をDVD業界全体で伝えていく努力がそろそろ必要ではないか。(木村剛士●取材/文)
2002年、絶好調だった記録型DVD市場。昨年1年間に、台数ベースで前年比210.8%、金額ベースで同150.9%上回る(ともにBCNランキングデータ)驚異的な伸び率を記録した。今後、記録型DVDを内蔵するパソコンがデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)になるとの見解を示す関係者も多く、まさに記録型DVDの普及元年といってもよい年だっただろう。この市場には、好調さもさることながら、もう1つ注目すべき点がある。熾烈な規格(フォーマット)争いだ。現在市場に登場している規格は、大きく分けて3つあり、ほかの市場では類を見ない激しい争いが繰り広げられているのだ。
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