その他
無線タグ 実用化に向けて実証実験開始へ
2003/01/20 15:00
週刊BCN 2003年01月20日vol.974掲載
大手家電メーカー11社が無線タグの実用化に向けて動き出す。経済産業省主導のもと、ICチップやRFID、ICカードなどの無線タグを家電製品に埋め込み、製品情報を読み取る「商品情報無線タグ読み取り実証実験」を2月に開始する。実証実験では、無線タグに書き込む情報の規格を統一。タグを製品に埋め込むことで、バーコード管理からの移行や、共通付加価値情報の利用、新しいビジネスモデルの構築などを検証する。RFIDをはじめとする無線タグは、実用化すれば出荷情報や販売情報などをリアルタイムで把握できるほか、リサイクルでの機器履歴管理などに役立つ。普及のカギを握る実証実験として注目が集まりそうだ。
「商品情報無線タグ読み取り実証実験」は、経済産業省の委託を受け、家電製品協会が主体となり、富士総合研究所を事務局として進める。昨年6月に「商品情報無線タグプロジェクト」が立ち上がり、家電メーカーが無線タグの有効性を研究してきたのがきっかけで、今年2月に実証実験を開始することになった。
実証実験に参加する企業は、家電メーカーからは松下電器産業、松下電工、東芝、三洋電機、シャープ、日立製作所、三菱電機、日本ビクター、パイオニア、ダイキン工業、ソニーの11社。無線タグメーカーは、日本アールエフソリューションと日本インフォーメーションシステムの2社。
対象になる家電製品は、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)テレビやエアコン、冷蔵庫、照明器具、オーディオなど、各メーカーが得意とする製品13品目を予定している。
経済産業省商務情報政策局情報通信機器課の萬井正俊課長補佐(軽電産業担当)は、「家電製品で無線タグを生かせるかどうかを実証実験で検証することで、近い将来の実用化につなげて欲しい」と語る。
具体的な内容は、(1)家電製品に合う無線タグの形状や取り付け場所の貼付面・材質の検討、(2)読み取り距離、指向性の実測、(3)家電製品ごとの最適な貼付位置や実測評価などを繰り返し試行錯誤して記録、(4)プラスチックやダンボールなど梱包材料や梱包形態の実測結果を記録――などが基本。
最大のポイントは、各家電メーカーが、製造や物流、店舗などで使用することを想定し、より踏み込んだ調査を行えることだ。無線タグの空き容量に付加価値サービスの情報を書き込むことで、消費者や企業向けにどのような新サービスを提供できるかの調査が可能になる。
一方、課題は、無線タグの価格が高いことと、無線タグに書き込んだ情報が実際に読み取れるかどうかだ。
価格について、無線タグメーカーの日本アールエフソリューション・鈴木一行社長は、「商品によって異なるが、現在は1枚あたり数百円程度。しかし、RFIDタグをはじめとする無線タグの需要はまだまだ少ない。需要が多くなり普及が進めば、1枚あたり5円程度にすることも可能」と語る。また、読み取りについては、「現行の製品で無理ならば、最適な無線タグを供給する。そのための開発努力は惜しまない」と意気込む。
実証実験の母体は、東芝が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業で行った研究。東芝では、家電製品の円滑なリサイクルや流通・物流の効率化、修理支援サービスに活用できる無線タグと支援情報システムの技術を検証した。
助成事業を担当した東芝の産業システムソリューション技術部・宮下正参事は、「今回の実証実験は、物流などの効率化に加え、新しいビジネスを提供できる仕組みを検証するという意味で、将来的にも有益」と指摘する。宮下参事は、実証実験においてコーディネータとして、過去の研究実績を生かした提案を行っていく。
実験結果は3月をめどに報告書をまとめ、技術的課題を精査する。無線タグで家電メーカー各社が新しいビジネスモデルを構築できるのか。実証実験に対する取り組み次第で大きく変わってくる。
大手家電メーカー11社が無線タグの実用化に向けて動き出す。経済産業省主導のもと、ICチップやRFID、ICカードなどの無線タグを家電製品に埋め込み、製品情報を読み取る「商品情報無線タグ読み取り実証実験」を2月に開始する。実証実験では、無線タグに書き込む情報の規格を統一。タグを製品に埋め込むことで、バーコード管理からの移行や、共通付加価値情報の利用、新しいビジネスモデルの構築などを検証する。RFIDをはじめとする無線タグは、実用化すれば出荷情報や販売情報などをリアルタイムで把握できるほか、リサイクルでの機器履歴管理などに役立つ。普及のカギを握る実証実験として注目が集まりそうだ。
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