その他
世界規模でウイルス蔓延 韓国では全土でネット障害発生
2003/02/03 15:00
週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載
1月25日、世界規模でウイルスが蔓延し、各地で通信マヒを引き起こした。日本での被害は比較的小さかったが、少なくとも数十か所のサーバーに影響が出ており、このため一部インターネットにつながらなくなるなどの障害が生じた。米国や中国、台湾、タイなどでも一部通信速度が低下したとの報告がなされている。一方、今回、多大な被害に遭った韓国では、ほぼ全土にわたりインターネットの使用が不可能となった。韓国でここまでの大規模なウイルス被害は過去初めて。改めてネット社会の脆さ、恐さを露呈したこの騒動。ここまで大規模な被害に至った理由は何か。(木村剛士●取材/文)
事前対策の重要性を再認識へ
■犯人は単なる愉快犯か、マイクロソフト製品を狙う
今回の被害をもたらした「SQL Slammer」(別名:「WORM_SQLP 1434.A」)と呼ばれるウイルスは、マイクロソフトのデータベースサーバー「Microsoft SQL Server 2000」に限定して、このサーバーがもつセキュリティホール(安全上の欠陥)を狙って活動する。SQLサーバーのメモリ上で自らの複製を大量に作成し、他のSQLサーバーを探し出してその複製を送りつける。この活動を繰り返すことで感染を広げ、あっという間にネットワーク全体の処理能力を低下させた。
被害が世界規模に及んだ今回のウイルス。サイバーテロを懸念する声もあるが、日本ネットワークアソシエイツ(NAC)の加藤義宏・McAfee事業部技術統括部統括部長によれば、「今回は、ネットワークのトラフィック(通信)をダウンさせるだけで、データを盗むなどの悪さを受けたとの報告は入っていない。単なる愉快犯の犯行ではないだろうか」と推測。ただ、「いずれにしても、悪影響を与えたことに変わりはない」と強調する。
国内の状況をみると、セキュリティベンダーに届けられた被害件数は数件程度と、比較的影響は少なかった。主要セキュリティベンダーのシマンテック、トレンドマイクロ、日本ネットワークアソシエイツでは、翌26日の早朝にはユーザーへの対策案内をホームページ上で公開。その後、同日午前中には各社ともに駆除ツールを提供していた。
■ネット先進国、韓国で被害甚大 ウイルス対策の不備が原因
一方、特に大規模な被害が発生した韓国。総人口の約半数以上にのぼる約2500万人のインターネット利用人口のうち、高速インターネット回線の加入数が1000万人を突破しているこのIT大国では、ほぼ全土にわたってインターネットの利用が不可能になった。
韓国で多大な被害が出たのは、この高いインターネット普及率が仇となってしまったようだ。加えて、「Microsoft SQL Server 2000」の利用率が他国に比べて高かったことも理由の1つだ。
しかし、セキュリティベンダー関係者によれば、「マイクロソフトはすでに昨年7月から計3種類のパッチ(修正ソフト)を提供している。いずれかのパッチを当てていれば被害は防げた。韓国では事前対策を怠っていたことが、今回被害を広げた大きな要因ではないか」と述べる。
また、「問題となっている(マイクロソフト製ソフトの)違法コピーの氾濫の影響も一部あるかもしれないが、それにしても韓国は高速回線が普及している割合が他国に比べて高いのに、ウイルス対策が散漫すぎる。今後もこのような被害を出すケースは多いだろう」と強調している。
ウイルス対策では、「これをやっておけば必ず大丈夫」という対策は存在しない。しかし、今回のように未然に防げるウイルスに関しては、十分に意識し事前対策をとることは、ネット社会において最低限すべきことだ。
「実際に被害を受けてみるまでウイルス対策を考えないユーザーが非常に多い」とセキュリティベンダー各社は常々主張している。普段利用しているインターネットが、どんな問題を抱えているのか。再認識しておく必要がある。
1月25日、世界規模でウイルスが蔓延し、各地で通信マヒを引き起こした。日本での被害は比較的小さかったが、少なくとも数十か所のサーバーに影響が出ており、このため一部インターネットにつながらなくなるなどの障害が生じた。米国や中国、台湾、タイなどでも一部通信速度が低下したとの報告がなされている。一方、今回、多大な被害に遭った韓国では、ほぼ全土にわたりインターネットの使用が不可能となった。韓国でここまでの大規模なウイルス被害は過去初めて。改めてネット社会の脆さ、恐さを露呈したこの騒動。ここまで大規模な被害に至った理由は何か。(木村剛士●取材/文)
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