その他
“21世紀のIT都市”を体感 「六本木ヒルズITショーケース」開催
2003/03/17 15:00
週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載
「21世紀のIT都市」を体感できるイベント「六本木ヒルズITショーケース」が東京・六本木で開催されている。大手不動産会社、森ビルが進めてきた都市再開発事業「六本木ヒルズ」(4月25日オープン)に導入が予定されている最先端のITサービスを紹介するもので、今月20日までのイベント参加申し込みはすでに満員という盛況ぶりだ。政府が進めるe-Japan戦略にもとづいて実施される「e!プロジェクト」にも位置づけられており注目度は高い。RFIDタグ(無線タグ)のボタンを押すと、携帯電話にほしい情報がメールで飛び込んでくる――。そんなサービスを実際に体験してみると、なかなか楽しめる仕掛けだ。コンテンツ次第では新しい情報サービスに成長する可能性もある。(千葉利宏(ジャーナリスト)●取材/文)
新しい情報サービスの試みを追う
■「バーチャルコンシェルジュ」、ディスプレイにタウン情報を表示
まず、今回のイベントの内容を紹介する。会場は、営団地下鉄六本木駅を出て、六本木ヒルズに向う途中にあるオフィスビルに設置された「六本木ヒルズインフォメーションセンター/THINK ZONE」。受付で、ツアーセットとして今年春に発売予定のNTTドコモ「FOMA」の最新型携帯電話、ハイブリッド型ICカードの「タウンカード」、RFIDタグの「タウンクリック」の3点が渡される。タウンカードのケースには架空人物の属性(職種、年齢、性別、趣味など)が書かれ、参加者はその人物に扮してガイドツアーを回る仕掛けである。
展示室に入ると、中央に六本木ヒルズの模型が置かれ、その周りに六本木ヒルズで実証実験が行われる予定のサービスの展示が配置されていた。
女性のツアーガイドの案内で最初に紹介されたのが「PDPクリッピングサービス」。六本木ヒルズ内には、タウン情報やショップの広告・宣伝が流されている大型プラズマディスプレイパネル(PDP)が設置される。このPDPに流れている情報を記録したい場合、情報が流れているときにタウンクリックのボタンを押すと自分の携帯電話にその情報がメールとして自動配信されるサービス。実際にクリックを押してみると10-20秒後にメールが届く。メモする手間が省けて確かに便利だ。
次に、同じPDPの画面に登場する女性キャラクターと会話しながら、情報が得られる「バーチャルコンシェルジュサービス」。 ガイドが女性キャラクターの前に立つと、タウンクリックから発信される情報で相手が誰かを認識して、先に女性キャラクターから「今日は誰と来ましたか」と話しかけてきた。ガイドが「1人で来ました」と答えると、相手の属性と状況に合わせた情報一覧を画面に表示。さらに情報を絞り込むためにガイドがマイクを使って「ちょっとドキドキしてみたい」と話すと、情報を4件に絞り込んで表示した。その中から、映画情報を選んで、マイクでタイトルを告げると映画の詳しい内容の説明が始まった。タウンクリックを押せば同様にその情報がメール配信される仕組みだ。
■ICカードで多様なサービスを提供、コンテンツについてはさらに検討
次の展示は、森ビルの教育スクール事業「アカデミーヒルズ」で提供するサービスだ。森タワー内に設置されるアカデミーヒルズの会員にはICカードのタウンカードが会員証として配布され、カード1枚でさまざまなサービスが受けられる。アカデミーヒルズに設置されたパソコンにタウンカードを入れID・パスワードを打ち込むとパソコンが利用できる。
探している本がどこにあるかを簡単に検索できる「未来型ライブラリーサービス」もサービスメニューのひとつ。約1万2000冊の蔵書にはICチップが貼り付けられ、端末に本の表題(キーワードだけでも可)を打ち込むと、その本が蔵書にあるかどうかを検索。続いて本のタイトルをクリックすると、本棚のどこにあるかを表示する。検索結果が空欄の時は貸し出し中、本を戻せばすぐに検索可能な状態となる。
自分が作った文書を安全にプリントアウトする「ユビキタス対応型プリントアウトサービス」も提供する。タウンカードをパソコンに差し込んで、インターネットサーバーから文書を呼び出して印刷を指示。パソコンからタウンカードを引き抜いて、離れた場所にあるプリンタのところに行き、タウンカードを差し入れて確認ボタンを押し、再びタウンカードを引き抜くと、プリントアウトが始まる。
最後は、六本木ヒルズに配置される約200のショップ&レストランを対象としたサービス。多くのショップが並ぶけやき坂通りを中心に情報提供を行う「iスポット」を13か所設置。タウンクリックのボタンを押すと、携帯電話に相手の属性に合わせた周辺情報がメールで自動配信されるのが「iスポットクリッピングサービス」だ。ガイドツアーの最初に設定・登録されている架空人物によってツアー参加者がほぼ同時にタウンクリックを押しても、それぞれに異なる内容のメールが配信されてきた。
先に紹介した「バーチャルコンシェルジュサービス」と同じようなサービスを、携帯電話でもできるようにしたのが「ボイスコンシェルジュサービス」。また、タウンカードは、ショップ&レストランでの買い物をしたときのポイントカードなどに活用する。ここで、今回のツアーが終了した。
システム全体の開発はNTTドコモが担当し、個別システムはライブラリーサービスを日立製作所、プリントアウトサービスを富士ゼロックスなどが受け持った。
「まだ、システムが出来上がったばかりで、PDPの女性キャラクターの日本語も下手だし、チューンアップしなければならないところは多いですよ」(中江川潤・森ビルMII事業室課長)という段階である。個別システムでみると、ライブラリーなどアカデミーヒルズ向けのサービスはほぼ実用化段階にあり、今年5月には本格的に導入する計画だ。
しかし、それ以外の情報提供サービスは、まだ満足できるレベルではないようだ。「現在はショップの情報を中心に入れているだけで、まだあまり面白くないでしょう? 本当にどのような情報が提供されれば利用者が喜んでくれるのか。こうしたシステムを使ってもらえるかどうかもコンテンツ次第」。
森ビルでは、システムのチューンアップを行う一方で、コンテンツについて検討を進めていく。今年秋には、街開きした六本木ヒルズを舞台に“本番”のITショーケースを実施することにしている。
「21世紀のIT都市」を体感できるイベント「六本木ヒルズITショーケース」が東京・六本木で開催されている。大手不動産会社、森ビルが進めてきた都市再開発事業「六本木ヒルズ」(4月25日オープン)に導入が予定されている最先端のITサービスを紹介するもので、今月20日までのイベント参加申し込みはすでに満員という盛況ぶりだ。政府が進めるe-Japan戦略にもとづいて実施される「e!プロジェクト」にも位置づけられており注目度は高い。RFIDタグ(無線タグ)のボタンを押すと、携帯電話にほしい情報がメールで飛び込んでくる――。そんなサービスを実際に体験してみると、なかなか楽しめる仕掛けだ。コンテンツ次第では新しい情報サービスに成長する可能性もある。(千葉利宏(ジャーナリスト)●取材/文)
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