その他
ソニーの組織改革
2003/03/31 21:12
週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載
2003年度(04年3月期)は、おそらく前年度並みの130万台か、これを下回る可能性もある――。ソニー関係者は4月を目前に、新年度のバイオの年間出荷台数を極めて保守的に見る。130万台という数字は、バイオがまだ成長過程にあった99年当時の出荷数と同じ低さだ。バイオの最盛期は170万台だった。バイオ関係者は、「4月からの新年度は、バイオ事業立て直しの年になる」と話す。バイオの販売を担当するソニーマーケティングは、4月1日付でソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズから新社長を迎え、バイオ担当の部長人事も刷新する。(安藤章司●取材・文)
“バイオらしさ”とは何か
ソニーの木村敬治・執行役員常務は、「個人向けパソコンで大きな変化が起きている」とし、「03年度の出荷計画は、まだ言えない」と口を濁す。ソニー社内では、強気の出荷計画を出すべきか、慎重な(弱気な)出荷計画にすべきかの議論に決着がつかないとの声も聞こえる。この4月で新規事業開発部門に移るソニーマーケティングの福島秀樹・統括部長(バイオ担当)は、「これまで数を追い求め過ぎ、結果を出すのを焦り過ぎた。販売台数が増えると、どうしても売れ筋商品を追いかけてしまう。ビジネスとしては当然の行動だが、これが行き過ぎると、顧客の期待感や希少価値を損なう」と、厳しい目で振り返る。
ソニーマーケティングの02年度の事業方針では、バイオなどIT製品と、ベガ(テレビ)やウォークマンなどAV(音響・映像)製品を、分け隔てなく蕫有機的に結びつけて﨟販売するため、マーケティング機能や販売店への営業を一本化し、バイオ専門の部門を廃止した。だが、新年度の組織改革では、バイオ事業の予想以上の減退を受けて、再度、バイオを専門的に担当する「バイオマーケティング部」を復活させる。マーケティング部門全体でも、(1)ベガやウォークマンなどAV家電、(2)バイオおよびコクーン(ホームサーバー)、クリエ(携帯情報端末)などIT製品――と大きく2つのグループに分割する。
ソニーは、「いま家庭内には、バイオを中心としたIT系のネットワークと、ベガを中心とした家電系のネットワークの2つが存在する」と分析する。理想は両ネットワークの融合だが、消費意欲が低迷するなか、すぐに融合させるのは難しいと判断。市場の実態に即して、再び分けることにした。一方、バイオ開発の伊藤進・バイオノートブックコンピュータカンパニー事業企画1部統括部長は、「いまの商品のままだと、03年度は再び前年度割れになりかねない。従来のように、音楽だ、映像だと、あれもこれもと機能を詰め込み、消費を促す商品づくりではダメ。蕫バイオらしさ﨟とはどういったものか? どうモノづくりをすれば、バイオらしさが出るのか? といった基本に立ち返り、改めて研究し直す」と話す。
昨年、ヒット商品となったバイオUの開発者、安形顕一・同カンパニー3部1課シニアマネージャー(機構設計担当)は、「ヒット商品を出せば市場を席巻できる時代は終わった。たとえ、ある特定の顧客層にヒットしても、それ以上の広がりはない。特定顧客層を狙い打ちした蕫尖った﨟商品を多く出すことがポイント」と語る。03年度のバイオ事業は、特定層の顧客が敏感に反応する蕫尖った﨟商品開発を重視すると同時に、ソニーマーケティングは、価格下落に巻き込まれずバイオの独自性を生かした市場開発を目指す。
2003年度(04年3月期)は、おそらく前年度並みの130万台か、これを下回る可能性もある――。ソニー関係者は4月を目前に、新年度のバイオの年間出荷台数を極めて保守的に見る。130万台という数字は、バイオがまだ成長過程にあった99年当時の出荷数と同じ低さだ。バイオの最盛期は170万台だった。バイオ関係者は、「4月からの新年度は、バイオ事業立て直しの年になる」と話す。バイオの販売を担当するソニーマーケティングは、4月1日付でソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズから新社長を迎え、バイオ担当の部長人事も刷新する。(安藤章司●取材・文)
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