その他
NEC・金杉新社長体制、スタート 通信とITとの融合戦略へ
2003/04/07 21:12
週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載
NEC・金杉新社長体制が、3月28日付でスタートした。構造改革の大ナタを振った西垣浩司前社長の後を受けて、改革第2フェーズを担う金杉新体制の目玉は、利益倍増計画の推進、事業ライン制の導入、コンピュータ事業と通信事業の融合、財務体質の強化、そして、社員の意識改革を促す「チャレンジ志向DNA」への転換だ。とはいえ、拡大路線に転じるとの明確なコメントは聞かれない。かねてから西垣継承路線との見方が強いだけに、金杉明信社長が、自らのカラーを出すことができるのかは大きなポイント。4月下旬にも発表が見込まれる新中期経営計画で、「金杉カラー」がどこまで盛り込まれるのかに注目が集まる。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
カンパニー制を廃止
■構造改革はひとまず成功
西垣前社長の構造改革は、2003年3月期連結決算で掲げていた営業利益1000億円達成によって、ひとまず成功したと判断することができるだろう。
金杉新社長は就任会見で、「営業利益は100億円前後の過達だろう」とし、西垣改革による収益性の回復ぶりを強調した。
振り返れば、過去4年に渡った西垣改革は、流動性が高く、不安定要素をもつ事業の統廃合に力を注いできたといえる。
季節要因によって大きく左右されるホームエレクトロニクス事業を再編。価格変動が激しいDRAM事業は日立製作所との合弁会社へと移管。
そして、収益性で問題があるパソコン事業についても米パッカードベルの整理というように、荒療治の対象は、いずれも収益面で不安定要素を抱える事業だった。
1000億円の営業利益の達成は、まさに西垣改革が目指した「経済環境が不安定でも、一定の収益を維持する」(西垣前社長)という経営体質への転換であり、右肩上がりの経済環境を背景に拡大路線を推進し、在任中に売上規模を10倍にまで拡大した関本忠弘元社長時代とは、まったく異なる経営手法であることは明白だ。
■どこまで出せるか「金杉カラー」
金杉新体制は、西垣社長時代に築いた盤石な基盤をベースに推進されることになる。
社長就任会見では、「利益倍増」を掲げ、営業利益で2000億円以上を目指すことを宣言したが、「海外の携帯電話事業の大幅な成長を背景に、ネットワーク事業で2ケタに近い伸びを期待している」(金杉社長)という以外は、厳しい業績を想定しており、拡大路線を打ち出したわけではないことを示している。
むしろ初年度は、カンパニー制を廃止し、「私が決めたもの」(金杉社長)として、新たに敷いた事業ライン制の定着とともに、通信とITの融合戦略の基盤を確立することが先決となりそうだ。
「カンパニー制のいいところは、自己責任の上でスピード経営ができ、効率的な経営体制がとれるところ。だが、最近、カンパニー間の壁を少しずつ感じるようになってきた」とカンパニー制廃止の理由を語るとともに、「私がカンパニー社長を務めていたNECソリューションズでは、西垣がさまざまな事業をぶち込んだために、それが新たな事業を生むということにつながった。通信とITの融合による事業ライン制は、NECソリューションズの成果を全社に広げたものだと考えてもらえればいい」と、通信とITの融合によるシナジー(相乗)効果を狙うことを強調する。
だが、社長就任会見では、決算発表を1か月後に控えた時期だったことから、具体的な数値には言及せず、迫力に欠けた点は否めない。また、事業ラインごとの明確な方針や、通信とITとの融合戦略の具体策なども明らかにはなっていない。社長就任会見で言及を求めるのは無理とはいえるが、通信&IT融合体制でのディーラー戦略も気になるところだ。
4月25日には、次期中期経営計画が発表されることになりそうだ。その際に、どこまで「金杉カラー」が打ち出せるかが注目される。
NEC・金杉新社長体制が、3月28日付でスタートした。構造改革の大ナタを振った西垣浩司前社長の後を受けて、改革第2フェーズを担う金杉新体制の目玉は、利益倍増計画の推進、事業ライン制の導入、コンピュータ事業と通信事業の融合、財務体質の強化、そして、社員の意識改革を促す「チャレンジ志向DNA」への転換だ。とはいえ、拡大路線に転じるとの明確なコメントは聞かれない。かねてから西垣継承路線との見方が強いだけに、金杉明信社長が、自らのカラーを出すことができるのかは大きなポイント。4月下旬にも発表が見込まれる新中期経営計画で、「金杉カラー」がどこまで盛り込まれるのかに注目が集まる。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
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