その他
書き換え型DVDのニーズは何か 速度競争は“不毛の戦い”
2003/04/14 15:00
週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載
記録型DVDが成長カーブに乗ったが、フォーマット争いも熾烈さを増している。DVD-RAM/-RW/+RWの3フォーマットを搭載した製品もいよいよ登場。次のメインテーマである速度競争も一段とエスカレートしそうな気配だ。しかし、何度でも書き換えられるリライタブルの速度競争は、本当にユーザーのニーズにマッチした競争なのだろうか。開発投資を回収できない“不毛の戦い”のような気がしてならない。(石井成樹●取材/文)
記録型DVDのフォーマット争いを問う
■意外に用途は少ない?
光ディスク系の商品は、もともとはハードディスクの代替商品として企画された。ハードディスクの代替だから、何度でも書き換えられることが必須条件で、技術者たちは知恵の限りを尽くして開発を競った。
ところが、置き換えを狙ったハードディスクの技術革新も急速に進み、いまではパソコン用でも100GB以上の大容量モデルが商品化されている。光ディスク系は、片面4.7GBの成長が始まったところで、20GBクラスが実用化目前の段階にある。
このように、大容量化競争では、ハードディスクの方がはるかに先を走り、光ディスク系は大きく水をあけられている。
そんななか、光ディスク系の存在価値は、ディスクを持ち運べるというリムーバブル性と、データのバックアップという2大用途が浮上している。もっとも、この2点について見る限り、リライタブルでなければならないという用途は案外少ないように見える。
データのバックアップであれば、一度だけ書き込めればいい。ライトワンスでいいというより、バックアップ後のデータ改ざんという危険性を考えれば、ライトワンスでなければならないともいえる。
持ち運べるディスクで、何度でも書き換えられることが好ましいという用途はもちろんあるだろう。
たとえば、MOが存在価値を確立している出版・印刷業界での用途などがいい例だ。しかし、一般ユーザーは果たしてこのリライタブル機能にどれほど期待しているのであろうか。
画像や音声を編集する際に必要だという声は強いが、本当にそうなのだろうか。編集時にはハードディスクを活用、完成品をライトワンスで保存する、という使い方が多いのではないか。
■確実な利益確保を図れ
今さら何でこんなことを持ち出したのかというと、巨額の開発投資を回収できるのかという危惧があるからである。
現在、開発投資のほとんどは、ライトワンスでなく、リライタブル機能の強化に注がれている。次なるテーマに速度競争が見えてきた以上、各フォーマット陣営とも4倍速、8倍速の開発競争で後れを取るわけにはいかない。速度を上げながら、既存ドライブでの再生も保証しなければならず、その検証テストも大変だ。開発コストはいくらでも膨らんでいくというのが実情のようである。
どこかで開発競争を凍結しないと、記録型DVD業界は、ついに利潤を挙げることなく商品のライフサイクルを終えてしまうのではないか。
4倍速のリライタブルについては大方のメーカーが投資済みであろう。これは仕方ないとして、その先については開発投資を凍結し、次世代DVDの開発に全力を挙げた方がいい。
もっとも、そんなことは言われなくても分かっているという声が聞こえてきそうである。そうした大人の判断ができなかったからフォーマットが分裂したわけで、開発凍結などできるはずがないという声である。
しかし、本当にそうなのだろうか。一合戦済ませて、各陣営の力量もほぼ分かり、ユーザーの反応も分かった。4倍速のリライタブルなら、ユーザーもそれほど不満は感じないのではないか。それぞれが小さな譲歩をして、利益を確保できる体制を築くには今がいいチャンスに見える。
記録型DVDは、数少ない成長商品の1つだが、そう何年も成長し続けるわけではなかろう。儲かる期間はそう長くはない。
記録型DVDが成長カーブに乗ったが、フォーマット争いも熾烈さを増している。DVD-RAM/-RW/+RWの3フォーマットを搭載した製品もいよいよ登場。次のメインテーマである速度競争も一段とエスカレートしそうな気配だ。しかし、何度でも書き換えられるリライタブルの速度競争は、本当にユーザーのニーズにマッチした競争なのだろうか。開発投資を回収できない“不毛の戦い”のような気がしてならない。(石井成樹●取材/文)
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