その他
個人向けPCリサイクル、10月スタート 日本郵政公社の「ゆうパック」利用
2003/04/14 15:00
週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載
電子情報技術産業協会(JEITA)は、日本郵政公社と提携し、今年10月1日から個人向けパソコンのリサイクル実施を正式に決定した。郵政公社は以前から提携している山九と物流面で協力。実施の際は「ゆうパック」を活用し、パソコンの回収にあたる。4月1日時点で、郵政公社との提携で回収・再資源化に取り組むメーカーは計21社。取り組みの詳細に関してはまだ固まっていないメーカーが多く、今後詰めていく。課題は10月までの5か月半で、消費者の認知が十分に得られるかどうかだ。ショップや自治体との連携強化がカギとなってくる。(佐相彰彦●取材/文)
取り組みの詳細はこれから
■全国2万か所以上の拠点利用、業界共通マークで無償回収
経済産業省と環境省は4月7日、個人向けパソコンリサイクル制度の実施に向けた関係省令の一部改正を行った。これにより、JEITAが日本郵政公社と提携し、10月1日から個人向けパソコンのリサイクル開始を正式に決定した。
郵政公社を選定した理由について、JEITAの海野隆・パソコン3R推進室長は、「全国の家庭から回収する仕組みを構築するためには、宅配機能を持つ全国ネットの物流事業者と提携することが不可欠。それを実現するいくつかの候補の中で、郵政公社が最適だった」と話す。
簡易郵便局を除く全国2万か所以上の拠点や消費者宅からの個別集荷が可能であること、価格などを総合的に判断して選定したという。
郵政公社では、パソコン回収に「ゆうパック」を利用する。回収の手順は、(1)消費者が各メーカーに連絡、(2)ゆうパックラベルを作成、消費者に郵送、(3)消費者がパソコンを適宜梱包し、ゆうパックラベルを貼付、(4)消費者が郵便局に集荷依頼するか窓口に持ち込む――などとなる。
回収にあたっては、郵政公社が以前から提携している物流事業者の山九が協力。山九は、各メーカーの委託により、ゆうパックラベルの作成や郵送、回収したパソコンの確認作業および確認後のメーカー再資源化拠点への配送を行う。
回収の対象になるのは、デスクトップパソコンとノートパソコン、パソコン用ディスプレイなど。付属品も回収する。同梱されていたスピーカーやケーブル類なども対象になる。プリンタやスキャナなどの周辺機器は対象にならない。
制度実施後に販売したパソコンとそれ以前に販売されたパソコンとを見分けるには、「JEITAが業界共通のマークを決め、各メーカーがそれをパソコンに付けて出荷する。マークがついているものに関しては無償で回収する」(海野室長)としている。
制度実施以前に販売されたデスクトップで、本体とディスプレイのメーカーが異なる場合は、それぞれのメーカーにリサイクルを依頼するのが当然となる。だが、消費者が悪意なく1つのメーカーに送ってしまうケースも考えられる。
海野室長は、「この場合は、消費者からの要求をもとに、本体、ディスプレイそれぞれのメーカーが専用伝票を送ることになる。それにより、本体とディスプレイを別々に梱包することになるため防げる」としている。
再資源化拠点は、「一般廃棄物の許可をもっている業者の中から各メーカーが選定する」(海野室長)としており、どの業者を使うのか、1メーカーがいくつかの業者を使うのかという点は、各メーカーによって異なってくる。
郵政公社との提携で回収・再資源化化に取り組むメーカーは、4月1日の時点で21社。各メーカーの詳細な取り組みについては、「現段階では具体的には決まっていない。コールセンターや再資源化拠点の選定、リサイクル費用などは、今後詰めていく」という声が多いようだ。
■回収率は費用次第 消費者への認知向上が急務
個人向けパソコンリサイクルでは、法制度上の位置づけから、自治体に対する一般廃棄物の計画責務が免除されるわけではない。
従って、ここで問題なのは、各メーカーのリサイクル費用次第で回収率が大きく変わってしまうことだ。これまでの回収方法である自治体の粗大ゴミ処理の場合、かかる費用は、東京23区の場合、デスクトップが3405-6475円程度、ノートパソコンが448-852円程度と算出している。デスクトップとノートの費用の差は、重量の差がそのまま反映される。
当然、このリサイクル費用よりも各メーカーのリサイクル費用が高ければ、消費者が自治体に廃棄を依頼する可能性が高くなり、リサイクルの観点から外れる。
また、国内の事業から撤退した外国のメーカー製パソコンや個人輸入によるパソコン、自作パソコンなどに関してJEITAでは、「対応するメーカーがないため、回収・リサイクルの責務を負わない」(海野室長)としている。つまり、自治体が引き取らなければならない。郵政公社を活用するメーカーのパソコンであるにも関わらず、各自治体が引き取るケースも出てくるということだ。
こうした点を踏まえ、メーカーと自治体がリサイクルコストに関して協力する必要性が出てくる。
販売においては、10月以降に発売されるパソコンの価格が上昇する可能性が高い。リサイクル費用を支払って処分するよりも、中古パソコンショップに持ち込んだ方が得策という点で、中古パソコンが脚光を浴びるとの見方もある。
また、消費者からパソコンのリサイクルに関する問い合わせがショップにあった場合はどうか。消費者がショップに持ち込むようなケースも出てくるといえる。
ショップとしては、回収義務がないことから、リサイクル処理として引き取れない。このため、メーカーとショップの協力体制を強化することが必要となる。
さらに最大の課題は、消費者に上手く制度を周知できるかどうかだ。
消費者にとっては、家電リサイクルと同様、専門店や量販店で引き取りを依頼するものだと認識していることも否めない。そのため、消費者に分かりやすく理解を求めていくことが重要となる。
海野室長は、「周知に関しては、自治体や販売店と連携して実施していく」意向だ。
10月1日の実施に向け、残り約5か月半は、メーカーと自治体、メーカーとショップそれぞれの連携強化が、個人向けパソコンリサイクルの回収率増加へとつながっていく。
電子情報技術産業協会(JEITA)は、日本郵政公社と提携し、今年10月1日から個人向けパソコンのリサイクル実施を正式に決定した。郵政公社は以前から提携している山九と物流面で協力。実施の際は「ゆうパック」を活用し、パソコンの回収にあたる。4月1日時点で、郵政公社との提携で回収・再資源化に取り組むメーカーは計21社。取り組みの詳細に関してはまだ固まっていないメーカーが多く、今後詰めていく。課題は10月までの5か月半で、消費者の認知が十分に得られるかどうかだ。ショップや自治体との連携強化がカギとなってくる。(佐相彰彦●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…