その他
ソニー久夛良木氏、副社長就任 社内組織、7つに再編
2003/04/21 21:12
週刊BCN 2003年04月21日vol.987掲載
家庭用ゲーム専用機「プレイステーション(プレステ)」の生みの親、久夛良木健氏が4月1日、ソニーの執行役員副社長に就任した。久夛良木氏はこれまで、プレステを開発・製造する子会社「ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)」の社長と、ソニー本体の取締役を務めていたが、そこに執行役員の職位が追加されたのだ。ソニーにおいて取締役とは、「グループ全体の経営を監督する立場」(ソニー幹部)を表しており、執行役員の肩書を得ることは、ソニー本体事業の直接実行者になることを意味する。実は、久夛良木副社長の双肩には、ソニーの将来を左右しかねない重要な役割がのしかかっている。(村田知哉(ジャーナリスト)●取材/文)
執行役員として2つの事業統括
■ゲーム機とネットワークの両方を
ソニーは今回の人事とともに社内組織を7つに再編した。久夛良木副社長は、その2つ、SCEを含めたゲーム事業部門と、新設された社内カンパニー「ブロードバンドネットワークカンパニー(BBNC)」を統括する。BBNCは高速・大容量ネットワークに接続される次世代機器の開発を担う。
また、テレビを核とした家電の「ホームネットワークカンパニー」と、パソコンや携帯情報端末の「IT&モバイルソリューションズネットワークカンパニー」の担当に高篠静雄副社長が就いた。
「これにより、エレクトロニクス事業では、久夛良木氏と高篠氏の両副社長が、安藤国威社長を補佐する体制になる」(ソニー幹部)
久夛良木副社長について、外資系証券アナリストは、「3-4年後、ソニーに大きな収益をもたらすための大きな課題を背負わされたと見ていいだろう」と分析する。
「久夛良木副社長がSCEだけではなくBBNCも担当することになったのは、ゲーム機とネットワーク機器を融合した製品開発のため。これが、いま1兆円に育ったゲーム事業を足場にして将来の新たな収益源を目指す、ソニー製品戦略の根幹。プレステ2はすでにDVD再生機能を加え、家電としても利用されているが、これを強化した製品、すなわち次世代プレステをネットにつなぎ、そこでの事業をうまく展開できれば、ソニーはまさに『収穫爆発』の時代を迎えることになる」(外資系アナリスト)
■新たな半導体を開発
久夛良木副社長は次世代プレステ、いわゆるプレステ3に向け、着々と手を打っている。
その1つが、新たな半導体「CELL(セル)」だ。2001年3月、SCEと東芝、米IBMが、5年間で総額4億ドルを超える投資をして開発すると明らかにしたものだ。
ただし、セルはプレステ3専用のCPUではないようだ。複数の業界関係者の話を総合すると、「ネットワーク接続を前提とした汎用半導体」だという。
「セルには、演算とネットワーク制御の機能が搭載される。あるセルで処理しきれないほどの命令やデータが集中したときには、ネットワークにつながった外部のセルに仕事の一部を割り振ることができる」(外資系アナリスト)
さらに、より高機能が求められる機器には、複数個のセルを載せれば事足りるという、現在の半導体とはまったく違う新しい概念のもの。半導体いかんで製品の価値が決まる時代になれば、ソニーのネット戦略製品にはすべてセルが使われるとの見方もある。セルこそ、「3-4年先のソニーの収益源」となるのだ。
「3社の究極の目的は、半導体市場の主導権をインテルから奪うこと。この構想は久夛良木副社長が描いた青写真にもとづいているという」(同関係者)
つまるところ、久夛良木副社長は、東芝と米IBMをも巻き込んでソニーの将来の浮沈を握る「主役」ということだ。
「久夛良木副社長の事業が成功しなければ、ソニーの現在のネット戦略が間違っていたことになり、完全に国際競争力を失うことに等しい。ぜひとも成功させてほしい」(ソニー幹部)
久夛良木氏は、この期待に応えられるか。
家庭用ゲーム専用機「プレイステーション(プレステ)」の生みの親、久夛良木健氏が4月1日、ソニーの執行役員副社長に就任した。久夛良木氏はこれまで、プレステを開発・製造する子会社「ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)」の社長と、ソニー本体の取締役を務めていたが、そこに執行役員の職位が追加されたのだ。ソニーにおいて取締役とは、「グループ全体の経営を監督する立場」(ソニー幹部)を表しており、執行役員の肩書を得ることは、ソニー本体事業の直接実行者になることを意味する。実は、久夛良木副社長の双肩には、ソニーの将来を左右しかねない重要な役割がのしかかっている。(村田知哉(ジャーナリスト)●取材/文)
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