その他
産学連携組織の「エドバレー」 地域活性化の新たな試み
2003/04/21 15:00
週刊BCN 2003年04月21日vol.987掲載
「edo-valley(エドバレー)」推進機構が本格的な事業開始に向けて動きだした。エドバレーとは、東京都千代田区の秋葉原、神田、丸の内地域の中小企業や大学などが中心となり、産学共同で地域活性化を目指す組織。2003年1月24日に発足した。会長は、地元企業であるオフセット印刷のミイレーの米倉伸三社長。(佐相彰彦●取材/文)
発足から約3か月が経過した今の活動について、米倉会長は、「会員と議論を重ね、事業化するモデルをいくつか出し合っている段階」と話す。事業プランとしては、地域活性化支援や起業・創業支援、新ビジネスモデルの開発、地域イベント集客、地域ポータルサイトの構築、人材育成・研修などがあり、エドバレーに賛同・協力する企業や個人などの会員がビジネスモデルを企画立案し、大学と共同で研究する。事業化に向けた研究にあたっては、中央省庁や外郭団体などに補助事業申請を行うケースもある。
議論のなかで、具体的なプロジェクトとして構想が挙がったのは、中小企業が利用できる試作品制作や市場調査のシミュレーションセンターを開設し、見込み生産や大量生産に代わる新しい生産システムを実現する「シミュレーションASP事業」や、職住一体環境を整備する「スタジオアパートメント事業」など。両プロジェクトとも、千代田区内の空きビルを利用するという。「千代田区では、周辺地域の大規模開発などの影響で、ビルの空室が増えている」からだ。
「シミュレーションASP事業」では、空きビルを利用した試作工房の開設・運営を行う。この試作工房は、秋葉原電気街で部材を購入した消費者を対象に試作の場として運用する。開設に向けては、ASP事業に関するマーケティング情報の収集や、CG(コンピュータグラフィックス)デザイナーやCGエンジニア、プログラマなど関連する職種の可能性も調査する構えだ。
「スタジオアパートメント事業」は、中小企業やベンチャー企業のインキュベーション施設として空きビルや空き室を提供する。また、「多くの大学が集まっているので、アパートやマンションの賃貸需要が多い。学生専用のアパートやマンションにすることも検討している」という。「国内外問わずに学生が集まる地域として活性化させ、将来的には、千代田区を国際的な学園都市に発展させたい」意向だ。現在の会員企業は50社程度。会員の増加については、「ほかにも事業化を検討していく予定なので、事業化するモデルが確定した段階で、そのプロジェクトに賛同する企業を集めていく」としている。
発足を記念して開催されたシンポジウムでは、学識経験者などから、「各地で行われてきた地域振興策は、その多くが失敗している」と指摘される場面もあった。その際、米倉会長は、「地域の特色に合った新しい試みを考えなければならない。ほかの地域モデルを学ぶのではなく、オリジナルモデルを作っていくことが重要」と強調した。エドバレーでは、今年の秋をめどに事業開始に乗り出す。米倉会長は、「千代田区は、神田の古書店街や秋葉原の電気街など、産業の集積地をもっていることが特徴。これを生かすことが重要だ」と意気込む。地域活性化を確実に実現できる推進機構として、今後も見守っていきたい。
「edo-valley(エドバレー)」推進機構が本格的な事業開始に向けて動きだした。エドバレーとは、東京都千代田区の秋葉原、神田、丸の内地域の中小企業や大学などが中心となり、産学共同で地域活性化を目指す組織。2003年1月24日に発足した。会長は、地元企業であるオフセット印刷のミイレーの米倉伸三社長。(佐相彰彦●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…