その他
「03年度はパソコン事業を強化する」 メーカー各社、利益確保を模索
2003/05/12 15:00
週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載
国内大手メーカーが、相次ぎパソコン事業の立て直しに乗り出した。NECは、製販一体となったパソコン事業の新会社を設立。ソニーはパソコン本体に加え、周辺機器も「VAIO(バイオ)」の名称に統一するブランド戦略で、収益性を高めていく。採算が悪化の一途をたどるパソコン事業は、多くのメーカーにとって“頭痛のタネ”。しかも、2002年度の国内パソコン出荷が2年連続で前年度割れとなり、今後も楽観は許されない状況だ。各社は「確実に利益を出せる体制」(NEC)へと転換を図ったうえで、新たな市場開拓につなげていきたい構え。(佐相彰彦●取材/文)
新たな市場開拓が急務
■パソコン事業は“底冷え”状態
NEC、富士通、ソニー3社の02年度の国内出荷台数は、NECが前年度比7%減の260万台、富士通が同4%減の247万台、ソニーが同24%減の130万台となり、軒並み前年度を下回る結果となった。
電子情報技術産業協会(JEITA)の調べでも、02年度における国内パソコン出荷台数は、前年度比8%減の984万台と、2年連続で前年度割れとなっている。
各メーカーとも、「コンシューマ市場は、夏商戦での買い控えやパソコンの低価格化が進み、苦戦を強いられた」(NEC)、「企業がIT投資を抑制する動きを強めており、法人市場での落ち込みが出荷に影響した」(富士通)、「03年に入ってから雲行きが怪しくなり、生産を絞り過ぎたことによる販売機会の損失があった」(ソニー)と、パソコン事業が依然として“底冷え”状態にあることを示す。
特にソニーでは、02年度の期首目標だった180万台を今年1月に130万台と大幅に下方修正した。徳中暉久副社長兼CFOは、「市場全体が低価格へとシフトするなか、価格に追随しなかったバイオのビジネスに影響した」と、出荷低迷の理由を語る。
■利益確保でV字回復目指す
そんななか、利益確保を第一に掲げ、パソコン事業を立て直そうという動きが活発化してきた。
NECでは、パソコンの開発・生産を担当するNECカスタムテクニカと、販売・マーケティングを行うNECカスタマックスの両社を合併し、製販一体となったパソコン事業の新会社「NECパーソナルプロダクツ」を設立すると発表。新会社の営業開始は今年7月1日を予定している。
金杉明信・NEC社長は、「パソコン市場が成熟しているなかで、確実に利益を出せる体制を整え、事業のV字回復を達成する」と強調。今年度の出荷台数は前年度比6%増の275万台を見込む。
一方、ソニーは同15%減の110万台と、前年度実績をさらに下回る弱気の出荷計画を打ち出している。
だが、出井伸之会長兼CEOは、「バイオは、昨年度の第1四半期と第2四半期では好調だった。しかし、パソコン市場は踊り場を迎えており、デルコンピュータのように回転を良くすることでシェアを獲得していくか、数を絞り込んで高付加価値を提供するかの選択肢に迫られている」と語る。今後は、「バイオ」をビジネスブランドとし、パソコン本体に加え、周辺機器もバイオブランドを採用する。
ブランド戦略により、バイオ製品グループとして収益回復を図る体制に転換する構えだ。
富士通では、徹底したコスト削減で利益確保を図る。「IT投資減税で企業のIT投資意欲が促進される可能性が高く、出荷台数も伸びる」とみており、今年度の出荷台数を同5%増の260万台と見込む。
JEITAでは、03年度の国内出荷台数を同4%増の1020万台と予測する。法人市場ではIT投資促進税制の施行やリプレース・増設の本格化、個人市場では映像や音楽を楽しむ用途により未保有者を開拓できる可能性があるとみている。
パソコン市場が再び成長を取り戻せるかどうか。メーカー各社が早期に体制の立て直しを図り、IT減税などを活用した法人需要の掘り起こし、高付加価値商品による個人需要の開拓に乗り出せるかどうかが、今後のカギを握っているようだ。
国内大手メーカーが、相次ぎパソコン事業の立て直しに乗り出した。NECは、製販一体となったパソコン事業の新会社を設立。ソニーはパソコン本体に加え、周辺機器も「VAIO(バイオ)」の名称に統一するブランド戦略で、収益性を高めていく。採算が悪化の一途をたどるパソコン事業は、多くのメーカーにとって“頭痛のタネ”。しかも、2002年度の国内パソコン出荷が2年連続で前年度割れとなり、今後も楽観は許されない状況だ。各社は「確実に利益を出せる体制」(NEC)へと転換を図ったうえで、新たな市場開拓につなげていきたい構え。(佐相彰彦●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…