その他
地上デジタル放送のロードマップ 経済波及効果は200兆円
2003/06/09 15:00
週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載
地上デジタル放送が今年12月に始まる。大手マスコミがあまり報道しないため、世の関心はまだ低いが、AV(音響・映像)、パソコン業界にとっては、千載一遇のチャンス到来であり、経済波及効果として200兆円という数字が公表されていることは周知の通りである。いささか過大すぎるのではという気もするが、何しろ1億台のテレビの買い替え需要が見込まれるだけに、相当巨額な実需が発生することは確かである。普及予測については、「ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会」がまとめた数字がある。この数字自体まだ世の中にあまり知られていないので、ここで紹介したい。(石井成樹●取材/文)
7年半で1億台の買い替え需要
■3大都市圏からスタート
地上デジタル放送は、2003年12月から3大都市圏(関東、近畿、中京)、06年にはその他の地域でもサービスが始まる。そして、11年にはアナログ放送は中止、というのがいま打ち出されているロードマップである。
テレビ受像機は過去10年間で約1億台が販売されたが、それを実質約7年半で置き換えることになる。これを実現するためには、年間総需要で約1.3倍の回転需要が生まれ、普及カーブは当然双曲線を描く。それを見通したのが、懇談会がまとめた普及目標である。
具体的には、(1)06年のワールドカップ・ドイツ大会の時点において、1000万世帯、1200万台、(2)08年の北京オリンピックの時点において、2400万世帯、3600万台、(3)11年初頭までに、全世帯4800万世帯、1億台――の普及を実現するという。
普及速度がどうなるか。テレビ受像機の価格動向などに大きく左右されるだろうが、思ったほどの普及は見せていないといわれるBS/CSデジタル放送と異なり、アナログ放送の中止という大前提で動いている地上デジタルだけに、11年の時点では4800世帯、1億台の普及は実現しているだろう。
立ち上がり期に重要なのは、コンテンツ提供側の体制だが、懇談会では(1)サービス開始当初は、1週間の放送時間中約50%以上の時間で、デジタル放送ならではの高精細度放送を行い、その後は特にプライムタイム(午後7時から午後11時)における比率の拡大を図る、(2)補完データ放送、双方向番組など、デジタル放送のメリットを生かした番組も順次導入し、番組数の増大を図るとともに、移動体での受信に対応する放送サービスの開発と早期実施を行う、(3)デジタル放送のメリットを生かした字幕放送など、高齢者・障害者に優しい放送サービスの充実を図る――といった目標を設定している。
■気になる“放送と通信の融合”
対象となる機器は、(1)地上デジタル受信機能をもつテレビ受像機、(2)アナログテレビ受信機に接続された地上デジタルテレビ受信用セットトップボックス(STB)、(3)アナログテレビ受信機などに接続された、地上デジタルテレビ受信機能をもつ録画機、(4)地上デジタル受信機能をもつパソコン――が当面の候補。だが、いずれはサービス内容の多様化や視聴形態の多様化にともない、多種多様な機器が登場してくるだろう。
機器の方向性をひと言でいえば、テレビとパソコンの融合ということになるだろう。ただ、パソコンにとってはしばらくの間、受け身の戦いを迫られる可能性もある。
この点を考えるには、放送と通信の融合というテーマも浮上するが、懇談会では「放送と通信は、国民にとって、社会的機能を基本的に異にするものであり、今後5-10年でその区別が完全になくなるとは考えにくい。放送と通信は、二者択一の関係ではなく、互いの利点を生かし、刺激し合って国民により高いサービスを実現する相乗効果を生み出す関係である」と規定している。
多分、その通りであろうが、地上デジタル放送の恩恵を享受するためには、パソコン業界サイドに、より知恵とアイデアが求められていることは確かだろう。
地上デジタル放送が今年12月に始まる。大手マスコミがあまり報道しないため、世の関心はまだ低いが、AV(音響・映像)、パソコン業界にとっては、千載一遇のチャンス到来であり、経済波及効果として200兆円という数字が公表されていることは周知の通りである。いささか過大すぎるのではという気もするが、何しろ1億台のテレビの買い替え需要が見込まれるだけに、相当巨額な実需が発生することは確かである。普及予測については、「ブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会」がまとめた数字がある。この数字自体まだ世の中にあまり知られていないので、ここで紹介したい。(石井成樹●取材/文)
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