その他
<BCN REPORT>セブン-イレブン・ジャパンのITへの取り組み
2003/06/30 15:00
週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載
コンビニエンスストア「セブン-イレブン」を展開するセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)。日本全国に9757店舗(2003年5月末現在)を構え、2兆2132億円(03年2月期)を売り上げる。碓井誠・常務取締役情報システム本部長は、「ここまでの成長は、ITを利用しなければ成し得なかった」と語る。日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)の講演会で語った要旨を紹介する。(木村剛士)
情報共有で商品開発
常に最新のシステムを
■ITは不可欠な要素
セブン-イレブン・ジャパンの総店舗数は9757店舗。全国のコンビニエンスストアの約4分の1を占める。1日の総来店客数(全店舗)は約950万人。年間で日本の総人口の約26倍に相当する約33億人が来店する。国民1人が平均2日に1度訪れる計算だ。
昨年度(03年2月期)の業績は、売上高が2兆2132億9800万円、営業利益が4006億6400万円、経常利益が1596億3900万円。コンビニエンスストア業界全体の売上高の約3分の1をセブン-イレブンが占める。1974年の第1号店出店以来、一貫して増収が続く。また、店舗数も比例するように毎年増え続けており、巨大小売店網を築いている。
碓井常務取締役は、小売業は「変化対応産業だ」と語る。「ITの技術進歩や製品サイクルも早いが、コンビニエンスストアの商品は約3か月周期。その目まぐるしい変化に対応するためには、ITは不可欠な要素」と続ける。
■誰でも使える発注システム
同社では変化に迅速対応するため、3つのテーマを掲げている。(1)顧客ニーズへの対応、(2)新商品を即時に開発・販売できる商品開発力、(3)デマンドチェーンとサプライチェーンの連携――の3つだ。
顧客ニーズの対応には、豊富な品揃え、購買機会の損失防止が大前提だという。商品開発力では、メーカーが作った商品をそのまま店頭に並べるのではなく、メーカーや原材料供給業者と協力し、商品開発からSEJが関わり、オリジナル商品の開発に取り組んでいる。「現在、全製品の約50%がSEJの独自製品」(碓井常務)だという。
商品開発に携わる取引先は、SEJが構築した情報共有システムを採用、連携強化を図っている。 デマンドとサプライチェーンの連携では、店員が簡単に扱えるような発注システムの構築に力を入れている。
「店員はアルバイトやパートが大半。社員だけが発注を行っていたら効率的な在庫状態にはできない。約1年で入れ替わるアルバイト、パートが簡単に在庫状態が分かり、ミスなく発注ができるシステム作りが重要」という。
同社の店舗戦略は、小売りだけにとどまらない。「何でもできなければコンビニエンスストア(便利屋)ではない」(同)と主張するように、本業である小売業以外に4つの軸をもつ。
(1)イベント・レジャーチケットの発券やホームページの情報をコピー機でプリントできるマルチコピー機の設置、(2)公共・行政サービス、(3)インターネットショップ、(4)決済サービス――がそれにあたる。
「既存の社会インフラである銀行や、郵便、固定電話などはここ数年激減している。一方で、インターネット、携帯電話、ICカードなどは急増している。ITを触媒とした社会インフラの新チャネルが生まれようとしている。そのインフラを補完する拠点としてセブン-イレブンを成長させたい」と碓井常務は語る。
■スタートはEOS
同社のIT化への取り組みは、79年2月にさかのぼる。同年、EOS(電子発注システム)を初めて導入した。
「EOSの導入で、従来の帳票でのやり取りに比べ、発注から納品までの時間短縮を低コストで実現した」という。
82年にはPOS(販売時点管理)システムを導入し、POSとEOSを連携させることにより、単品ごとの売上データと在庫データをリンクさせ、より的確な発注判断や在庫管理が可能になった。EOS、POSを初めて導入した時には、在庫が減り、平均日販、粗利率が大幅に上昇している。
その後もITの技術進歩とともに、最新システムを構築してきた。 85年にはPOSを刷新し、情報分析を行えるパソコンを導入。90年にはGOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)、ST(スキャナ・ターミナル)を導入した。
現在の店舗システムでは、マルチメディア情報を拡充。POSレジでは、ユーザーへの情報発信として、画面上で製品情報の提供などを行う。音声情報などを発信できる機能も持つ。
GOTでは、商品パッケージや写真案内なども閲覧することが可能。GOTやST、POSレジを統括する店舗の中核コンピュータ(SC=ストアコンピュータ)は、会計管理や受発注管理だけでなく、催事カレンダーや天気情報、店員が残したメモも管理できるようになっており、その情報を店舗の店員および本社で共有する。
同社では、これまでシステムを刷新するたびに、すべてをオリジナルオーダーで構築してきたという。
「システムを構築・管理する私の立場を、自分ではシステムインテグレータだと考えている。ITベンダーやインテグレータと根気よく、オープンな姿勢で話す。それが良い情報システムを構築する上での重要なポイント」 碓井常務はこう強調した。
コンビニエンスストア「セブン-イレブン」を展開するセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)。日本全国に9757店舗(2003年5月末現在)を構え、2兆2132億円(03年2月期)を売り上げる。碓井誠・常務取締役情報システム本部長は、「ここまでの成長は、ITを利用しなければ成し得なかった」と語る。日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)の講演会で語った要旨を紹介する。(木村剛士)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…