その他
.NETビジネスフォーラム発足 普及機関として中心的役割を担う
2003/06/30 15:00
週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載
.NETビジネスフォーラム(松倉哲会長=富士ソフトABC社長)が7月2日に発足する。富士ソフトABCやイースト、大塚商会など10社が発起人会社となり、.NETフレームワークを基盤とした新世代の業務アプリケーション(.NET対応アプリ)の普及促進に努める。同フォーラムは、.NETを活用したビジネスモデルの構築を重視しているのが特徴で、ユーザー企業に対する新しい提案や会員会社同士の提携など、ビジネス的な広がりに期待が集まる。(安藤章司●取材/文)
今後1年で200社が参加へ
■.NETフレームワークで、新ビジネスモデルの構築へ
.NETビジネスフォーラムは、.NETフレームワーク上でウェブサービスなど新世代の業務アプリケーションを使ったビジネスを開発する団体。発足直前(6月25日現在)の参加表明会社は、すでに30社近くに達しており、発足後半年で100社、1年間で200社に会員会社を増やす。
松倉会長は、「1989年に発足したウィンドウズコンソーシアムの後継フォーラムという位置づけ。.NETを使った新しいビジネスモデルを考案し、互いに協力し合うことで業界を活性化するのが目的」と話す。
ウィンドウズコンソーシアムは、ウィンドウズの普及、対応アプリの流通促進を目指した団体で、すでに役割は終えた。今回の新しいフォーラムでは「新世代のフレームワーク」(松倉会長)である.NET上で新しいビジネスモデルの構築を目指す。
ウィンドウズコンソーシアムでは、セミナーなどを通じた地道な情報発信を約5年間続けた後、「ウィンドウズ95」で爆発的な普及にこぎ着けた。今回の.NETフレームワークは、「それよりも短い期間で普及する。おそらく今後3年間がフォーラム活動の最も重要な時期となる」(同)と予測する。
今回のフォーラムでは定例会や定例セミナーなどは原則として開催しない方針。その代わり、ウェブや電子メールをフル活用する。事務局を担当するイーストの下川和男常務取締役は、「.NETを基盤としたウェブサービスを普及させるには、やはりウェブ上での活動を充実させる必要がある。会員各社の商品やサービスを次々に登録し、当フォーラムをウェブサービスのショールームにする」と意気込む。
この点について、松倉会長は、「原則としてウェブ上での活動が中心だが、要望があれば会合やセミナーを設けるなど柔軟に対応する。また、官公庁などのソフトウェア開発に関する公募にも、当フォーラムとして積極的に応じていきたい」と補足する。
大塚商会の山口雄二・マーケティング本部次長は、「同じウェブサービスに関連した団体でXMLコンソーシアムがある。これは技術面を探求する比重が大きい。今回の.NETビジネスフォーラムは、あくまでも.NETを使った新しいビジネスを追求する。範囲を絞り込み、活動内容をより明確にしている」という。
また、「.NET対応アプリの互換性の検証や、他社アプリとの組み合わせによる新しいシステムの創出にも力を入れる」(山口次長)と話す。
日立ソフトウェアエンジニアリングの本間孝一・ソリューションビジネス推進本部エックスビジネスソリューションセンタ長は、「われわれから見た“ビジネス”は、ユーザー企業から見れば“サービス”だ。つまり、新しいサービスをユーザー企業にきちんと伝えていくのもフォーラムの重要な仕事。フォーラムを通じて、しっかり.NET対応アプリ間の互換性を検証する必要がある」と指摘する。
■大規模システムを視野に、ターゲットはUNIX
.NETビジネスフォーラムでは、これまでウィンドウズの中心的な活動領域だった中堅・中小企業から一歩前に進み、大規模システムにも力を入れる。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)や日本ユニシス、NECなどの大手システムインテグレータは、大規模案件での.NET活用事例などを拡充させる。
日本HPは、同フォーラムの参加窓口として、旧コンパックコンピュータのPCサーバー部隊ではなく、主に大規模システムを手がける旧日本HPのコンサルティング統括本部を前面に出した。
日本HPの沖本重之・コンサルティング統括本部執行役員副統括本部長は、「ウィンドウズサーバー2003や.NETフレームワークが狙う領域は、UNIXがここ10年来手がけてきた大規模システムの基幹系。マイクロソフトは技術的な課題を克服し、大規模基幹系システムに登り詰めようとしている」と見る。
「当社では、顧客の要望次第でUNIX、ウィンドウズのどちらのプラットフォームでも対応できる体制づくりを急いでおり、フォーラムでの情報交換を進めていく。マーケティングを担当する部門ではなく、販売の実働部隊がフォーラムに参加することで、よりビジネスに近い議論をしたい」(沖本執行役員)と話す。
日本ユニシスの白井久美子・サービスビジネス開発本部.NETビジネスディベロップメントプログラムマネージャーは、「.NETによる基幹系システム構築で中心となる案件はおよそ20億円前後が多い。なかには50億円を上回る大型提案も積極的に行っている。また、高い性能を求める顧客からはサーバー2003の64ビット版の引き合いも多い。当社のハイエンドPCサーバーで32ビット版に比べて約1.5倍の性能が出ている」と話す。
「フォーラムでは、こうした新しい取り組みに関する情報を公開し、会員各社と研鑽、刺激をし合い.NET普及に拍車をかける」(白井マネージャー)考え。
NECの竹内秀幸・第二コンピュータソフトウェア事業部ビジネスディベロップメント&マーケティンググループプロダクトマネージャーは、「これまでJavaで組んでいたような大規模基幹系システムを.NETの技術を使って組む事例が、今後確実に増えていく」と見込む。
しかし同時に、「そのために必要なコンポーネントが絶対的に不足している。充実してくるまであと1-2年はかかる。現状では、ユーザー企業へ.NETに切り替えるメリットを十分に説明しきれていない。このあたりをフォーラムの交流を通じて補っていきたい」と話す。
今後3年間で、.NETビジネスは規模も内容も大きく変貌するのは間違いない。
これまでウィンドウズプラットフォームで伸びてきたシステムインテグレータやベンダー企業にとって、.NETで引き続き波に乗って成長できるかが最大のポイントだ。
.NETビジネスフォーラム(松倉哲会長=富士ソフトABC社長)が7月2日に発足する。富士ソフトABCやイースト、大塚商会など10社が発起人会社となり、.NETフレームワークを基盤とした新世代の業務アプリケーション(.NET対応アプリ)の普及促進に努める。同フォーラムは、.NETを活用したビジネスモデルの構築を重視しているのが特徴で、ユーザー企業に対する新しい提案や会員会社同士の提携など、ビジネス的な広がりに期待が集まる。(安藤章司●取材/文)
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