その他
オフコンのリプレース市場 オープン化、加速
2003/07/07 15:00
週刊BCN 2003年07月07日vol.997掲載
1980年代から日本企業で爆発的に普及したオフィス・コンピュータ(オフコン)の「リプレース市場」が騒がしい。西暦2000年問題(Y2K)で機能向上が図られたオフコンが、今年から来年にかけ「リース切れ」になることから、オフコン資産を継承した「オープン化」システムの新規提案が増加中だ。オフコンはメーカー独自の「クローズドシステム」で、保守料などの付加収入が魅力的。どのメーカーもこの“肥沃な土壌”を求め、あるいは自社の顧客を死守するため、今年から新戦略を相次ぎ打ち出している。
新戦略打ち出すメーカー各社 日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2月下旬、AS/400(旧オフコン)の後継機「eServer iSeries(iシリーズ)」の新モデルを発売。国産のオフコンやAS/400で構築された顧客システムを「iシリーズ」に統合する動きを加速させた。「iシリーズ」の新モデルは、日本IBMが進める他社ユーザーからの乗り換え事業「ウィンバック戦略」の戦略製品で、他社のオフコンリプレース事業を脅かしている。 花井貢・ミッド・マーケット・サーバー製品事業部長は、「複数のオフコンを保有する企業に多い、システム統合のニーズに最適な製品」と、営業を強化。昨年、他社のオフコンから「iシリーズ」に乗り換えた台数は約600台。前年比で20%増加。「今後5年間は、このペースで同社のオフコンの『リプレースビジネス』は拡大する」(花井事業部長)と予測する。 2001年度(02年3月)でオフコン出荷を停止した日立製作所は7月1日、次世代メインフレーム「AP7000/60L」を発売。国産メーカーでは初めて、UNIXとオフコンOSを1台で稼動する。 「AP7000」は、オフコン資産を「統合」する概念からすると、日本IBMの「iシリーズ」とコンセプトが近い。両機は、旧オフコンの大半で使われた事務処理計算用言語「COBOL」で構築されたシステム資産を残し、将来的にオープン系システムに移行する過渡期的な製品だ。日立の澤本英雄・エンタープライズサーバ事業部企画部部長は、「基幹帳票を事務所のオープンプリンタでも出力でき、オフコン顧客に配慮した工夫が魅力になる」と、オフコン顧客死守に向けた差別化を強調する。 00年に旧オフコンの出荷を停止したNECは、それ以前のY2K需要を受けて乗り換え用の後継サーバー「Express5800/600iシリーズ」を97年10月に発売した。同社のオフコンOS「A-VX」をウィンドウズ上に搭載し、オープン活用を可能にしたIAサーバーベースの基幹システムだ。すでに、NECの旧オフコンは同シリーズに順次乗り替わってきたが、「約3万台残っている当社製のオフコンと他社製オフコンの乗り換えを強化する」(本永実・クライアント・サーバ販売推進本部商品マーケティンググループマーケティングエキスパート)として、今年から「どこでもセミナー」と題して全国キャンペーンを開始した。 一方、富士通は今年から、自社の旧オフコン顧客の確保に向けた「ポストY2K」戦略を開始。90年代後半にY2K対応にしたオフコンのリース切れに際して、昨年6月に発売した同社オフコンの上位機種であるIAサーバ「PRIMERGY(プライマジー)6000」の新モデルを売り込む。さらに、オープン化を望む顧客ニーズにも応え、「マイクロソフト.NET」対応の「Web AS コンポーネット」という業務ソリューションも提供し、“二刀流”で既存のオフコン顧客を掘り起こす。 富士通ビジネスシステムの藤本政久・マーケティング本部営業推進統括部ソリューション推進部長は、「大事なオフコン顧客に対し、業務フローと合わせ新システムを提案する」と、新たな需要を見つけようとしている。 日本IBMは、従業員1000人規模の中小・中堅企業が、今後オフコンリプレースの主戦場になると予測。NECは04年が「リプレースのピーク時」と見る。オフコンの保守・サービス収入は魅力的だ。 オープン化の流れを汲み、オフコンOSを継承した拡張性のある新システム提案で、自社顧客を再び囲い込みたいのがオフコンメーカーの本音。オープン化を施さないオフコンは、最低でも10万台が稼動中といわれている。決して小さな市場ではない。
1980年代から日本企業で爆発的に普及したオフィス・コンピュータ(オフコン)の「リプレース市場」が騒がしい。西暦2000年問題(Y2K)で機能向上が図られたオフコンが、今年から来年にかけ「リース切れ」になることから、オフコン資産を継承した「オープン化」システムの新規提案が増加中だ。オフコンはメーカー独自の「クローズドシステム」で、保守料などの付加収入が魅力的。どのメーカーもこの“肥沃な土壌”を求め、あるいは自社の顧客を死守するため、今年から新戦略を相次ぎ打ち出している。
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