その他
記録型DVD戦争
2003/07/14 15:00
週刊BCN 2003年07月14日vol.998掲載
今年の夏商戦で1つの焦点は記録型DVDで、フォーマット戦争の行方がどうなるかにあったが、前半戦を見ると、いくつかの傾向が見えてきた。まず指摘できるのは、シングルフォーマットでは戦えないことがはっきりしたという点である。
「シングル」では戦えない
ここでいうシングルフォーマットは、何度でも書き換え可能なリライタブル機能を指す。周知の通り、リライタブル機能についてはDVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWの3方式があり、一度だけ書き込みのできるライトワンスとしてDVD-R、DVD+Rがある。
昨年までの戦いの傾向は、リライタブルを主軸にしつつ、ライトワンス、さらにはCD-R/RW機能を取り込むという形での複数フォーマット化がメインテーマだったが、昨年後半に新たな動きが表面化した。後発の日立エルジーデータストレージ(日立LG)が、DVD-RAMをベースにしつつ-RWも取り込んだリライタブルの「ダブルフォーマット化」を打ち出し、またこれも自社製造で後発となったソニーは、-RWと+RWのダブルフォーマットを搭載した「デュアル」により巻き返しを狙った。
先行メーカーのなかでは、松下電器産業がいち早く対応。-RW機能も搭載したDVD-RAM/R/RWを「マルチ」と呼称した。こうしたなかで、パイオニアは「-R/RWこそ最善」、リコーは「いや、+RW/+Rこそ最も優れている」としてシングルでの戦いに固執してきたが、パイオニアは5月に+RWにも対応した「DVDライター」を発売、ダブル路線に乗り換えた。一社、シングルで頑張ろうとしたのがリコーで、6月に発売した新製品で「+RWの4倍速書き込み」をうたい文句に巻き返しを期していた。
書き込み速度も昨年来、大きな争点に浮上していたテーマである。ライトワンスについていえば、+Rは昨年、リコーの2・4倍速で急浮上。今年に入ってはパイオニアが-Rの4倍速でやはり急浮上を果たしていた。もう1つ見えなかったのが、リライタブルの高速化がどれほどのユーザー吸引力をもつかという点。その意味でリコーの「シングルでも+RW4倍速を武器にすれば戦える」という戦略は焦点になっていた。しかし、BCNランキングによると、同機の出足は良くない。6月のフォーマット別シェアは、DVD-R/RW/+RW/+R系69.0%、DVD-RAM/R/RW系25.1%、DVD+RW/+R系5.9%である。新製品を投入したにもかかわらず、+RW/+Rは前月比0.1ポイントの増加にとどまった。
結局ユーザーは、RWの高速化よりも、シングルフォーマットであることを嫌ったと見て良いだろう。ダブルフォーマット化は、「安心を売る、保険ビジネス」の色合いが強いが、ほとんど同じ価格で保険がかけられるならそちらを購入するというのは、消費者心理として当然といえば当然である。シングルでは戦えないことがはっきりした以上、次なる主戦場は「デュアル」対「マルチ」に移行し、そこに「スーパーマルチ」が絡むという展開となろう。スーパーマルチというのは、3方式すべてに対応しようという路線。先進ユーザーの多いアフターマーケットでのシェアが、本体搭載も左右するだけに、戦いはさらに熾烈さを増しそうだ。(石井成樹●取材/文)
今年の夏商戦で1つの焦点は記録型DVDで、フォーマット戦争の行方がどうなるかにあったが、前半戦を見ると、いくつかの傾向が見えてきた。まず指摘できるのは、シングルフォーマットでは戦えないことがはっきりしたという点である。
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