その他
個人情報保護ビジネス
2003/07/21 15:00
週刊BCN 2003年07月21日vol.999掲載
個人情報保護法の成立を受けて、コンサルティング会社を中心に同法に基づいて個人情報の保護ビジネスを活発化する動きが広がっている。同法では、個人情報の利用目的の特定や規定違反の場合の利用停止など、取り扱いに関する義務規定が厳しく定められている。対象となるのは、5000人以上の個人データをもつ企業・団体という規定があり、事実上、大半の企業・団体が対象になるほど範囲は広い。個人情報の扱いについて、見直しが急務になったことは間違いない。
増えるコンサルティング需要
セキュリティ全般に関する調査・研究を行う日本セキュリティ・マネジメント学会の山口謙吉理事は、「同法が定めている義務規定は決して難しい内容ではないが、対象となる各企業・団体のすべてが独自に対策を打てるかは疑問」と語る。アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)の大木栄二郎技術理事も、「日本のセキュリティマネジメントへの意識は、海外に比べて数段劣っている。それにも関わらず、取り組みは遅い」と話す。
山口理事は同法の成立を受けて、「セキュリティマネジメントが注目され、コンサルティングなどの需要が出てくるのではないか」とみる。こうした環境から、セキュリティ製品販売などのアズジェントは、同法に関連したツールをいち早く発表した。個人情報保護法に対応した、マネジメントに必要な方針などの策定を支援するソフトで、「何をしたら良いか分からない企業が、対策や方針などを容易に立てられる」(駒瀬彰彦・セキュリティ・ポリシー事業部取締役事業部長)という。
一方、大手コンサルティング各社の反応は、ここ数か月で問い合わせは増加しているというものの、現段階では「同法の成立が、そのまま実需につながっているとは認識していない」と冷静だ。アクセンチュアの森泰成・アソシエイト・パートナーは、「法律自体にまだ不明確な部分が多いため、ユーザーも様子見の段階だろう」と分析する。だが、今後の話になると、“特需”が期待できるとの見方で一致しており、各社とも法律に対応したビジネスプランを検討していくという。
アクセンチュアでは、個人情報保護法に関連したコンサル事業だけをメニュー化して提供することを検討しており、IBCSでも同様の展開を考えているという。野村総合研究所ではすでに、「同法に対応できる」ことを謳い文句に、プライバシーマーク(Pマーク)取得支援サービスを強化した。これまでも、Pマーク支援ビジネスは手がけてきたが、個人情報保護法の成立とともに、さらに幅広く推進していく計画だ。
アクセンチュアの森氏は、「セキュリティマネジメントのような上流工程のビジネスは、ベンダーやシステムインテグレータでは難しい領域。同法を1つのトリガーにしてさまざまなセキュリティ関連ビジネスに派生させていく」と、コンサルティング企業に強みがあることを強調する。野村総研の山崎敏之・経営コンサルティング二部上級コンサルタントは、「個人情報の保護だけが注目を集めるが、個人情報の有効利用については各企業の認識が甘い。ただ持っているだけでは何の意味もない。個人情報の有効利用に関してのコンサルティングビジネスと組み合わせた展開も行っていく」と、膨大な個人情報を“守る”だけではなく“利用”にも着目している。(木村剛士●取材/文)
個人情報保護法の成立を受けて、コンサルティング会社を中心に同法に基づいて個人情報の保護ビジネスを活発化する動きが広がっている。同法では、個人情報の利用目的の特定や規定違反の場合の利用停止など、取り扱いに関する義務規定が厳しく定められている。対象となるのは、5000人以上の個人データをもつ企業・団体という規定があり、事実上、大半の企業・団体が対象になるほど範囲は広い。個人情報の扱いについて、見直しが急務になったことは間違いない。
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