世界的に混沌としていたIT景気が、ここにきて明るさを取り戻しつつある。ブロードバンドの急速な普及、デジタル機器の多様化・高度化に伴い、ITは確実に“線”から“面”へと拡がり、いよいよユビキタス社会の本格到来を予感させる。日本ではITの利活用に重点を置いた「e-Japan戦略II」が始動するとともに、韓国、中国、台湾などとの協調による「東アジアIT産業圏」の形成も今後進むことは間違いない。BCNでは1000号を記念し、ITのいま、そして近未来を見据えた特別企画「IT新時代 変革をつかめ」を3週にわたりお届けする。
元気な未来に向けて
今週のBCN1000号を、創刊号の時と同じ新鮮な気持ちでお届けします。
歴史はその瞬間に「時」を刻み続けています。しかし、未来という決まった形は一切なく、人が夢を抱き、それを実現した時、初めて未来を手にすることができます。私たちは今、パソコンで会話をし、携帯電話で子供や孫の写真を世界中の友だちに伝えることができます。まったく夢のような出来事と今、同居しているのです。
こうした文明の進化は予想もしない現象も生んでいます。地球規模で同時に情報が交流できるため、ネット内にはまったく新しい地政学が誕生しました。その一方で、個人への誹謗中傷やネット犯罪、自殺という現象が世界規模で発生しています。
こうしてネット内の現象を輪切りにすると、何百年、何千年にもわたって人類が営々と築いてきた社会制度が、来るべき未来にも必要だということがわかります。その規模は世界というスケールであり、それはやがて光という速度で宇宙空間をも駆け巡る時代が来ます。2002年、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東京大学名誉教授いわく。「ニュートリノは宇宙空間の通信に使われるよ。千年先かな」。私たちが産業を形成する過程で生成する経済というエネルギーが、明日の元気な社会をつくるのです。
BCN1000号の発行を機に、私たちは新しい時代に向けて社名を「株式会社BCN」に改めました。“流通を制するものは市場を制す”。この視点で、今後もITを見続け、その記録を千年先の人類の文化のために残していきます。
「次なる時代と向き合っていこうとする人は常に新鮮です」。元気な未来は私たちが築くもの。今後も変わらぬご愛読をお願いします。
株式会社BCN・社長 奥田喜久男