香港の企業は日本に対してどのようにアプローチしているのであろうか。香港の大手企業のほとんどは、国際的大手コンサルティングと提携し、その戦略を決定している。従って、香港独自のオリジナリティとローカル色は見られない。そんななか、独自な活動をしているのがテレアイ(陳作基CEO)だ。同社は自社開発の圧縮技術をベースに、ビデオモニタリング、つまりビデオ監視に特化したビジネスに専念、香港では珍しい自社開発型企業である。また、最近では日本にオフィスを置くなど意欲的に日本市場を狙っている。
独自性を発揮する香港企業

テレアイは、1994年、香港城市大学研究グループによって設立され、01年5月に株式を上場した。同社は独自の圧縮技術を開発し、それをビデオモニタリング製品に応用している。現在、本社を香港に置き、日本や米英、アジア各地に支社、代理店をもつ。
陳CEOは、「製品販売のメイン市場は香港と英国。上場できたのは、オリジナルな圧縮技術で高い圧縮率を実現したことにある。もちろん、ビデオだけでなくオーディオ圧縮にも取り組んできた。また、セキュリティ上のスクランブルに関しても、ほかのコーデックより安全であると考えている。このような展開のなかで、日本市場に興味をもっている」と語る。
同社では、2年前に神奈川県相模原市に支社「キャメリオ・ジャパン」を設立。テレアイの製品をキャメリオブランドで販売している。日本市場ではいくつかの競合があり、20-50万円程度が基本システム価格と考えている。もちろん、これはシステムの規模により異なる。
コンシューマ市場への参入については、「現時点では考えていない。すでに香港や英国で成功した製品ラインアップがあり、それと合流する流れが適切と考えるからだ。しかし、最近開発した携帯情報端末(PDA)用アプリケーションに関しては、コンシューマ向け製品の可能性もあるかもしれない。現在、日本で行われる展示会などに積極的に参加して研究している」と話す。
日本での活動については、次のような問題点を指摘する。
「日本の企業は意思決定が遅いことだ。例えば、商談を始めてから1年間も製品の説明をし続けていることがある。しかしその一方で、いったん決まると長い期間で付き合ってもらえるので、悪いことだけではないが…。また、人件費や事務所、交通費など費用がかかる。まだビジネスとして十分な利益を得ているわけではないが、これからの日本市場を的確に把握するための投資段階だと考えている。今は関係会社とオフィスを共有している」という。
同社のワールドワイドに対する考え方は明確だ。
「私たちは、香港はアジアの一部と考える。企業として、私たちの相手は世界各国であり、特にアジアを意識した戦略はない。しかし、アジアにおいては、香港はイノベーションの義務をもっていると思う。特にビデオモニタリング・プラットフォームのイノベーションに努力している。例えば、PDAなどとの融合はこれからの市場に大切なステップになるだろう」
同社では、NTTドコモのFOMA(フォーマ)のアプリケーション開発に取り組んでいる。また、ヒューレット・パッカード(HP)のウィンドウズCE搭載機でのアプリケーションはすでに完成している。今後は、このようにモバイル機への移植が増えるとみている。
また、自社テクノロジーを各国のプラットフォームの変化に合わせていくことも義務と考えている。
「私たちはオリジナルな技術と製品をもっており、日本市場への参入もほかの香港企業に比べ有利に行える」と話す。