エディオンは指揮系統を一本化、子会社のエイデンとデオデオの経営基盤を固めていく。エディオンは7月1日付で久保允誉会長が社長に、岡嶋昇一社長が副社長となる人事を実施。また、同時に久保氏がデオデオ社長から会長に就任。エイデン社長を兼ねている岡嶋氏とともにそれぞれの役割を明確化し、今後のビジネス拡大に弾みをつける。2002年度（03年3月期）における初の連結業績は、01年度のエイデン、デオデオ2社の単純合計と比較して拡大した。しかし、激しい価格競争のなか、継続して利益を確保していくために経営体制を強固にし、さらに今年度中には統合効果による新しいビジネスの創出も視野に入れる。（佐相彰彦●取材／文）

経営体質の強化を図る

■スピード経営の実現を

　エディオンの久保社長は、同時に7月1日付でデオデオ社長からデオデオ会長に就任した。今回、エディオンの社長だった岡嶋氏（エイデン社長）を副社長とすることで指揮系統の一本化を図る。デオデオ社長には、友則和寿副社長が昇格した。

　久保社長は、「これまでは、会社内部の取り決めやエイデン、デオデオへの指示などを、（久保氏と岡嶋氏の）2人で承認していた。そのため、迅速に決断しなければならない案件などで、ワンテンポ遅くなるケースもあった」ことを反省。スピード経営を実現するための新体制であることを強調している。

　加えて、経営面での改善も図る。これまでは、久保氏がデオデオの社長、岡嶋氏がエイデンの社長を兼ねていた。

　これについて、「2つの会社の経営を行うと、どちらか1つが手薄になってしまうこともある。2人がエディオンに専念するあまり、エイデンとデオデオの経営が手薄になってしまうのでは本末転倒だ」とし、久保氏がエディオンの経営に専念し、岡嶋氏はエイデンの経営に集中する体制とした。

　久保氏はデオデオ会長に退くことについて、「社長を10年間務め、1つの節目だと判断した。今後は、エディオンの経営に専念する」と語った。

■新ビジネスモデルを創出へ

　02年度（03年3月期）におけるエディオンの連結業績は、売上高が4428億5700万円、営業利益が57億9400万円、経常利益が94億6500万円、当期純利益が23億9000万円だった。

　01年度における両社の決算を単純合算すると、売上高が4263億3400万円、営業損失が4億6700万円、経常利益が36億1100万円、当期純損失が4億3100万円。

　昨年度は、02年3月29日のエディオン設立以来、初の連結決算となったが、事実上業績はアップしている。

　両社の統合は、商品を一括調達することで、価格面など商品の競争力を強化することが最大の目的。

　昨年度は、オリジナル商品数が900アイテムとなり、その売上高は全体の18.5％を占めた。オリジナル商品の売上構成比が7.9％だった01年度と比較し、一括調達で25億円のコスト削減を実現した。

　オリジナル商品に関しては、今年度にプリンタ用のインクなど消耗品を中心にオリジナル商品数を2200アイテムまで増やし、売上高構成比で24.2％に引き上げることを掲げている。

　また、エディオン主導で進めている上新電機、デンコードーなど地方の家電量販店5社との連合「ボイスネットワーク」の連携を強化し、商品の共同開発・販売も計画している。

　加えて、エディオンは今年9月に、本部機能を東京本社から名古屋のエイデン本社に移管する。

　「中部地区の基盤強化が狙い」（久保社長）としており、岡嶋氏が社長を務めるエイデンの強化を打ち出している。

　久保社長は、今回の体制変更について、一連の改革を生き残りをかけた「新しいビジネスモデルの創出」と位置づけており、激しい価格競争が繰り広げられているなか、経営のスピードアップや効果的なコスト削減を実現するため、「提携している家電量販店との連合を含めて、早急に『統合効果』を出すことが重要」と強調している。