その他
中国における携帯電話事情 マーケットは爆発的に拡大
2003/09/01 15:00
週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載
中国と香港のIT産業における大きな違いは、香港が政府リード方式であるのに対して、中国は商業レベルでの発展が主体の構造であるという点だ。香港は中国への投資に関する基地的働きをここ20年以上行ってきた。その結果、香港はその利益で、例えばe-ガバメント政策などを推進できる。一方、モバイルや携帯電話開発ではまだ未熟な中国だが、そのマーケットやインターネット利用率は爆発的に伸びている。日本の携帯電話市場はすでに飽和状態に達しているが、中国ではまだまだ拡大の一途をたどるといわれている。ダイナミックな変貌を遂げつつある中国の携帯電話事情をレポートする。(浅沼修平●取材/文)
インターネット料金は“安売り状態”
■中国では“小型化の時代”
中国では、日本のようにPDA(携帯情報端末)に近い機能を備えた携帯電話の需要はまだ主流ではない。
日本のユーザーは、携帯電話をパーソナルギアとして利用しているが、それは携帯電話がPDAの機能を取り込んでいるためでもある。しかも、携帯電話の小型化を目標とした時代は、すでに6、7年前に終わった。
しかし、中国市場ではこの動きがいまだに続いている。携帯電話の進化が、小型化→省電化→マルチメディア、ハイレゾ化→パーソナルギア化と進むとすれば、中国市場では現在、このプロセスの前半部分が進んでいる状態だといえるだろう。
中国では、大学を卒業して給料を貯めて買う大きな買い物の1つが、携帯電話とパソコンと言われている。
中国市場での平均的な携帯電話の価格は1000元、パソコンは4000元ほどだ。中国と日本の物価水準を比較して考えた場合、中国市場でのパソコン価格は日本での15-60万円に匹敵する(約1月分の給与)。
■1人で複数の番号を所有
中国の通信事情については、WAP(ワイヤレスアプリケーションプロトコル)の利用者は少ないが、2.5ギガヘルツ帯への移行でインターネットとの接続が期待されている。現在は携帯電話の普及台数の数パーセントの利用者しかいないが、しかし、SMS(ショートメッセージサービス)によるメッセージのやり取りは盛んで、もちろん電子メールとの連動が可能である。
これは所定のアドレスに来た電子メールをSMSに送ってくれるサービスで、無料で利用が可能。また、SMSからメールも可能である(まだ利用者は少ない)。
また、携帯電話はこれまで受け側も課金されていたが、上海地区では送信側のみに課金されるサービスが開始され、今後、同サービスは他の地域にも広まっていくと思われる。これまでは欧州を中心に普及しているGSM、GPRSが主な規格であったが、都市型のPHSも北京で開始される予定だ。
また、SIMカード方式なので、都市を移動するユーザーは1人で何台もの電話番号を持っている。これはローミング料金が比較的高いからであり、町で簡単に電話番号付きプリペイドカードを買えることにも関係している。一方、ADSLの無制限接続料金は月額200元前後で、物価比較では相当高い。
VoIP機能付きのADSLモデムは既に海外向けに生産されている。しかし、中国マーケットでインターネットサービスプロバイダ(ISP)がこれを供給するのは、どの時点であろうか。
インターネットを利用した格安料金体系は、早くからプリペイドカードや特定のダイヤルを回すことでがキャリアを主体に売られてきた。ボイスチャットなども流行しているため、現在は安売り状態にある。
VPN(仮想私設専用網)のサービスについては、ウィンドウズ2000サーバー用アプリケーション、もしくは専用ルータ貸し出しで400-800元程度で可能なようである。
このように、さまざまな動きがみられる中国の携帯電話・通信市場だが、その市場規模が巨大であることだけは間違いない。この巨大市場を制覇する企業はどこか。大いに注目されるところである。
中国と香港のIT産業における大きな違いは、香港が政府リード方式であるのに対して、中国は商業レベルでの発展が主体の構造であるという点だ。香港は中国への投資に関する基地的働きをここ20年以上行ってきた。その結果、香港はその利益で、例えばe-ガバメント政策などを推進できる。一方、モバイルや携帯電話開発ではまだ未熟な中国だが、そのマーケットやインターネット利用率は爆発的に伸びている。日本の携帯電話市場はすでに飽和状態に達しているが、中国ではまだまだ拡大の一途をたどるといわれている。ダイナミックな変貌を遂げつつある中国の携帯電話事情をレポートする。(浅沼修平●取材/文)
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