その他
ゲートウェイ向け ウイルス対策製品市場 トレンドマイクロの牙城に挑む
2003/09/29 21:12
週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載
ゲートウェイ向けウイルス対策製品市場が熱気を帯びている。インターネットと企業内ネットワークの間に設置するウイルス対策製品で、「いま流行りの製品」と各社が口を揃える。同市場は、トレンドマイクロがシェア約70%を獲得する寡占状態にあるが、ここにきて競合他社の動きが慌しくなってきた。シマンテックや日本ネットワークアソシエイツ(NAC)の大手2社は、多機能を謳ったアプライアンス製品を相次いで発表し、攻勢をかける。また、ITXイー・グローバレッジ(ITX-EG)など、ゲートウェイ向け製品を核にセキュリティ市場に参入する企業も登場しており、熾烈なシェア争奪戦が始まりそうだ。
感染防止策の次なる主役に!?
富士キメラ総研の調べによると、2002年度(02年4月-03年3月)のゲートウェイ向けウイルス対策製品の市場規模は約100億円。NACの能地將博・マーケティング本部McAfeeマーケティング部エンタープライズプロダクトマーケティング部長代理は、「今後2-3年は年率30-40%増で推移する」と期待を寄せる市場だ。
02年度はトレンドマイクロがシェア約70%を獲得し、まさに独り勝ち状態。ある大手競合ベンダーは、「トレンドマイクロは、他社に比べいち早くゲートウェイに着目し、90年代中盤から製品化していたため、顧客を捕まえるのが早かった。今でもシェアが高い」と説明する。トレンドマイクロの糸賀誠・マーケティング本部長は、「他社より実績がある中核製品」と、ゲートウェイ向け製品を位置づけている。
ゲートウェイ向け製品とは、インターネットから企業内ネットワークへの入り口に設置し、サーバーやクライアントレベルではなく、ネットワークにウイルスが入る前にブロックする仕組み。メール以外を経由するウイルスが多く発生し始めたことで注目を集めている。NACの能地部長代理は、「5-6月に当社へ寄せられた感染被害の大きい上位10種のウイルスのうち、半分以上はHTTPプロトコルを利用したウイルス」としている。
ゲートウェイ向け製品で最近目立つ動きが、ハードとソフトが一体になったアプライアンス(使いやすさに主眼を置き、機能を最適化した専用装置)の登場だ。シマンテック、NAC、ITX-EGは、ともにアプライアンスでアプローチしている。ハードウェアを持たないトレンドマイクロもノキア・ジャパンと提携し、アプライアンスの提供に乗り出す動きもあり、最近の流れといえる。導入時のハードの選定やソフトのインストールの必要がなく、メンテナンスにも手間がかからないメリットがある。
NACは、ウイルス対策にスパム対策などの機能を加えた多機能アプライアンスを今月発表した。他社製品からの乗り換えキャンペーンも行うなど、本腰を入れる。
また、シマンテックでも同様の動きがみられる。10月上旬にはウイルス対策のほか、ファイアウォールなど、計7つの機能を統合した多機能製品を発売する。野々下幸治・システムエンジニアリング本部長は、「たくさんのセキュリティ製品が情報システム内に乱立しているため、システム管理者の負担が増えている。複数の機能を1つの筐体に盛り込んだアプライアンスは今後主流になる」と断言する。
大手だけの争いではなく、新規参入組も割って入ってきている。ITX-EGは、スペインのセキュリティベンダーと国内総販売代理店契約を結び、セキュリティ市場に参入。クライアントやサーバー向け製品を順次投入する予定だが、第1弾の製品として選んだのはゲートウェイ向けアプライアンス。
当初は市場規模を理由にクライアントソフトを第1弾製品に予定していたが、「ゲートウェイ向けアプライアンスは、他社との機能比較でも最も優位性がある。後発として一番インパクトを与えられると判断した」(森豊・パンダソフトウェアジャパンカントリーマネージャー)という。
日本エフ・セキュアも、ゲートウェイ製品の拡販に力を入れている。LinuxOSに特化したゲートウェイ向け製品を販売している。渡邊宏社長は、「価格で他社を圧倒する」とし、競合企業よりも30-60%安価な価格設定でシェア拡大を図っており、パートナーの数もここ半年で5-6社増やしている。
サーバーやクライアントのウイルス対策製品は、セキュリティ市場の主軸製品であることは変わらないが、需要の飽和感から「今後大幅な伸びは期待できない」との見方もある。この流れを変える有力ツールとして、ゲートウェイ向け製品がセキュリティ市場で注目を集める可能性が出てきた。<
ゲートウェイ向けウイルス対策製品市場が熱気を帯びている。インターネットと企業内ネットワークの間に設置するウイルス対策製品で、「いま流行りの製品」と各社が口を揃える。同市場は、トレンドマイクロがシェア約70%を獲得する寡占状態にあるが、ここにきて競合他社の動きが慌しくなってきた。シマンテックや日本ネットワークアソシエイツ(NAC)の大手2社は、多機能を謳ったアプライアンス製品を相次いで発表し、攻勢をかける。また、ITXイー・グローバレッジ(ITX-EG)など、ゲートウェイ向け製品を核にセキュリティ市場に参入する企業も登場しており、熾烈なシェア争奪戦が始まりそうだ。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…