その他
中堅ERP市場に異変
2003/11/10 15:00
週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載
国内ERP(基幹業務システム)パッケージ市場で20%のシェアを獲得する――。国産や外資系のERPベンダーがひしめく中堅企業向けERP市場で、ユーザー系システムインテグレータ7社がタッグを組み、「ユーザー本位」なERPパッケージの開発・外販を開始する。帝人やアイ・ティー・エックス(ITX)が主要株主のインフォコムが先導役となり、コンソーシアム方式での事業立ち上げを計画しており、、、
ユーザー系ベンダー、独自パッケージ外販へ
国内ERP(基幹業務システム)パッケージ市場で20%のシェアを獲得する――。国産や外資系のERPベンダーがひしめく中堅企業向けERP市場で、ユーザー系システムインテグレータ7社がタッグを組み、「ユーザー本位」なERPパッケージの開発・外販を開始する。帝人やアイ・ティー・エックス(ITX)が主要株主のインフォコムが先導役となり、コンソーシアム方式での事業立ち上げを計画しており、10月には推進母体となる新会社「インフォベック」が設立された。新会社の三浦進社長は、「人のふんどしで相撲を取る時代は終わった」と、日本の商習慣に合わず、しかも高額な既存のERPパッケージに牙をむく。
年商50―1000億円企業がターゲットの同市場では、住商情報システムの「プロアクティブ」や富士通の「グロービア」、オービックの「オービック7」などの国産ERP製品が各10%程度のシェアを持つ。今年9月には、大企業向けERPでシェアを持つSAPが「SMB事業部」を新設し、オラクルも低価格ERPソリューションを立ち上げるなど、同市場を狙って外資系ERPベンダーも相次ぎ参入するなど乱立状態だ。大企業向けのERPが飽和状態になった影響で、同市場は今や蕫激戦区﨟だ。そんな市場で戦うインフォベックに勝算はあるのか。コンソーシアムに参加するのは、大企業を親会社に持つITエンジニアリングやウチダユニコム、日商エレクトロニクスなどで、年内には10社程度が参画する予定だ。
インフォベックは来年3月にベータ版を出し、5月に会計、債権債務、販売、調達、在庫の各モジュールを出荷。9月に給与、資産、経費のモジュールを出す体制を整えた。このERPパッケージは「.NETプラットフォーム」上で開発するため、マイクロソフトが全面協力する。参加企業は、インフォベックからERPパッケージの販売権と改編権を購入し、独自にカスタマイズして市場に外販。販売当初1年は、参加企業各社の親会社に導入を進めノウハウを蓄積。「事業スキームが見えた段階で外販を本格化する」(三浦社長)という。 日本では従業員5000人以上の大手企業は、約8割が「情報システム子会社」をもっている。欧米にはない日本独特の仕組みだ。1980年後半―90年代、こうした子会社はシステム構築を親会社だけにとどめず、外販に乗り出す傾向を強めた。だが、最近は「収益が上がらない」ため、その存在意義が問われ始めている。システム構築では親会社向けのノウハウしか持たないために、外販で他社に対抗する体力を蓄積できていないためだ。
インフォベック設立の背景には、こうした子会社が自らの窮状を救おうとする力が作用したと思われる。システム子会社の現状に詳しい調査会社ガートナージャパンの松原榮一・ジャパンリサーチセンターマネージングディレクターは、「親会社には拡販が望めるし、ある程度は一般市場向けに販売できるだろう。一般市場向けにさらに拡販するノウハウを持てるかが、成否を分けそうだ」と、5年後に売上高300億円以上、シェア20%の獲得を狙うインフォベックの計画に注文を付ける。ある国産ERPベンダーの担当者も、「良い製品が完成しても、直販体制やパートナー戦略が強固でないと日本での拡販は難しい」と見る。三浦社長は、「日本企業の閉塞状況に一石を投ずる」と意欲的だが、シェア獲得には相当な頑張りが求められそうだ。 谷畑良胤●取材/文
国内ERP(基幹業務システム)パッケージ市場で20%のシェアを獲得する――。国産や外資系のERPベンダーがひしめく中堅企業向けERP市場で、ユーザー系システムインテグレータ7社がタッグを組み、「ユーザー本位」なERPパッケージの開発・外販を開始する。帝人やアイ・ティー・エックス(ITX)が主要株主のインフォコムが先導役となり、コンソーシアム方式での事業立ち上げを計画しており、、、
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