その他
システムインテグレータ大手 収益構造改革が進展
2003/11/17 21:12
週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載
主要システムインテグレータの構造改革の格差が広がり始めた。デフレ経済の進行によりシステム価格が下落し、コスト削減型のIT投資が主流を占めている。このなかで顧客のニーズはより安く、早く、完成度の高いシステム構築に集中してきている。この変化にいち早く対応したシステムインテグレータが、将来の成長へ向けた足場を固めている構図が見えてきた。
業務ソフトのパッケージ化進む
主要システムインテグレータの2004年3月期9月連結中間業績は、ソフトのパッケージ化による業務システムの受注拡大と、得意分野へ経営資源を集中する姿勢がより顕著になった。
富士通ビジネスシステム(FJB)は、この中間期で、売上高に占めるソフト・サービスの比率が初めて6割を越えた。00年度(01年3月期)に営業赤字を出して以来、構造改革を加速、今年9月末までに全体の約11%に当たる457人を削減する一方、最新の.NETフレームワーク対応の業務システムを自力で開発。今年7月頃から本格的に成長軌道に乗り、9月末で176本、年度末までには400本の販売を見込む。
FJBの鈴木勲社長は、「この中間期で早期退職制度を廃止した。事業拡大に向けた攻めの経営をする」と、成長の足がかりをつかんだことを強調している。
伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は、ハードウェアの売上高が前年度比13.2%減の556億円にとどまった。UNIXサーバーの不振に加えて、IAサーバーも含め全体的に単価ダウンが影響した。一方、ソフト・サービスの比率は同1.8%増の608億円でほぼ横ばい。ただし、CTCでも受託型のソフト開発では「収益は得られない」(岡崎友信社長)として、業務システムのパッケージ化に傾注している。
日本ビジネスコンピューター(JBCC)は、IBMのiシリーズ(旧AS/400)の受注は伸びたが、IAサーバーの大型案件が減少したため、全体としては減収増益となった。これに対してERP(基幹業務システム)や自社業務パッケージが堅調で、これらの中核事業にリソースを集中することで通期の純利益は前年度比倍増を目論んでいる。
日立情報システムズは、SAP/R3や自治体向けの自社開発業務パッケージが好調だったものの、ソフト開発が足を引っ張り減収増益となった。堀越彌社長は、通期の業績について「ソフト開発は厳しいが、SAP R/3を利用した中堅企業向けの販売を強化する」とし、前年度並みを堅持する。
住商情報システムは、「自社開発のERPパッケージ『プロアクティブ』は盛り上がったが、銀行や生保・損保分野が落ち込んだ」(中川惠史社長)ため、減収増益となった。同社は、来年5月からJ2EE準拠の次世代プロアクティブを市場投入する準備を進めている。来年度以降は、これら新製品による売上増も期待できる。
経済産業省の特定サービス産業動態統計によれば、02年7月以降、情報サービス業界は、前年同月比マイナス基調から抜け出せていない。9月の同統計は前年同月比2.8%減と3か月連続の減少だった。アルゴ21の03年度(04年3月期)中間決算は、「大口顧客からのソフト開発受注の減少」(大岡正明社長)が響き減収減益となった。
昨年度の落ち込みから回復して増収増益となった富士通ビー・エス・シーの米山幸彦社長は、「引き続き受託ソフト開発からの脱却を急ぐ。すでに転換は進んでおり、05年度をめどに、受託ソフト開発の比率を現在の64%から60%程度に引き下げる」と話す。
一進一退の厳しい状況が続くものの、「コスト削減型のIT投資から、将来に向かってのIT投資がでてくる」(浜口友一・NTTデータ社長)と、楽観視する見方もある。ハードウェア単価の下落傾向が続くことや受託開発の値引き競争といった収益を足を引っ張る要因には事欠かない。大手と言えども体力勝負の時代に、スピードと完成度の高さを求める顧客の需要に応えることが収益向上の唯一のカギになっている。
主要システムインテグレータの構造改革の格差が広がり始めた。デフレ経済の進行によりシステム価格が下落し、コスト削減型のIT投資が主流を占めている。このなかで顧客のニーズはより安く、早く、完成度の高いシステム構築に集中してきている。この変化にいち早く対応したシステムインテグレータが、将来の成長へ向けた足場を固めている構図が見えてきた。
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