その他
富士通、SE子会社を年明け再編へ 改革が“踊り場”から次段階に
2003/11/24 21:12
週刊BCN 2003年11月24日vol.1016掲載
業績低迷の続く富士通(黒川博昭社長)が、「ソフトウェア・サービス分野」の地域SE(システムエンジニア)子会社再編に動き出す。年明けには、一部のモデル地域で再編が試行される見通しだ。同社売上高全体の約45%を占めるソフト・サービス分野の改革は、“踊り場”から次段階へ進むことになる。ソフト開発手法などで技術集約が進む本社とSE子会社が一体感を強めるためにも、地域の大規模再編は待ったなしとなった。(谷畑良胤●取材/文)
本社と地域の一体感強める
■「大ナタを振るう」可能性大
富士通のソフト・サービス分野で全国に散在する連結対象の地域SE子会社は、現在27社。これらは、同社ソフト・サービス事業全体の約4割の売上高を稼ぐ。だが、最近は地域の公共ビジネスや企業向けソリューションで採算性が悪化し、業績が下降線にあり、SE子会社の収益性確保は急務になっている。黒川新体制下で本社の「ソフト・サービス事業推進本部」内に6月設置された「タスクフォース」はこのほど、これらSE子会社の再構築・再編などに関する「素案」をほぼ固め、年内に経営陣の合意を得て結論を出す方針だ。
過去1999年10月には、関東1都6県と山梨県をエリアに持ち、同系統のビジネス展開をしていた旧SE子会社4社を合併させ、中堅企業向けシステムサポートを主体とする「富士通システムソリューションズ(Fsol)」を誕生させている。今回の再編も同様に、「製造・流通、金融などの分野に特化した事業展開をする同系統のSE子会社を合併し、ソフト開発・ソリューション展開の集中化を図る」と、再編の指揮を執る斑目廣哉・取締役専務CS担当ソフトサービスビジネス長は方向性を示唆する。
だが、「SE子会社再編」と一口にいっても、SE子会社と協業する地場の販売特約店(ディーラー)や、ソフト開発協力会社を中国に持つSE子会社などとの兼ね合いを考慮すると“一筋縄”ではないのが現状だ。それでも今年度(04年3月期)、ソフト・サービスは「期初の計画には届かない」ことが確定し、「“踊り場”に来た」(斑目専務)との判断は賢明で、一気に収益性を上げるには、「小技を使う」より「大ナタを振るう」可能性は大きい。
■有効資源を「分散から集中」へ
本社の「ソフト・サービス事業推進本部」は6月末、従来の「ソリューション事業本部」と「システムインテグレーション事業本部」の枠組みを業種別に再編した。それまでプロダクト別に事業展開していた両事業本部は、産業・流通や金融、公共など8つの業種別本部に分けられ、各事業本部に専属の営業本部を新設している。
また、業務ノウハウや開発資源を本社で統括するため、約200人の精鋭人員で「ソフト・サービス共通技術センター」を設置。業種別に開発手法や工程の「テンプレート(ひな型)」などの開発を急いでいる。
同センターの役割は、全国に散らばる有効資源を「分散から集中」へ移行させることにある。本社統括のこの機能を地域に即応させるには、業種別などにSE子会社を集約する方向性が“自明の理”といえる。富士通は年明けにも、SE子会社の再編をモデル地域を特定して「部分的に試行する」(斑目専務)方針。モデル地区では、製造・流通や医療、市町村合併など成長分野へのシフトを加速させるほか、中堅企業ビジネスを活性化する手立てを講じる考えだ。
一方、ソフト・サービス分野でもう1つテコ入れを検討しているのが海外SE会社。02年4月に欧米に拠点を持つ関連会社4社を再編し、欧州と米国に各1社を新設したが、米国が依然振るわない。このため、米国の「富士通コンサルティング」には、日本で育成したグローバル技術要員の若手数十人の派遣が検討されている。
一連の組織再構築・再編が終了すると、次に懸案の本社補完会社や地域ビジネス会社の再編も視野に入ってくる。これについて斑目専務は、「当然、やらなければならない案件」と明言。富士通の組織改革は、今年度中に「風雲急を告げる」展開となる。同社売上高の45%を占める分野だけに、手を施すなら小手先でなく、大胆な変革となるのはやむを得ない判断といえる。
業績低迷の続く富士通(黒川博昭社長)が、「ソフトウェア・サービス分野」の地域SE(システムエンジニア)子会社再編に動き出す。年明けには、一部のモデル地域で再編が試行される見通しだ。同社売上高全体の約45%を占めるソフト・サービス分野の改革は、“踊り場”から次段階へ進むことになる。ソフト開発手法などで技術集約が進む本社とSE子会社が一体感を強めるためにも、地域の大規模再編は待ったなしとなった。(谷畑良胤●取材/文)
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