その他
家庭向けパソコンの拡販 AV機能搭載が不可欠に
2004/03/15 15:00
週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載
家庭用パソコンの販売を上向かせるために、AV(音響・映像)機能を前面に押し出す動きが一段と顕著になってきた。需要が低迷するパソコンのなかで、比較的需要が高まっているのは、テレビチューナーと記録型DVDを搭載したモデル。パソコンメーカーの直系販社は、AV機能を搭載したモデルに需要が集中する傾向はアテネオリンピック開催の今年夏まで続くとみており、パソコンと周辺機器を連携した販売で拡販につなげようとしている。それは、まるでパソコンがAV機能を強化することで、薄型テレビやDVDレコーダーなどに流れる消費者の視線を引き戻すのに躍起になっているようにも見える。(佐相彰彦●取材/文)
デジタル家電との競争が激化
■ショップではAV機器が売れ筋、パソコンは厳しい状況が続く
家電量販店では、売上構成比が最も高いパソコンの販売不振が続く。その一方で、薄型テレビやDVDレコーダーなどの販売が急速に拡大しており、AV関連機器の売上構成比がパソコンに取って代わろうとしている。
多くのショップでは、デジタル家電の販売が前年同月比で約3倍に拡大する勢い。春商戦本番の3月中旬から4月中旬にかけても「売れ筋商材になることは間違いない。デジタル家電機器の売り場スペースをさらに拡張する」(さくらや新宿西口駅前店の太田泰店長)というのは、売れ筋商品に敏感なショップならば当然のアクションだ。
伸び悩むパソコンの販売については、「モバイル型のノートパソコンが善戦しているものの、2002年末から03年年初めの商戦で好調だったA4型ノートは落ち込む傾向にある」(ビックカメラ新宿西口店の塚本智明・執行役員営業部長兼店長)、「ほかの商品に比べてコーナーを広く確保しているが、厳しい状況は変わらない」(ラオックスコルトンプラザ店の植木基陽店長)、「以前のように、パソコンが売り上げを増やす“頼みの綱”ではなくなってきている」(ヨドバシカメラ新宿西口本店の松井昭二郎統括店長)と、各ショップ担当者は打つ手がないといった口ぶり。
BCNランキングによる直近6か月間におけるパソコン販売の前年同月比増減を台数ベースでみると、03年10月の家庭向けパソコンのリサイクル制度実施を控えてた9月は、わずかに駆け込み需要が起こり、デスクトップパソコンの販売が前年同月を上回るとともにノートパソコンも前年並みを維持した。駆け込み需要は期待したほど大きくなかったことが、10-11月も順調に推移したことで、パソコン市場は持ち直したかに見えた。
ところが、パソコンメーカー各社が9月から冬商戦向けの新製品投入という例年とは異なる動きを見せたことで、1年間で販売が最もピークになる12月は完全に息切れ。デスクトップ、ノートともに前年同月を下回った。
この年末商戦の異変について、パソコン専門店サイドでは、「例年と違い厳しかった」としており、その原因を家電量販店では、「薄型テレビやDVDレコーダーなどの販売は絶好調だったが、パソコンは目玉となる機種や機能がなかった」と分析している。
年末商戦では完全にアテが外れたものの、04年1月はメーカー各社が春商戦向けの新製品を発売。デスクトップ、ノートともに前年同月を上回った。しかし、今年は例年より1-2週間早く各社が新製品を市場投入。これが影響し、2月は再度、前年同月を下回る結果に。
■周辺機器との連携を強化、パソコン需要の喚起につなげる
パソコン市場は低迷しているが、その中でわずかにテレビチューナーやDVDレコーダーなどAV機能を搭載しているデスクトップは販売台数を伸ばしている。BCNランキングによれば、デスクトップについては、売れているモデルのほとんどに記録型DVDが搭載されている。しかも、テレビチューナー搭載機種については、販売台数の構成比が昨年9月時点で50.0%。今年2月では59.6%と6割程度まで上昇。これを見てもAV機能を搭載したパソコンが主流になっているのがわかる。
パソコンメーカーの直系販社は、「パソコンでテレビを視聴することに違和感がないというユーザーが増えた。AV機能を搭載したオールインワンのデスクトップパソコンならば、生活の中でさまざまな利用法を提案できる」(NECパーソナルプロダクツの由水憲治・執行役員常務)、「テレビ関連の機能が売れているのは時代の流れ。(パソコン需要が先細りする中で)このチャンスを逃がす手はない」(富士通パーソナルズの油谷榮一・取締役営業本部副本部長)としており、春商戦本番の3月中旬以降から、パソコン本来のスペックよりも、AV機能を前面に押し出した販売戦略に一段と力を入れ始める。
NECパーソナルプダクツは、DVD搭載HDDレコーダー「AX300」をこのほど発売した。同製品は、テレビに接続することでHDD付きDVDレコーダーとしてアナログ放送をHDDに録画して、さらにDVDに書き込むことができるだけでなく、パソコンとの連携で本格的なDVD編集や、チューナーなしのパソコンでもアナログ放送のテレビ番組が視聴できることが特徴だ。
量販店ではこのAX300を、主にAV機器コーナーで展示している。「パソコンとの親和性が高いことを本来はアピールしたい。だから量販店に対してパソコンコーナーで展示することも提案している」(由水常務)と、AV機器を扱っていないNECパーソナルの本音からはやや外れた展開に、戸惑っている様子。
富士通パーソナルズでは、売れ筋の22インチ型ワイド液晶モデル「FMVデスクパワーT」シリーズで、パソコン1台で薄型テレビとDVDレコーダーの機能を兼ね揃えていることを訴えている。加えて、スキャナの「スキャンスナップ」との連携により、「家庭のパソコンで、書類や名刺などビジネス資料を電子化でき、データ管理が簡単に行えることを店頭で提案する。テレビチューナーのある、無しに関わらず拡販する」(油谷営業本部副本部長)意向だが、現実的にはAV機能の有無が商品力を決定する大きな要素になっている。
ある業界関係者は、「現状では、デジタル家電がネットワークにつながっていないため、パソコンと直接競合することはない。しかし、消費者の財布は1つ。今何が必要で、どちらを購入するかという点では今後も競合する」とみている。AV機能をアピールしていけば、急成長しているデジタル家電との競争がさらに激しくなることは間違いないだろう。
シャープの町田勝彦社長は、「デジタル家電が伸びるのは、アナログからデジタルへ時代が変わりつつあり、その買い替え需要だから」という。普及率が100%近いテレビがデジタル化を睨んで薄型テレビに置き換わり、アナログのVTRがDVDレコーダーに買い替えられる。少なくとも、ユーザーにとってはパソコンより、今はDVDレコーダーなどデジタル家電の方に購入意欲が刺激されている。普及率が63%程度のパソコンの需要が伸びるとすれば、AV機能の強化がわずかに奏効しているように、これまでのパソコンに無く、デジタル家電と競合できる機能を追加するか、全く新しい、パソコンにしかできない機能が登場するしかない。
家庭用パソコンの販売を上向かせるために、AV(音響・映像)機能を前面に押し出す動きが一段と顕著になってきた。需要が低迷するパソコンのなかで、比較的需要が高まっているのは、テレビチューナーと記録型DVDを搭載したモデル。パソコンメーカーの直系販社は、AV機能を搭載したモデルに需要が集中する傾向はアテネオリンピック開催の今年夏まで続くとみており、パソコンと周辺機器を連携した販売で拡販につなげようとしている。それは、まるでパソコンがAV機能を強化することで、薄型テレビやDVDレコーダーなどに流れる消費者の視線を引き戻すのに躍起になっているようにも見える。(佐相彰彦●取材/文)
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