その他
無線タグ、05年にも実用化 家電業界がUHF帯による実証実験
2004/04/26 15:00
週刊BCN 2004年04月26日vol.1037掲載
2005年には、ICチップなどを搭載した無線タグが実用化される可能性が高い──。家電製品協会と富士総合研究所は、日本自動認識システム協会と共同で、経済産業省の委託による「家電業界における無線タグの利活用モデルの実証実験」を3月に実施した。実証実験では、従来とは異なるUHF帯の無線タグを使用。レジ業務の効率化や来店者向けサービスの向上、バックヤードの業務効率化を図るうえで、無線タグの有効性に確かな手応えがあったという。これまで実施されてきた実証実験も踏まえ、実用化に向けた取り組みで着実に成果が上がっている。(佐相彰彦●取材/文)
読み取り率向上で手応え
■UHF帯で読み取り率がアップ
今回の家電量販店における無線タグ実証実験は、店内のレジ業務関連の効率化や防犯管理、在庫情報や類似商品情報の提供といった来店者向けサービスの向上、工場や卸、倉庫などバックヤード作業の効率化などを目的に行われた。実験の場として、デオデオが五日市店(広島市佐伯区)を提供するとともに、本社(広島県廿日市市)にデモ店を設置した。
家電製品協会の山口勲技術部長は、「実証実験では、2.45ギガヘルツとUHF帯を比較しながら読み取りテストを行い、UHF帯が読み取り機能を大幅にアップできることが分かった」という。
レジ業務では電気ポットの読み取り実験を行った。2.45ギガヘルツでは、下と横の角度からは読み取れたが、上からは読み取れなかった。これに対し、UHF帯では上、下、横のどの角度からでも読み取れた。買い物カゴに入った商品の一括読み取りでは、2.45ギガヘルツが最大10個までだったのに対し、UHF帯では最大12個まで可能だった。
防犯管理については、2.45ギガヘルツでは1.1メートル幅、UHF帯では1.6メートル幅の防犯ゲートを使用。どちらもゲートの中央部を通過する際に防犯機能が作動するかを調べた。
結果、2.45ギガヘルツでは、読み取り率が歩く速度に相当する時速4キロメートル、かつ紙袋であれば100%、革のビジネスバッグで60%。「小走り」程度の時速8キロメートルでは、紙袋が80%、バッグが0%だった。一方、UHF帯はゲートの幅が広いにも関わらず、時速4キロメートルと時速8キロメートル、紙袋とバッグ、いずれの場合でも100%の読み取り率だった。
■周波数割り当てが課題に
バックヤードでの棚卸作業に関しても、45個の小型商品の読み取りが2.45ギガヘルツで平均30秒、UHF帯で平均21秒。箱が重なって無線タグが見えない場合や、読み取り用のアンテナと反対側に無線タグが貼付された場合は、2.45ギガヘルツで全く読み取れなかったものの、UHF帯では読み取り可能だった。
以前、家電業界で2.45ギガヘルツに対応した無線タグの実証実験を実施した際、実用化に向けた最大の課題は読み取り可能距離だった。今回、UHF帯を活用したことによりその距離は最大8メートル程度と、遠くからの読み取りが可能だったほか、本命だった2.45ギガヘルツ帯に比べて水分の影響を受けにくいなどの利点があることが判った。
欧米では、UHF帯の無線タグを利用することで、サプライチェーンマネジメント(SCM)やトレーサビリティなどが日本より進んでいる。
山口部長は、「業界を超えた標準化という点では、まだまだ先の話といえるが、個々の企業や各業界などの独自システムであれば、05年には実用化のめどが立つのではないか」と言い切る。
日本が乗り遅れないよう他国の先手を打ち、標準化に向けた動きを積極的に行っていくためには、早い段階での実用化が待たれるところだ。
UHF帯の周波数は、携帯電話などに割り当てられていたため、無線タグでの利用が認められていなかった。今回の実証実験は、「実験用」にUHF帯域の無線免許を交付したことで実施が可能になった。実用化に向けてのカギは、無線タグ向けにUHF帯の周波数割り当てが制度化されるかどうかにかかっている。
2005年には、ICチップなどを搭載した無線タグが実用化される可能性が高い──。家電製品協会と富士総合研究所は、日本自動認識システム協会と共同で、経済産業省の委託による「家電業界における無線タグの利活用モデルの実証実験」を3月に実施した。実証実験では、従来とは異なるUHF帯の無線タグを使用。レジ業務の効率化や来店者向けサービスの向上、バックヤードの業務効率化を図るうえで、無線タグの有効性に確かな手応えがあったという。これまで実施されてきた実証実験も踏まえ、実用化に向けた取り組みで着実に成果が上がっている。(佐相彰彦●取材/文)
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