その他
IT業界の期待高まる、大容量HDD「iVDR」 第1号製品がアイ・オー・データから発売
2004/05/03 15:00
週刊BCN 2004年05月03日vol.1038掲載
パソコンからAV(音響・映像)機器まで幅広い用途に利用できる大容量でコンパクトなリムーバブルHDD(ハードディスク装置)の新規格「iVDR」に対応した第1号製品が、4月下旬に販売開始された。2002年3月からiVDRの標準化規格を検討していたiVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム(日置敏明代表)は、今年を「iVDR元年」と位置づけ本格的な普及を目指す。年内にはパソコンの外付けHDD用途として、数社が参入する予定だ。現段階では、DVDなど他の記録メディアに比べ価格が高く、コンテンツ販売会社の承認が得られていない状況にもあるが、2-3年後には200-400ギガバイトまで容量アップが予定されており、多用途に利用可能なiVDRに対するIT機器メーカーの期待は大きい。(谷畑良胤●取材/文)
コンテンツ販売会社との交渉が課題に
■量販店などから注文が殺到
パソコン量販店には4月下旬から、世界初となるiVDR対応製品が並び始めた。アイ・オー・データ機器のUSB2.0/1.1接続アダプター「USB2-iVDR/20」と、メディア単体の「iVDR-20」のリムーバブルHDD関連の新製品だ。この製品は、3種類あるiVDRのハード仕様のうち「iVDR-mini」(1.8インチドライブ)に準拠し、容量は20ギガバイトと記録メディアのDVD-RWと比べ約4倍と大きい。
アイ・オー・データ機器は、「年内は月ベースで500台程度の販売を見込んでいるが、販売前からそれを超える勢いで量販店やディストリビュータから注文が殺到。大容量が魅力でパソコンユーザーからのニーズが相当高そう」(北村泰紀・ネットワークソリューション事業部ソリューショングループ主任)と、予想以上の反響に驚いている。
iVDRハードディスクドライブコンソーシアムの日置代表(三洋電機デジタルシステム技術開発センタービジネスユニットBBSプロジェクトマネージャー)は、「まだ価格が高いため、家庭用ではなく、ビジネス向けのパソコン利用にまず広がるだろう。ただ、突破口は開かれた」と、アイ・オー・データ機器以外のiVDR対応製品が年内に順次発売されると見通しを語る。
iVDRは、02年3月に同コンソーシアムが発表したリムーバブルHDDの新規格。パソコンとAV機器とのデータ共有を想定して開発された。これまでにiVDRの標準仕様として、2.5インチの「iVDR」と1.8インチの「iVDR-mini」、1インチの「iVDR-micro」の3種類がラインアップされた。
4月にはコンテンツ保護機能を実現する規格「iVDR-Secure」が策定され、iVDR同士のコピー回数や他メディアへ記録するムーブの回数など、コピー制御や利用期間などが、コンテンツ提供者側で制限できるようになった。データはiVDRへの記録時に暗号化され、他人が情報を取り出せない仕組みだ。「2-3年後には、内蔵HDDのないパソコンやiVDRを差し込むコネクターを持つテレビが登場し、iVDRで大量のデータを持ち歩く時代が来る」(日置代表)と期待する。
同コンソーシアムには現在、富士通や三洋電機、日立製作所のほか、iVDRの利用メリットを享受できそうなカーナビ大手など38社が参加。なかでも、iVDRを、情報・通信とユビキタスを結びつける重要な記録メディアと位置づける日立グローバルストレージテクノロジーズは、「パソコンの周辺機器や複数のHDDを1台のHDDで管理する技術『RAID』を利用したホームサーバーという形で、まずは広がるだろう」(森部義裕・企画管理部長)と予測。年内にもパソコン周辺機器向けのiVDR対応製品を発売する考えだ。
■DVDやMOの代替の可能性も
日立グローバルストレージテクノロジーズは、チューナー部分にiVDRを組み込んで録画・再生機能を備えたプラズマテレビや、音楽をiVDRにダウンロードできるコンビニエンスストア用端末など、放送・音楽関連の製品を検討中だ。
だが、iVDRには、コピーワンス(1回だけ録画可能)のデジタル放送を録画する制御規格「CPRM(コンテンツ・プロテクション・フォー・メディア)」が備わっていない。同コンソーシアムでは、「iVDR-Secureの枠組みを利用した制御方法を提案し、コンテンツ販売会社や放送局などに理解を求めている」(日置代表)と、話し合いを進め、コンテンツ販売会社1社と合意したという。
日立グローバルストレージテクノロジーズの森部部長は、「この課題さえ解決できれば、当社のユビキタス戦略の中核HDDになる」と、事態の打開に期待を寄せる。
iVDRは、現在20-40ギガバイトの容量が、2-3年後には200-400ギガバイトに拡張できる見通し。対応製品が出たばかりで価格も高く手を出しにくいが、値頃感が出てくればDVDやMD、MOなどの記録メディアに代わり、ビジネス向けや家庭利用でも普及しそうだ。
パソコンからAV(音響・映像)機器まで幅広い用途に利用できる大容量でコンパクトなリムーバブルHDD(ハードディスク装置)の新規格「iVDR」に対応した第1号製品が、4月下旬に販売開始された。2002年3月からiVDRの標準化規格を検討していたiVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム(日置敏明代表)は、今年を「iVDR元年」と位置づけ本格的な普及を目指す。年内にはパソコンの外付けHDD用途として、数社が参入する予定だ。現段階では、DVDなど他の記録メディアに比べ価格が高く、コンテンツ販売会社の承認が得られていない状況にもあるが、2-3年後には200-400ギガバイトまで容量アップが予定されており、多用途に利用可能なiVDRに対するIT機器メーカーの期待は大きい。(谷畑良胤●取材/文)
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