その他
激化する次世代メディアの規格争い 再生で巻き返すHD DVD陣営
2004/09/13 15:00
週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載
次世代大容量ディスクを巡る争いがいよいよ本格化し始めた。すでに、ソニー、松下電器産業からレコーダーが投入されている「Blu-Ray(ブルーレイ)」陣営に対し、やや動きが遅れていた感があった「HD DVD」陣営が、ここにきて急速に動きを活発化。HD DVDの書き換え用であるリライタブル規格が、9月にはDVDフォーラムで承認提案が行われるほか、メディアプレスメーカーのメモリーテックによるメディア量産体制の確立、三洋電機の陣営参加の発表など、体制整備が加速している。録画利用を前面に打ち出し先行したブルーレイ陣営と一線を画すように、再生利用を基本戦略に据えるHD DVD陣営との差が、熾烈な争いの前哨戦にどう影響するのだろうか。(大河原克行(フリージャーナリスト)●取材/文)
録画で先を行くブルーレイ
■ソニー、松下が先行するブルーレイ
次世代ディスクの規格争いは、明らかにブルーレイ陣営が先行したといえるだろう。
ソニーが昨年4月にブルーレイレコーダーを発売したのを最初に、今年7月にはオリンピック需要を見込んで松下電器がブルーレイレコーダーを月産2000台という強気の計画で投入。8月には、ブルーレイディスクファウンデーションが、BD-ROMの物理フォーマット バージョン1.0を承認したことで、今後、これに準拠したBD-ROMの本格的な生産ラインの立ち上げが可能になる。
これに対してHD DVD陣営は、中核的存在ともいえる東芝から、対応プレーヤーが投入されるのが来年以降とされ、やや出遅れ感があったものの、今年6月に再生専用規格としてVer1.0を発表。さらに、書き換え用のリライタブル規格が9月にはDVDフォーラムで承認提案が行われるほか、1回書き込みが可能なHD DVD-Rも、8月中にはフォーラム内部でほぼ規格が固まり、同様に今後、承認提案が行われるといった動きが出てきた。
NECの早瀬亮一・第一ストレージ事業部統括マネージャーは、「ビデオ規格についても順調に策定が進んでおり、今後6か月でほぼすべての規格が固まることになる。来年度のHD DVDの製品投入、事業立ち上げが明確に見えてきた」と話す。
さらに、三洋電機がHD DVD製品の投入および部品供給を発表したほか、ポニーキャニオンがHD DVD向けソフトを2005年に発売することを発表。さらに、マイクロソフトも次期OS「ロングホーン」でHD DVDへのコミットを宣言した。関係筋によると、今後、ハリウッドをも巻き込んだ動きが表面化しそうで、急速に動きが進展している。
■DVDとの互換性が強み
HD DVDの最大の特徴は、現行DVDとの互換性が高い点だ。
メディアプレスメーカーであるメモリーテックの川崎代治社長は、そのメリットを次のように語る。
「ブルーレイは新たな生産設備投資が必要になるのに対して、HD DVDは、DVDの生産ラインをそのまま生かせる。プレスメーカーにとってそのメリットは大きい」
同社は、今年5月につくば工場(茨城県明野町)内にDVDとHD DVDの兼用生産ラインを2つ設置。さらに、9月には関連会社の甲府メモリーテックの甲府工場(山梨県南アルプス市)を3ライン体制とし、10月中旬には、次世代となる生産ラインをつくば工場に1ライン設置。これにより、HD DVDだけで月産300万枚の量産体制を確立するという。
年末には依然としてDVDメディアの生産が集中傾向にあることから、この需要に対応しながら次世代メディアにも対応できる生産ラインを確立できる点は確かに大きなメリットだろう。
当然、これはメディアの生産コスト削減にもつながる。この点でもコンテンツホルダーを巻き込みやすい環境にあるといえる。
主要なAV(音響・映像)機器ベンダー、パソコンハードベンダーは、ブルーレイへと参加したが、HD DVD陣営は、コンテンツホルダーやマイクロソフトを巻き込むことに成功した。そのHD DVD陣営の次の一手が規格争いを激化させるのは間違いない。
次世代大容量ディスクを巡る争いがいよいよ本格化し始めた。すでに、ソニー、松下電器産業からレコーダーが投入されている「Blu-Ray(ブルーレイ)」陣営に対し、やや動きが遅れていた感があった「HD DVD」陣営が、ここにきて急速に動きを活発化。HD DVDの書き換え用であるリライタブル規格が、9月にはDVDフォーラムで承認提案が行われるほか、メディアプレスメーカーのメモリーテックによるメディア量産体制の確立、三洋電機の陣営参加の発表など、体制整備が加速している。録画利用を前面に打ち出し先行したブルーレイ陣営と一線を画すように、再生利用を基本戦略に据えるHD DVD陣営との差が、熾烈な争いの前哨戦にどう影響するのだろうか。(大河原克行(フリージャーナリスト)●取材/文)
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