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富士通、SOA対応のウェブアプリ発売へ 有力ISVと協業し日本IBMに対抗
2004/09/20 21:12
週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載
富士通(黒川博昭社長)は、「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」対応を具体化したウェブアプリケーションサーバーの最新バージョン「インターステージV7」(仮称)の概要を年末までに発表する。可能な限り富士通内外の有力ソフトウェアやアプリケーションを再利用して組み込む。機能が増強されるインターステージV7を牽引役として、国内外のミドルウェア市場で富士通製ソフトを成長軌道に乗せる。さらにSOA対応を表明することで、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)の囲い込みを強化しようとしている日本アイ・ビー・エム(日本IBM)などに対抗する。(谷畑良胤●取材/文)
国内外のミドルウェア市場で成長軌道目指す
■企業内外のデータを連携・統合
インターステージは、現行バージョンでJ2EEやXML、.NETなど主要なオープン技術をベースにして、企業内外のデータをウェブサービスでスピーディに連携・統合できる。インターステージV7では、多くの他社ソフトやアプリケーションをすでに組み込んでおり、標準的なインターフェイスを持つ再利用可能なソフトを組み合わせてシステムを構成する「SOA」に対応した統合基盤が登場する見通しだ。
同社は今年1月、パソコンや携帯電話、PDA(携帯情報端末)など、企業情報システムで使用されるデバイスへの情報配信を管理・統合するミドルウェアとして、「インターステージ・リアルタイムコミュニケータ」を発表。インターステージV7は、この技術なども踏襲している。今後ビジネス利用が見込まれる次世代端末に対応する統合基盤の構築も可能になる。富士通では、基幹系のERP(統合基幹業務システム)、CRM(顧客情報管理)などのソフトベンダーだけでなく、ユビキタス環境で利用する次世代端末を対象としてアプリケーション開発するベンダーとも協業体制を強化していく。
すでに、こうしたミドルウェア戦略を補完するパートナー戦略として、同社が掲げるIT基盤「トリオーレ」を適用した支援プログラムを展開している。
この一環として、パートナーが開発した業務ソフトと同社のハード・ソフト製品を組み合わせるために、事前動作検証を行って動作を確認し、富士通とパートナーが共同で、統合基盤となる「Pi(ピーアイ)テンプレート」を開発、提供するエンタープライズ向けプログラムを昨年開始。さらに今年6月には、年商30-300億円の中堅企業向けにも同じ内容で、「パートナーアリーナ」と呼ぶ支援プログラムを始めた。
同社では、Piテンプレートを企業規模や業種・業態に応じて数多く開発し、販売会社で100%子会社の富士通ミドルウェアやパートナーを通じて販売していく考えだ。さらに、インターステージを中核に他社製ソフトとのセットやバンドルの販売も行い、独自のパートナーを通じて富士通直販以外の「オープン市場」にも提供していく。
ミドルウェア戦略を担当する棚倉由行・経営執行役ソフトウェア事業本部長は、「企業内の情報と社外のユビキタス端末から得た情報を連携・統合し、インターステージを基盤に専用のミドルウェアで統計分析して経営戦略を立てる。こうした活用を想定して、富士通パートナーと共に企業のIT化を進展させる」と、有力ISVとの提携関係をさらに深めていく方針だ。
■.NETやCOBOLなどにも対応
既存のインターステージは今年6月までに、国内で累計14万2000サーバーを出荷。国内のウェブアプリケーションサーバー市場では、03年が33%でトップシェアを獲得して2位以下の日本IBMやBEAシステムズを10ポイント以上引き離した。だが、海外シェアは5%でBEAシステムズやオラクル、サン・マイクロシステムズに次いで4位(いずれもガートナー調べ)と後塵を拝している。
富士通では、インターステージV7の波及効果で国内販売を今年度中(2005年3月期)に20万サーバーまで伸ばし、来年度の大幅増に向け弾みをつける。海外では、シェアを2倍の10%にして、オラクルを抜き3位に成長させることを目指している。
同社は今年度から、直販とチャネル販売の体制を大幅に見直しているが、インターステージを中核にしたPiテンプレートなどが多数完成することで、「業種・業態、企業規模のルート別にソフト商品が鮮明になり、ミドルウェアの技術も共有化が進む」(棚倉経営執行役)見込みで、製品出荷のスピードアップにも貢献することになる。
ウェブアプリケーションサーバーのSOA対応では、日本IBMが「ウェブスフィア」、日本BEAシステムズが「ウェブロジック」などで製品化した。しかし、両社ともJava環境でのSOA対応で、富士通のインターステージのように.NETやCOBOLなどに対応していない点で違いがある。そのために、日本IBMや日本BEAシステムズの場合は、ISVのソフトと組み合わせるために、ソースコードの整合性や検証に時間を要するという指摘もある。富士通がミドルウェア市場で成長軌道を描くには、こうしたISVの不安をいかに取り除けるかがカギを握っている。
富士通(黒川博昭社長)は、「SOA(サービス指向アーキテクチャ)」対応を具体化したウェブアプリケーションサーバーの最新バージョン「インターステージV7」(仮称)の概要を年末までに発表する。可能な限り富士通内外の有力ソフトウェアやアプリケーションを再利用して組み込む。機能が増強されるインターステージV7を牽引役として、国内外のミドルウェア市場で富士通製ソフトを成長軌道に乗せる。さらにSOA対応を表明することで、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)の囲い込みを強化しようとしている日本アイ・ビー・エム(日本IBM)などに対抗する。(谷畑良胤●取材/文)
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