PCビジネスは改善、不採算案件減少へ
利益面では好不調で大きな格差
大手電機メーカー各社の05年度(06年3月期)中間決算が出揃った。減収減益と業績が不振だったメーカーもあるが、薄型テレビの販売が依然として好調なことや、これまで不調だったパソコン事業が改善していること、ソフトサービス部門で問題となっていた不採算案件が減少するなど明るい話題も多い。(佐相彰彦●取材/文)
■東芝はPC事業の回復で増収増益 ソニーもノートが好調 パソコン事業の回復で堅調に業績を伸ばしたのは東芝。05年度中間連結業績は、売上高が2兆9001億円(前年同期比4.3%増)、営業利益513億円(同1.4%増)、税引前利益421億円(同95.4%増)、最終利益が146億円(同74.8%増)という結果だった。笠貞純副社長は、「パソコンビジネスが第1四半期に続き黒字を確保した」と、業績が順調だった理由を挙げる。パソコンビジネスは、売上高3838億円(前年同期比4.3%増)、営業利益14億円(前年同期は72億円の赤字)。これにより、デジタルプロダクツ事業は売上高1兆1629億円(前年同期比9.2%増)、営業利益66億円(前年同期は128億円の赤字)になった。
ソニーは、05年度中間期ベースで主力のエレクトロニクス部門が売上高2兆1137億円(前年同期比7.6%増)、営業損益190億円の赤字(前年同期は153億円の黒字)と厳しい状況が続いたため、05年度中間連結決算で売上高3兆2624億円(前年同期比1.6%減)、営業利益506億円(同4.7%減)と不振に終わった。しかし、パソコンなどの情報・通信ビジネスは売上高が3671億円(同1.2%減)、営業利益が149億円(前年同期は9億円の赤字)に好転した。なかでも、第2四半期には「ノートパソコンの販売が順調に増えていることに加え、コスト削減効果も出てきた」(湯原隆男・コーポレート・エグゼクティブ)ことが、パソコン事業の回復につながった要因と強調した。
NECは、携帯電話などモバイルビジネスと半導体ビジネスが低迷したことが響き、05年度中間業績が売上高2兆2330億円(前年同期比3.0%減)、営業利益129億円(同78.1%減)、税引前利益284億円(同60.4%減)、最終利益164億円(同34.8%減)と減収減益だった。
しかし、パソコンの出荷台数については順調で前年同期に比べ10万台増の141万台に達した。これに伴い、IAサーバーが前年同期比17%増、UNIXサーバーが同7%増となるなど、企業向けビジネスのハードウェア販売が好調に推移した。
富士通は減収増益。パソコン出荷台数については、05年度中間期の時点で前年同期比13.3%増の367万台に増えている。
■懸念材料だった不採算案件 減少で利益が大幅アップ 04年度に各社が懸念材料としていたシステム開発での不採算案件については、プロジェクトの管理を強化、利益重視を徹底することで減少している企業が増えている。
日立製作所では、情報通信システム事業のハードビジネスが売上高5842億円(前年同期比2.9%減)、営業損益138億円の赤字(前年同期は58億円の黒字)と赤字に転落。ところが、昨年度に432億円程度あった不採算案件の損失額が、「大幅に減った」(三好崇司・執行役専務財務部門長)ことから、ソフト/サービスビジネスが売上高4729億円(前年同期比0.6%増)、営業利益370億円(同60.2%増)と大幅に増加。情報通信システム事業は売上高1兆571億円(同1.4%減)、営業利益が232億円(同19.7%減)だったものの、ハードの赤字をソフト/サービスで補い、業績悪化を最小限に食いとどめた。
富士通では、テクノロジソリューション分野でシステムプラットフォーム事業が売上高3326億円(前年同期比2.2%増)の微増、営業利益で35億円(同30.6%減)と利益面で厳しい状況。しかし、「不採算プロジェクトが全くなくなったわけではないが、損失が大きく減ったことによる影響などで利益は大幅に改善した」(小倉正道取締役専務CFO)ことから、システムインテグレーション中心のサービスビジネスが売上高1兆114億円(同2.3%増)、営業利益で393億円(同185.8%増)に成長した。
企業がIT投資に前向きな意欲を見せるなどIT景気が緩やかに回復を遂げるなか、各社の業績に差が出始めている。売上高、利益ともに成長するためには、市場の成熟度合いや価格競争など、厳しい状況を強いられたビジネスをいかに克服できるかが決め手になる。先行き不透明感が続いていたパソコンビジネスは、なんとか拡大に向けた糸口が見えてきたといえる。システム開発面についても、受注基準の見直しやプロジェクト管理の徹底などで不採算案件の発生を未然に防止できるようになり、利益は確保できるようになってきた。
 | 依然として好調な薄型テレビ | | | | | 液晶テレビやPDP(プラズマディスプレイパネル)など薄型テレビは、デジタル映像需要の高まりから、依然として好調な売れ行きをみせている。 松下電器産業では、05年度中間期で映像・音響ビジネスの売上高が7444億円(前年同期比1.7%増)と堅調に推移した。PDPの利益率については、「生産が倍々ゲームで拡大してきたことで、(量産効果による)材料費の圧縮が進むととともに、歩留まりも90%まで向上した」(中村邦夫社長)と、順調に改善している理由を挙げる。 シャープでは、30型以上の大型液晶テレビや携帯電話などの好調が寄与し、05年度中間連結業績で売上高が1兆3355億円(前年同期比6.2%増)と過去最高を達成。「液晶テレビ市場では、 |  | 20%程度の売価下落があったものの、国内では低消費電力や高精細画面などで『アクオス』ブランドが市場に認知されている。他社製品より高価格でも売れた」(佐治寛副社長)と、利益も伸びていることをアピールした。AV(音響・映像)機器を含めたエレクトロニクス機器分野は、売上高で8373億円(同7.0%増)、営業利益で296億円(同7.0%増)と収益が拡大した。 三菱電機では、「フラットディスプレイの販売が好調だった」(佐藤行弘・専務執行役員)ことから、05年度中間連結決算が売上高1兆6478億円(前年同期比2.5%増)と増収、利益面でも営業利益が460億円(同6.3%増)、税引前利益507億円(同58.4%増)、最終利益291億円(同52.5%増)と増収増益で推移した。 | | |