その他
中堅企業向け内部統制ビジネス 今やるべきことはこれだ! 準備段階の“プレ需要”獲得へ
2006/09/25 14:53
週刊BCN 2006年09月25日vol.1155掲載
「金融商品取引法(通称:日本版SOX法)」の成立(今年6月)を受けて、内部統制の確立は、上場企業と連結決算対象会社にとって至上命題となった。ただ、実施基準の公表は遅れており、具体的な対応に動いているのは、一部の大企業にとどまるという。それ以外はほとんど静観している状況で、ITベンダーの実ビジネスにはそれほど結びついていないのが実態のようだ。日本版SOX法の適用は、2008年4月1日以降に始まる事業年度から。早ければ、今秋にも実施基準が公表される見通しで、上場する中堅企業の取り組みはまさにこれからが本番。中堅企業をメイン顧客に据えるSIerは本番でのシステム構築の糸口をつかもうと、準備作業に必要な現状把握や問題点の洗い出しなどコンサルティングの受注に動き始めた。(木村剛士●取材/文)
コンサル業務で本番の糸口つかむ
システム構築は07年度以降
■遅れる対応 まだ準備段階に
「内部統制の仕組みを確立するための具体的な動きは、予測していたよりも遅い」──。中堅企業をターゲットに置く日本IBM系SIer、日本ビジネスコンピューター(JBCC)の鈴木重保・理事・コンサルタント事業部エグゼクティブ・コンサルタントは、ユーザー企業の内部統制への対応状況についてこう話す。「大企業はすでに動いているが、中堅レベルはこれから。実施基準の公表遅れなどが原因で、4月に予想していたよりも対応は進んでいない。この秋以降に内部統制関連ビジネスの本格的な商戦期を迎える」。
同じく、中堅企業をメイン顧客に据える日立系SIer、日立情報システムズの長島孝善・経営企画本部販売企画部部長代理兼内部統制プロジェクトアライアンスリーダーも「半数は勉強レベル。まだ具体的な作業には取り掛かっていない」として、内部統制ビジネスの本格的な商戦期は今年後半以降とみる。
米SOX法の影響で日本でも1-2年前からにわかに騒がれ始めた内部統制だが、その必要性が盛り込まれている日本版SOX法の成立は今年6月7日で、まだ約3か月しか経っていない。具体的な対応ガイドラインを定めた実施基準も、発表されていないことから、中堅企業は静観の姿勢を示す傾向が強い。
しかし、適用は08年4月1日からの事業年度であり、現段階ですでに対応までの時間は2年をきっている。具体的な対応はまだこれからというものの、「組織づくりや費用の調査など、準備は進め始めている」(JBCCの鈴木理事)という。早ければ今秋にも公表される実施基準に合わせ、一気にビジネスに火がつく可能性がある。
■手始めは業務プロセス文書化
今年4月、JBCCは内部統制ビジネスを本格的に立ち上げるためのプロジェクトチームを鈴木理事を中心に結成している。「ゼロからすべてやって欲しいという要望に応えられるだけのメニューと体制は整った」(鈴木理事)。今の段階では、業務フローの文書化などIT以外のコンサルティングサービスが需要の中心。実際に内部統制関連のツールや、それを組み込んだシステムが売れている状況ではない。だが、来年以降、「業務可視化ツールやログ収集管理ソフト、アクセス権限ツールなどの需要が盛り上がる」と期待を示す。
日立情報システムズも、内部統制ビジネス強化のための専門部署を今年1月に組織化した。上場企業のうち、売上高が500-5000億円の約1000社をメインターゲットに選定。このターゲット企業に向けて営業活動を展開中だ。
日立情報はITによる内部統制の提案よりも、業務プロセスの文書化支援サービスを提案の骨子に据える。今年1月から顧客の声を集めたうえでの結論で、「当社のターゲットである中堅企業は、まずは大前提の文書化に着手している段階。内部統制をITで実現しようと考えるのは、07─08年度になるだろう」と長島部長代理は予測する。10年度(11年3月期)までの4年間で、内部統制関連の製品・サービスを400社に提供し、100億円の売り上げを狙う。
中堅企業向けの内部統制ビジネスの糸口として、現時点で各社が注力するのは、ITによる仕組みづくりよりも、その前段階の業務プロセス作成、現状把握、問題点の洗い出しなどのコンサルティングサービスが中心となりそうだ。
この“プレ需要”段階で実績を積めば、本命であるIT全般統制などにつながる優位性を確保できることになる。
SIerの得意領域ではないものの、コンサルティング分野での営業担当者やSEのスキル向上、そして監査法人や経営コンサルタント会社とのアライアンスが現段階の需要に対応するためのカギになる。
「金融商品取引法(通称:日本版SOX法)」の成立(今年6月)を受けて、内部統制の確立は、上場企業と連結決算対象会社にとって至上命題となった。ただ、実施基準の公表は遅れており、具体的な対応に動いているのは、一部の大企業にとどまるという。それ以外はほとんど静観している状況で、ITベンダーの実ビジネスにはそれほど結びついていないのが実態のようだ。日本版SOX法の適用は、2008年4月1日以降に始まる事業年度から。早ければ、今秋にも実施基準が公表される見通しで、上場する中堅企業の取り組みはまさにこれからが本番。中堅企業をメイン顧客に据えるSIerは本番でのシステム構築の糸口をつかもうと、準備作業に必要な現状把握や問題点の洗い出しなどコンサルティングの受注に動き始めた。(木村剛士●取材/文)
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