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丸紅インフォ 中期計画を策定 2010年度に最終利益5億円へ
2008/03/31 21:10
週刊BCN 2008年03月31日vol.1229掲載
2007年度(08年3月期)の見通しを含め、3期連続赤字と不振が続く丸紅インフォテック。赤字からの脱却を目指し、来年度以降の3か年中期経営計画を打ち出した。現実を見据え、2010年度決算で5億円の黒字と堅実な目標を設定している。今後3年間で黒字体質の会社に変えることが最大のテーマだ。(佐相彰彦●取材/文)
黒字体質の会社に変える!
■08年度で赤字から脱却
今年度通期の最終損益予想はマイナス13億6000万円。赤字が続く見通しだが、昨年度の実績と比べれば赤字幅が縮小するのは間違いないようだ。最終損益をマイナス14億5000万円と見込んだ昨年11月時点の通期予想と比較してもマイナス幅は縮小するとみられる。天野貞夫社長は、「今年度下期以降、売上高が前年比10%増程度で推移している。売上高が増加したことが赤字幅の縮小につながっている」と状況を説明する。売上見通しについても、通期予想を1482億円から1515億円へと上方修正している。
同社は、昨年6月から“天野体制”となり「今年度中に赤字要因となる“ウミ”をすべて出し切る」という社長号令の下、抜本的な改革を実施している。在庫処分を含めた広い意味でのリストラをはじめ、親会社である丸紅の100%子会社になることを決断。昨年11月には上場廃止にも踏み切っている。
天野社長が丸紅本体からトップに抜擢された点では、丸紅インフォテックの意思というより本体主導の強引な改革との見方が強かった。グループ会社の社長経験を豊富にもち、営業権譲渡やM&Aなどの交渉ごとはお手のものだが、社長就任当時「IT流通は分からない」と話していた天野社長なだけに、丸紅インフォテックをまったく別の会社にしてしまうのではないかという声も業界では囁かれていた。しかし、実際には「当社の幹部と会社の方向性を十分に話し合った」としており、社員に対して危機的実情をきちんと説明したようだ。親会社とも協議し、“橋渡し役”も果たした。同社を「黒字の出せる正常な企業に生まれ変わらせたい」との考えが社内に浸透したからか、「予想以上にビジネスが順調」、成長軌道に乗り始めたというわけだ。中期経営計画に関しても、「営業や管理などの責任者を含めて、15人弱の意見を取り入れて策定した」としている。
■組織再編など4施策を骨子に
では、成長路線の構築に向けてどのような戦略を打ち出したのか。骨子として「効率的なサプライチェーンの実現」「攻めの販売組織への変貌」「新たな付加価値創造への挑戦」「人材の育成・確保および人事制度の見直し」の4つに焦点をあてている。
サプライチェーンでは、3か所の物流拠点を2か所に集約。これにより、「3割程度の物流コスト削減につながる」という。販売面では、社内組織として営業統括部などの新設による組織横断的なビジネスを推進していくほか、MD(マーチャンダイジング)本部の体制見直しで計画的な在庫圧縮を実施、各組織にマーケティング機能をもたせるなど有機的な戦略立案の強化を図る。販路については、全国網をもつ大手販社や技術力を持ったSIerなどとパートナーシップを深めていく。
新しいビジネスについては、ECやリユース・リサイクルなどを拡充する。また「新事業に積極的な投資を行う」としている。人事制度については詳細なメニュー化を進めている。
ディストリビュータを取り巻く環境はハードウェアやパッケージソフトの低価格化が進み、決して良好な情勢ではない。同社に限らず、業績不振に悩むディストリビュータが多いのが実情だ。そんななか、同社では中期経営計画の最終年度となる2010年度に売上高1671億円、最終損益5億円の黒字を目指している。
中期経営計画の目標は決して高いとはいえないが、天野社長は「生き残るためには、黒字体質の基盤を整えなければならない」必要性を説く。当たり前に利益をあげる会社に生まれ変わることが今回の中期経営計画だ。これが達成できれば、「規模拡大も検討できる」(天野社長)としている。
2007年度(08年3月期)の見通しを含め、3期連続赤字と不振が続く丸紅インフォテック。赤字からの脱却を目指し、来年度以降の3か年中期経営計画を打ち出した。現実を見据え、2010年度決算で5億円の黒字と堅実な目標を設定している。今後3年間で黒字体質の会社に変えることが最大のテーマだ。(佐相彰彦●取材/文)
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