根強い「オフコンのニーズ」
オフコンを中心に機器販売やソフト開発を手がけている日本IBM販社が「IBMiマニフェスト」を宣言した。「IBMiマニフェスト委員会」を設置、賛同企業を募って積極的に活動を進めている。なぜ、今になってオフコンをアピールすることになったのか。目指す道は何なのか。委員会の中核として活動しているSIerに話を聞いた。

「IBMiマニフェスト委員会」に賛同したSIerのなかで、中核はミガロとトッパンエムアンドアイの2社。加えて、日本IBM関連の販社団体でいくつか代表や理事などを務めている三和コムテックの柿澤晋一郎社長が委員会をフォローしている。
委員会を設立した理由について、ミガロの上甲將隆社長は「AS/400は時代とともに名称が変わっているものの、昨年で20周年を迎えている。これを機に、改めて日本IBMと販社であるわれわれがユーザー企業に対する保守などサービスを拡充しなければならないと判断したため」としている。
「AS/400」の歴史を振り返ると、2005年に「IBMi V6R1」と名称が変わり、今では「IBM Power Systems」として新しいハードウェア・プラットフォームに生まれ変わっている。メーカーが先進技術を駆使して新しいプラットフォームを市場投入するのはいいが、「一方に従来のプラットフォームで満足しているユーザー企業も数多くいる。そのユーザー企業が懸念しているのは、メーカーのサポートが切れるのではないかということだ。そこで『マニフェスト』という言葉を使い、ユーザー企業の不安を取り除く」と、三和コムテックの柿澤社長はアピールする。そのような経緯から、賛同企業を募ることにしたのだ。募集の仕方は「ダイレクトメールを送る方法をとった」(ミガロの上甲社長)という。委員会での具体的な取り組みとして、まずはPR活動を重視することを目的に、賛同企業から1社あたり10万円程度を集め、日本経済新聞に賛同企業71社の連名で全面広告を掲載。その際には日本IBMも「協力」という形で委員会の活動を支援することとなった。

日本IBMのオフコンを導入している国内のユーザー企業数は、1万2000社程度といわれている。そのユーザー企業と日本IBMのオフコン販社は、「長くつき合っており、パートナーシップを築いているようなもの」と、三和コムテックの柿澤社長は語る。また、「時代の流れをみると国内オフコン市場は縮小傾向だが、ニーズは決してなくならない。ユーザー企業のニーズがある限り、マーケットを広げていきたい」との考えを示している。さらに、世界同時不況が米国から国内IT業界にまで波及しつつあるなか、「“日本発”の取り組みとして、わが国が元気であることをアピールしたい」との考えもあるようだ。オープン化が主流になっている現在、時代と逆行する動きのようにもみえる。とはいえ、変わらざるものもある。今回のIBMiマニフェスト委員会の動きには、既存顧客に適した製品・サービスの提供により生き残ろうとする姿が垣間見える。(佐相彰彦)