DCへの提供で大型案件に乗り出す
組立パソコンやPCパーツの専門店「ドスパラ」を展開するサードウェーブ(尾崎健介社長)は、法人向け事業を順調に伸ばしている。今年度(2009年7月期)は利益が2ケタ成長する見込みだ。同社が法人顧客として獲得しているのは研究所などニッチ領域。大手サーバーメーカーが掘り起こせない市場で、需要をつかんでいる。今後は、データセンター(DC)向けインテグレーションにも着手する方針だ。
法人向け事業が順調に推移しているのは、「サーバーをベースとしたインテグレーションビジネスに力を入れ始めたため」(大場光祐・法人事業部長)という。これまでは、パソコンなどクライアント端末と、端末に付随する周辺機器などをメインに売っていたのだが、「当社は、システム構築で差別化できる技術者を揃えている。その技術者を生かさない手はない」と考え、サーバーを主力製品に据えるようになった。

同社のインテグレーションで特徴的なのは、販売が難しいといわれているサーバーを扱っている点だ。インテル製「モジュラーサーバー」がその一例である。同製品は、シャーシ型でサーバーとストレージ機器、ネットワーク機器を1台に統合することが可能。拡張性が高く、最大6台のサーバーを搭載できるほか、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)や統合型イーサネットスイッチとして提供することもできる。この統合型システムを研究所など最新技術を求めるユーザー企業に導入するのだ。一方、「一般オフィスでは、サーバーに詳しいシステム管理者が存在する企業から案件を獲得している」。主に開拓しているのはSMB(中堅・中小企業)で、大企業の1部門に導入するケースもある。
サーバービジネスは厳しい環境に置かれており、タワー型では利益が確保できないという状況に陥っている。最近は、ブレード型にも低価格化の波が押し寄せ、サーバーを担ぐ販社にとって厳しさが増している状況だ。
しかしサードウェーブの場合は、他社が扱えないサーバーを前面に押し出してユーザー企業を獲得。それだけではなく、「各顧客の要請に応じてカスタマイズを行っている」というのが強みだ。ハードウェア自体の価格については、「大手サーバーメーカーよりも安い」。つまり、カスタマイズによるインテグレーションによって利益確保を果たしているというわけだ。
今後は、「DCに対してもシステムを提供する」ことを計画している。DCがSaaSビジネスに着手したりクラウドコンピューティング時代を見据えてシステムを増強しているためだ。ユニークな技術力を持つサードウェーブが、DC向けサーバー市場に一石を投じることになりそうだ。(佐相彰彦)