景気後退でもCSR活動は継続
マイクロソフト(樋口泰行社長)は、高知県の地域活性化およびIT化を全面支援する。同社の社会貢献活動の一環として展開するもので、地元ITベンチャーのソフト開発・販売支援や、県職員のITスキル向上策など4分野を支援内容として盛り込んだ。景気後退でCSR(企業の社会的責任)活動を縮小する企業が多いが、樋口社長は「景気動向に左右されずに、予算を削ることなく企業市民(社会貢献)活動は継続する」と強調。6月までに同様の支援を合計5自治体で展開する計画だ。
高知県への支援は、マイクロソフトが今年1月30日から始めた「地域活性化協働プログラム」の一環だ。マイクロソフトはCSR活動として過去5年間で約30の自治体のIT化支援を手がけてきた。地域活性化協働プログラムは、それらの経験・ノウハウを集結させ、複数の支援内容を体系化したもの。このプログラムによって大きな効果が見込めそうな自治体をマイクロソフトが選定し、無償で全面支援する。高知県は2番目で、すでに佐賀県と連携済み。同プログラムでは、6月までに5自治体と覚書を締結する計画で、3月下旬に鳥取県、4月に青森県、福島県と続く。景気後退でCSR活動を縮小させる企業が出始めたが、マイクロソフトは逆に活動を加速させている。3月17日に高知県庁で開いた覚書締結式では、マイクロソフトの樋口社長が出席。わずか30分間だったが、トップ自らが出席することで、マイクロソフトのCSR活動に対する意気込みを示した。
高知県への支援内容は4分野で、県内の(1)ITベンチャー支援(2)NPOの業務効率化サポート(3)職員のITスキル向上のためのeラーニング提供(4)経済的に困難な女性のためのパソコン教室開設。県とマイクロソフトが相談して決めた。なかでもITベンチャー支援では、地元ソフト開発ベンチャーのシティネット(渡邊基文社長)と日本イーメディカル(高橋啓文社長)の2社を全面支援する。マイクロソフトが進める「ITベンチャー支援プログラム」に沿って開発ツールの提供や技術サポート、マーケティングを無償で支援する。
尾崎正直・県知事は、「高知県は地理的に不便な点が多いが、だからこそITを活用すべき。優秀な先生(マイクロソフト)の協力を得て、IT化、地域活性化を図りたい」と語った。シティネットの渡邊社長は、「技術的サポートも魅力だが、知名度向上につながるなどマーケティング効果が高いはず。マイクロソフトとの協業を大いに有効活用したい」と意気込みを示している。(木村剛士)