新社長体制で事業領域の拡大へ

リバーベッドテクノロジーは、2009年3月30日付で新社長が就任し、体制整備で事業領域の拡大に乗り出した。ブロードバンドサービス事業者などのサービスプロバイダ(SP)や大企業をユーザー対象とする既存ビジネスに加え、新しい市場への参入に向けて販売代理店を増やしていく。大規模データセンターを攻略対象とするほか、SMB(中堅・中小企業)を掘り起こすためのチャネル戦略を進める。
3月30日付で社長に就任したのは岡本吉光氏。IT業界やネットワーク分野で豊富な実績を重ねてきた人物だ。日本IBMやサンマイクロ・システムズで営業に携わったほか、シスコシステムズではチャネル/セールスオペレーションの担当取締役に従事。フォーティネットでは、社長として日本法人の成長路線を構築した。なかでも、フォーティネット製品を拡販するためにSMB向け販売代理店を開拓した功績は特筆に価する。
この新社長体制のもとで、リバーベッドテクノロジーは業績拡大に向けた戦略を打ち出した。とくに強化するポイントは新市場への参入で、「販売パートナーを開拓することによって、さまざまな市場でシェアを伸ばしていく」(岡本社長)方針を示している。
その一つは、公共や医療機関など大規模な「パブリックセクター」に対して、同社の主力製品であるWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)高速化機器を提供していく戦略だ。「首都圏以外では、地方自治体が地域にWANを構築してブロードバンド環境を整えたいとする動きがある」。そのニーズに対応するため、有力な地場SIerとのパートナーシップ深耕を模索する。医療分野では、「ネットワークを活用した遠隔医療を進める傾向が高まるだろう」とみており、医療機関に強いベンダーとアライアンスを組んでいく。
製品の販売を伸ばすために、最も重点を置いているのがSMB。「SMB間の取引などでWANを構築するケースが出てくる」とみる。そこで、2次店を増やす方針を打ち立てた。ワールドワイドで展開している「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」などに分類したリセラープログラムを、「日本でも採用することを検討する」としている。
これまで日本法人はアジア地域の一つの国として捉えられていたが、新体制で米国直轄になるなど「日本への投資を増やすよう、本社に直接提案できる立場になった」としている。今回の戦略では、2次店を固めるための投資を進めることが業績伸長のカギを握る。(佐相彰彦)